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1 ホームレス側妃

1ー10 娼館での生活

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 1ー10 娼館での生活

 数日もすると俺とラーは、娼館での暮らしにだいぶ慣れてきた。
 なぜか、みんな、俺を用心棒と思って、心配してくれた。
 いや。
 誤解なんですよ!
 用心棒は、この猫なんです!
 俺は、何度もそう説明したが、みな、冗談だと思って笑っていた。
 まあ、ラーは、どっからどうみてもかわいい猫にしか見えないんだけどな!
 「黒髪が王様の婚約者のミコト様に似てる!」
 ってお姉さんが言うのには、ちょっとどっきりした。
 でも、まさか、こんなとこにいるわけないよね、って話しになってちょっとホッとする。
 「ミコト様っていえば、なんでも王様に婚約破棄されそうなんだって」
 お姉さんたちが話していたので俺は、耳ダンボになって聞いていた。
 なんでも、王様は、運命の番であるルイス君に出会って俺を振ったらしい。
 「ひどい話だよな!」
 リートが怒り心頭って感じで俺に話した。
 「ミコト様は、ほんと、いい方なのに!婚約破棄って!信じられない」
 「そうよね。いいこと言うわ、リート」
 赤髪のゴージャスな美女が頷く。
 「ミコト様のお陰で貧民院の連中が助かってるのに!」
 なんでも、病気とかで働けなくなった娼婦や男娼の多くが貧民院の世話になっているんだとか。
 俺は、ほんとに複雑な気持ちだった。
 俺がやったことがちょっとでもみんなの役に立ってるなら嬉しい。
 でも、それもルイス君に離宮の主が代わったのでいつまで続けられるかもわからない。
 てか、みんな、大丈夫かな。
 ノウザの木や畑の野菜たち。
 それにゼノ。
 アルフォンスやクロムウェル、ウィル、みんな、どうしてるのかな?
 リビングのソファに座った俺が考え込んでいるとラーが俺の膝に乗ってきて俺の頬をペロッと舐めた。
 「にゃあ」
 「ラー」
 俺は、ラーを抱き締めて微笑んだ。
 俺は、大丈夫。
 だって、ラーがいてくれるから。
 「でも、ミコ、もったいないよね」
 リートが悪気がなさげな様子で俺に告げた。
 「きっと、店に出れば人気者になれるのに、用心棒なんて。まあ、ちょっと幼げな感じではあるけどまさか、クーラントが君が幼いから店に出すのをためらうなんてことはないだろうし」
 そう。
 みんな、俺がまだ15、6才だと思っているんだよ!
 でも、この世界じゃ、15、6才は、立派な大人だしな。
 実際に店の子の中には、驚くほど若い子もいたし。
 
 
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