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13 婚約とドレスと女の戦い(2)

13ー6 浮気者の血

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 13ー6 浮気者の血

 「こんなの初めて」
 全身にクリームを塗られて揉みほぐされてお王妃様は、確実に10才は、若返っていた。
 血色がよくなってぽうっとほのかにピンク色に染まった肌の王妃様は、乙女のように美しかった。
 次に、わたしの持ってきたドレスの中から王妃様にも似合いそうなものを選んで着てもらう。
 それは、淡いピンクのマーメイドラインのすらりとしたドレスだった。
 「こんなドレス、始めてみたわ!」
 恥ずかしがっている王妃様にドレスを着せると、フワッとした薄くて軽い布地で作られたストールを肩にかける。
 長い、美しいはちみつ色の髪は、緩く結い上げてドレスと同色のリボンを結んだ。
 これだけでもすごく雰囲気が変わったし。
 「でも、化粧もしてないなんてなんだか恥ずかしいわ」
 そういう王妃様に、ごく薄いナチュラルメイクを施す。
 すると。
 「なんて美しいのかしら」
 レイアさんがほうっとため息を漏らした。
 わたしは、その完成度に満足していた。
 「これで、王様にちょっとした仕返しをしてやりましょう!」

 その日の夜は、王宮ではちょっとしたパーティーが開かれていた。
 賑わいの中にわたしたちは、王妃様を先頭に乗り込んでいった。
 みな、現れるとは思っていなかった王妃様の登場にどよめく。
 特に、王とその取り巻きである人々は、驚きを隠せない。
 その中に王妃様は堂々と顔を上げて入場していった。
 王妃様のエスコートは、ライナス先生が引き受けてくれた。
 いや。
 ホントにわたしが言うのもなんだが、本当にイケメンだな。
 今日の王妃様の輝きに負けてない。
 そして、その脇をレイアさんとわたしが固める。
 その場にいた全ての人々が王妃様に魅了されていくのがわかった。
 「なんと、美しい!」
 「あれがあの王妃様なの?」
 わたしたちは、みなの注目を浴びながら舞踏場の中央へと進み、それぞれのパートナーとダンスを踊った。
 王妃様は、ライナス先生と。
 レイアさんと大公閣下。
 わたしは、というとなぜか、王妃様の息子、つまりこの国の王子様と踊ることになった。
 「今宵の母上は、格別に美しい」
 王妃様の面影のあるはちみつ色のブロンドの美しい王子様は、わたしと踊りながら囁いた。
 「だが、あなたの方が100倍美しい」
 うわっ!
 鳥肌が立つ!
 こいつ、間違いなく浮気者の血をひいてるな!
 
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