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3 新しい助手と新しいクエスト

3ー2 首にさせるわよ!

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 3ー2 首にさせるわよ!

 わたしにからかわれてもご主人様は、あっさりとあしらう。
 「ばかか、お前は」
 「バカじゃねぇし!」
 「なら、これから図書室へ行ってなんでもいいからお前が読める本を持ってきて朗読して聞かせろ。私もこのままお前がため息をついているのを数えなくてもよくなるし、お前も仕事ができるわけだしな」
 かわいくないな!
 だが、それもありかと思ってわたしは、部屋を出た。
 だが、そこで問題です。
 わたしは、図書室がどこにあるのかも知らないし。
 いや、だって1日のほとんどをご主人様の部屋と自分の部屋と台所で過ごしてるわけだからな。
 だが、ポジティブに考えれば、これは、いい機会だ。
 わたしは、図書室を探して屋敷の中を見物して回ることにした。
 わたしは、ぶらぶらと歩きながら壁にかけられたご主人様のご先祖様たちらしい肖像画を見ていた。
 すると、目の隅で何か黒っぽいものが動いた。
 んん?
 一瞬、わたしは、気のせいかと思ったのだが、よくよく目を凝らすと薄暗い廊下の片隅に何かがいる。
 それは、灰色の薄汚れた猫のようなものだった。
 まあ、猫にしては大きいか?
 大きなギョロっとした目でわたしのことをじっと見つめているものに、わたしは、興味を持った。
 そっと近づいてみようと思ったら、それは、すっくと立ち上がって脱兎のように逃げ出した。
 何々?
 わたしは、それの後を追って走り出した。
 これは、いよいよお待ちかねのファンタジー展開かなんかか?
 もしかしてルゥのお仲間か?
 さもなければこの屋敷にひそむ幽霊か魔物かなんかかもしれないな!
 わたしが追いかけていくとそれは、ぎょっとした様子で立ち止まりわたしを見た。
 窓から差し込む薄明かりの中で見たそれは、精霊でもなければ幽霊や魔物の類いでもなさげだった。
 それは、薄汚れた小さな痩せっぽちの女の子だった。
 「なんで」
 その子供は、消え入るような声でわたしにきいた。
 「追いかけてくるわけ?」
 「いや、だって、逃げるから」
 わたしが答えるとその子供は、その場で地団駄踏んでわめきだした。
 「なんで?みんな、わたしにいつも気がつかないのに!こんなに追いかけ回したりするわけ?」
 はい?
 わたしは、その子に訊ねた。
 「放っておいて欲しかったの?」
 「そんなことは、言ってないじゃない!」
 その灰色の薄汚れた子供は、わたしを指差した。
 「あんた、使用人の癖に生意気なのよ!ジェイムズに首にさせるわよ!」
 「それは、ちょっと困るなぁ」

 
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