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8 Shall We Dance?

8ー4 新しい手足

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 8ー4 新しい手足

 次の日、治療院へと到着するとわたしとジェイムズさんとご主人様は、そのままあの仮のリハビリ部屋へと向かった。
 ドアを開いて中へと入ると、部屋には、すでにクラウスさんとルイーズさんの姿があった。
 「おはようございます、伯爵様」
 2人は、ご主人様にペコリとお辞儀した。
 ご主人様は、鷹揚に頷くと2人に命じた。
 「ここでは、マクシミリアン、でいい。そう呼んでくれ、クラウス」
 「はっ!」
 クラウスさんは、車イスを自走させてご主人様の方へと近づくとご主人様の服の袖を肘の上までめくりあげた。
 そこにはすでにアダプタが装着されていた。
 「痛みはありませんか?」
 「大丈夫だ」
 ご主人様は答えた。
 クラウスさんは、ルイーズさんに指示を出してご主人様用の義手と義足を用意した。
 御主人様は、その新しい義肢を見つめるとクラウスさんに訊ねた。
 「これが本当に動くのか?」
 「はい」
 クラウスさんは、力強く頷く。
 「俺の足もそうですから」
 クラウスさんは、もうだいぶん義足に慣れてきていて立ち回りや短い距離の移動はできるようになっていた。
 それでも彼は、車イスを併用していた。
 それは、義足に不具合があるというわけではなく、ただ単に楽だからというのと、まだ義足の耐性がわからないからという理由からだった。
 クラウスさんは、ベッドにまだ横たわっているご主人様の右腕のアダプタに右の義手を装着していった。
 時々、幻の痛みのためか、ご主人様が顔をしかめる。
 しかし、クラウスさんは、順調に義手を接続していった。
 「これで右腕は繋がりましたよ、マクシミリアン様」
 クラウスさんは、ご主人様の体から手を放すとご主人様を促した。 
 「ゆっくりと指先を動かしてみてください」
 「ん・・・」
 ご主人様が義手へと神経を集中させる。
 ゆっくりと人差し指が曲がっていく。
 「動いた・・・」
 「はい!」
 クラウスさんが頷く。
 「動きました!」
 「動く!動くぞ!私の手が!」
 御主人様は、腕を持ち上げると手のひらを覗き込んだ。
 「これは、私の手、だ!」
 御主人様は、目の前で右腕を開いたり閉じたりとしていた。
 クラウスさんは、次に左腕を続いて両足の義足を繋いでいく。
 「これだけの義肢を一度に接続するのは、マクシミリアン様のお体に負担がかかるかもしれません。不具合があれば遠慮なくおっしゃってください」
 「ああ」
 御主人様は、両手と両足があるという感覚に全身をうたれているようだった。
 「こんなことが・・・」
 
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