51 / 71
4 離れて眠る夜
4ー9 立太子
しおりを挟む
4ー9 立太子
数日後、僕は、登城した。
僕は、王の執務室へと通された。
王は、僕にソファをすすめると自分も僕の前の椅子に腰を下ろした。
「よく来たな、ルルシア」
王は、僕に向かって微笑んだ。
「お前のところの商会の活躍のおかげで王都の食料事情が改善されたようで、嬉しく思っている」
「はぁ・・」
僕は、じっと王のなんだか嘘臭い笑顔を見つめていた。
「どうぞ」
顔を上げるとかつて僕の執事をしてくれていたクリナドが立っていて、僕の方へとお茶を差し出していた。
僕は、懐かしい気持ちがしていた。僕が王立学院を卒業してから、まだ、ほんの数ヵ月しか経っていないのだが、なんだか、もう、何年も時が過ぎたような気がしていた。
僕は、お茶を受けとるとクリナドに礼を言った。クリナドは、僕に優しく微笑んだ。
「ところで、お前に頼みがあるんだが」
王が口を開く。
「お前を王族に迎えて、立太子を行いたい」
はい?
僕は、きょとんとしていた。王は、こほん、と咳払いをすると、僕に話した。
「実は、お前の弟である前王太子のアロイスなんだが、妙なことになってな」
王がいうところによると、アロイスは、前代未聞のスキャンダルを起こしたために廃嫡されることになったとか。
僕は、学院時代に数回見かけたことがある弟のことを思い出していた。
クリスにきいたのだが、僕を女装して口説き落として、ほんとは男であるクリスに夢中になっている僕をみんなでバカにするとかいう頭の悪い作戦をたてたのは、アロイスだったらしい。
それだけで十分愚かさは、証明されているのだが、なんと、アロイスは、町の娘に横恋慕して無理矢理その町娘を王宮に連れてきて側室にしようとしたんだとか。
町娘の婚約者である青年が仲間を集めて王城前でデモを起こしてそれが、徐々に拡大されてきている、と王は、話してため息をつく。
「このままでは、暴動が起きかねない。そこで、アロイスを廃嫡して兄のお前を王太子にということになった」
なった、って・・
僕は、なんだか嫌な予感中だった。
だいたい、兄とか弟とかっていっても同い年だし。
つまり、このおっさんがほぼ同時に僕たちの母さんたちにちょっかいだしてたってことで。
だから、母さんは、きっとこのおっさんを身限ったんだろう。
数日後、僕は、登城した。
僕は、王の執務室へと通された。
王は、僕にソファをすすめると自分も僕の前の椅子に腰を下ろした。
「よく来たな、ルルシア」
王は、僕に向かって微笑んだ。
「お前のところの商会の活躍のおかげで王都の食料事情が改善されたようで、嬉しく思っている」
「はぁ・・」
僕は、じっと王のなんだか嘘臭い笑顔を見つめていた。
「どうぞ」
顔を上げるとかつて僕の執事をしてくれていたクリナドが立っていて、僕の方へとお茶を差し出していた。
僕は、懐かしい気持ちがしていた。僕が王立学院を卒業してから、まだ、ほんの数ヵ月しか経っていないのだが、なんだか、もう、何年も時が過ぎたような気がしていた。
僕は、お茶を受けとるとクリナドに礼を言った。クリナドは、僕に優しく微笑んだ。
「ところで、お前に頼みがあるんだが」
王が口を開く。
「お前を王族に迎えて、立太子を行いたい」
はい?
僕は、きょとんとしていた。王は、こほん、と咳払いをすると、僕に話した。
「実は、お前の弟である前王太子のアロイスなんだが、妙なことになってな」
王がいうところによると、アロイスは、前代未聞のスキャンダルを起こしたために廃嫡されることになったとか。
僕は、学院時代に数回見かけたことがある弟のことを思い出していた。
クリスにきいたのだが、僕を女装して口説き落として、ほんとは男であるクリスに夢中になっている僕をみんなでバカにするとかいう頭の悪い作戦をたてたのは、アロイスだったらしい。
それだけで十分愚かさは、証明されているのだが、なんと、アロイスは、町の娘に横恋慕して無理矢理その町娘を王宮に連れてきて側室にしようとしたんだとか。
町娘の婚約者である青年が仲間を集めて王城前でデモを起こしてそれが、徐々に拡大されてきている、と王は、話してため息をつく。
「このままでは、暴動が起きかねない。そこで、アロイスを廃嫡して兄のお前を王太子にということになった」
なった、って・・
僕は、なんだか嫌な予感中だった。
だいたい、兄とか弟とかっていっても同い年だし。
つまり、このおっさんがほぼ同時に僕たちの母さんたちにちょっかいだしてたってことで。
だから、母さんは、きっとこのおっさんを身限ったんだろう。
408
お気に入りに追加
917
あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

捨て猫はエリート騎士に溺愛される
135
BL
絶賛反抗期中のヤンキーが異世界でエリート騎士に甘やかされて、飼い猫になる話。
目つきの悪い野良猫が飼い猫になって目きゅるんきゅるんの愛される存在になる感じで読んでください。
お話をうまく書けるようになったら続きを書いてみたいなって。
京也は総受け。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる