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5 俺と魔王の秘密の約束
5ー6 アルフォンス
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5ー6 アルフォンス
『秤の悪魔』は、魔王アキセル・バルムドールによって追い払われた。
俺が悪魔に拐われた夜から3日後、俺が娼館の掃除をしていると客がきた。
その客は、俺の待ちかねていた人だった。
「アルフォンス?」
俺がモップを持ったまま呼び掛けるとアルフォンスは、いつもの柔らかな笑顔を浮かべて答えた。
「ミコト様・・お待たせして申し訳ありませんでした」
俺は、思わずアルフォンスに駆け寄り彼を抱き締めていた。
「ミコト様?」
「・・心配してたんだからな!」
俺が震える声で話すと、アルフォンスは、ふふっと耳元で笑った。
「それは、こちらの台詞では?」
「アルフォンス」
ラーが俺を引っ張ってアルフォンスから引き離しながら訊ねた。
「王宮は?あの愚弟は、どうなっている?」
「アルバート国王陛下」
アルフォンスが冷たい眼差しでラーを見た。
「あなたは、ほんと、無能ですね。私のミコト様をまた、泣かせましたね?」
アルフォンスがラーの腕から俺を取り戻そうとするのをラーが拒み、2人で睨みあう。
俺は、困ってクロムウェルを探した。
クロムウェルは、レイモンドやリムと話していたが俺の救いを求める視線に気づいて慌ててやってきた。
「2人とも、ミコト様が困っておられるではないですか。やるならミコト様のおられないところでやってください」
いや!
そういうことじゃないし!
なんとかアルフォンスとラーに睨みあいを止めさせると俺たちは、クーラントの執務室へと向かった。
俺は、アルフォンスに聞きたいことがいっぱいあったんだが、アルフォンスのクーラントへの話がすんでからと思っていた。
久しぶりに見るアルフォンスは、なんだか青白い顔色をしてて俺は、ちょっと心配になる。
アルフォンスは、人間ではない。
人間の手によって作られた人造人間。
『異界ゼータ』をあまねく支配する頭脳である本体のアルフォンスの分身であり、『異界ゼータ』の将来のために王のもとに嫁いだ俺に付き従ってくれている。
今回は、王城を追われた俺のために離宮に残って王宮を探ってくれたりしてたんだろうけど、無理してなかったらいいんだが。
クーラントは、自分のもとを訪れたアルフォンスたちを見ると表情を強ばらせた。
「あんたが来たということは、揉め事はだいたい片付いたってことか?」
クーラントに問われてアルフォンスは、頷いた。
「クーラント殿には、大変世話になり感謝している。これは、些少だが」
アルフォンスは、クーラントの執務机に皮の袋に入ったものをどさりと置いた。
「金でこの恩を返せるとは思っていないが、とりあえずこれを受け取ってほしい」
『秤の悪魔』は、魔王アキセル・バルムドールによって追い払われた。
俺が悪魔に拐われた夜から3日後、俺が娼館の掃除をしていると客がきた。
その客は、俺の待ちかねていた人だった。
「アルフォンス?」
俺がモップを持ったまま呼び掛けるとアルフォンスは、いつもの柔らかな笑顔を浮かべて答えた。
「ミコト様・・お待たせして申し訳ありませんでした」
俺は、思わずアルフォンスに駆け寄り彼を抱き締めていた。
「ミコト様?」
「・・心配してたんだからな!」
俺が震える声で話すと、アルフォンスは、ふふっと耳元で笑った。
「それは、こちらの台詞では?」
「アルフォンス」
ラーが俺を引っ張ってアルフォンスから引き離しながら訊ねた。
「王宮は?あの愚弟は、どうなっている?」
「アルバート国王陛下」
アルフォンスが冷たい眼差しでラーを見た。
「あなたは、ほんと、無能ですね。私のミコト様をまた、泣かせましたね?」
アルフォンスがラーの腕から俺を取り戻そうとするのをラーが拒み、2人で睨みあう。
俺は、困ってクロムウェルを探した。
クロムウェルは、レイモンドやリムと話していたが俺の救いを求める視線に気づいて慌ててやってきた。
「2人とも、ミコト様が困っておられるではないですか。やるならミコト様のおられないところでやってください」
いや!
そういうことじゃないし!
なんとかアルフォンスとラーに睨みあいを止めさせると俺たちは、クーラントの執務室へと向かった。
俺は、アルフォンスに聞きたいことがいっぱいあったんだが、アルフォンスのクーラントへの話がすんでからと思っていた。
久しぶりに見るアルフォンスは、なんだか青白い顔色をしてて俺は、ちょっと心配になる。
アルフォンスは、人間ではない。
人間の手によって作られた人造人間。
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今回は、王城を追われた俺のために離宮に残って王宮を探ってくれたりしてたんだろうけど、無理してなかったらいいんだが。
クーラントは、自分のもとを訪れたアルフォンスたちを見ると表情を強ばらせた。
「あんたが来たということは、揉め事はだいたい片付いたってことか?」
クーラントに問われてアルフォンスは、頷いた。
「クーラント殿には、大変世話になり感謝している。これは、些少だが」
アルフォンスは、クーラントの執務机に皮の袋に入ったものをどさりと置いた。
「金でこの恩を返せるとは思っていないが、とりあえずこれを受け取ってほしい」
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