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2 兄と弟
2ー9 父親
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2ー9 父親
王都につくとすぐに僕は、王立学院へと連れていかれた。
王立学院は、全寮制の学院で僕は、男子寮の最上階のフロアへと通された。
僕と僕の荷物を持った御者がフロアへと入っていくと廊下の両側にずらっと並んだ使用人らしき人たちが僕に頭を垂れた。
僕は、御者の後について行った。
御者は、僕の荷物を持って奥まったところにある部屋へと向かった。
そこは、すごく立派な部屋で。
お高そうな家具が置かれた贅沢なリビングといった感じの部屋に大きな踏み机らしきものが置かれている。
御者は、僕らの後をついてきていたメイドさんたちに僕の鞄を渡すと僕にソファに座るようにと促した。
御者は、僕の前にたつと礼をとった。
「ルルシア様、王都によくおいでくださいました。私は、これからあなたにお仕えする執事のクリナドと申します。どうぞ、お見知りおきを」
僕は、目の前の執事と名乗った彼をまじまじと見ていた。
この1ヶ月の旅の間、ずっと僕のことをかいがいしく世話してくれた彼のことは、なんとなく好ましくは思っていた。
それが、まさか執事だったとは!
僕は、彼をじっと見つめた。
クリナドは、浅黒い肌をしたおっさんで、黒髪に黒い瞳をしているなかなかの美中年だ。
執事のお仕着せらしいものを身にまとっている彼は、確かに、使用人の中では、一際目立つ存在だった。
彼は、メイドに命じてお茶を用意してくれた。
彼に給仕されお茶を飲んでいる僕のもとに見知らぬおっさんが現れた。
なんだか、見覚えがあるような既視感を感じるそのおっさんは、僕の前のソファに腰を下ろすと僕のことをじろじろと眺めていたがやがて口を開いた。
「ずいぶんと大きくなったな、ルルシア」
その言葉で僕は、これが僕の本当の父親なんだと理解した。
僕と同じ黒髪を肩まで伸ばした黒い瞳のおっさんは、なかなかの男前で。
母さん、意外と面食いなんだ。
僕は、魔王のおっさんの顔を思い浮かべていた。
「なんでもカーブを育てているそうだな」
目の前にいる父親だというおっさんが僕に話しかけてくるので、僕は、こくっと頷いた。
おっさんは、僕に話し続けた。
「かなりの遣り手の農場主だとロニアの領主からは聞いてる。なんでも手広く農産物やらカーブの製品やらを扱っているらしいな」
僕は、じっとそのおっさんを見つめて話をきいていた。
おっさんは、目を細めて僕を見た。
「リリアは・・母さんをしっかり守ってくれたんだな。礼をいうよ、ルルシア」
王都につくとすぐに僕は、王立学院へと連れていかれた。
王立学院は、全寮制の学院で僕は、男子寮の最上階のフロアへと通された。
僕と僕の荷物を持った御者がフロアへと入っていくと廊下の両側にずらっと並んだ使用人らしき人たちが僕に頭を垂れた。
僕は、御者の後について行った。
御者は、僕の荷物を持って奥まったところにある部屋へと向かった。
そこは、すごく立派な部屋で。
お高そうな家具が置かれた贅沢なリビングといった感じの部屋に大きな踏み机らしきものが置かれている。
御者は、僕らの後をついてきていたメイドさんたちに僕の鞄を渡すと僕にソファに座るようにと促した。
御者は、僕の前にたつと礼をとった。
「ルルシア様、王都によくおいでくださいました。私は、これからあなたにお仕えする執事のクリナドと申します。どうぞ、お見知りおきを」
僕は、目の前の執事と名乗った彼をまじまじと見ていた。
この1ヶ月の旅の間、ずっと僕のことをかいがいしく世話してくれた彼のことは、なんとなく好ましくは思っていた。
それが、まさか執事だったとは!
僕は、彼をじっと見つめた。
クリナドは、浅黒い肌をしたおっさんで、黒髪に黒い瞳をしているなかなかの美中年だ。
執事のお仕着せらしいものを身にまとっている彼は、確かに、使用人の中では、一際目立つ存在だった。
彼は、メイドに命じてお茶を用意してくれた。
彼に給仕されお茶を飲んでいる僕のもとに見知らぬおっさんが現れた。
なんだか、見覚えがあるような既視感を感じるそのおっさんは、僕の前のソファに腰を下ろすと僕のことをじろじろと眺めていたがやがて口を開いた。
「ずいぶんと大きくなったな、ルルシア」
その言葉で僕は、これが僕の本当の父親なんだと理解した。
僕と同じ黒髪を肩まで伸ばした黒い瞳のおっさんは、なかなかの男前で。
母さん、意外と面食いなんだ。
僕は、魔王のおっさんの顔を思い浮かべていた。
「なんでもカーブを育てているそうだな」
目の前にいる父親だというおっさんが僕に話しかけてくるので、僕は、こくっと頷いた。
おっさんは、僕に話し続けた。
「かなりの遣り手の農場主だとロニアの領主からは聞いてる。なんでも手広く農産物やらカーブの製品やらを扱っているらしいな」
僕は、じっとそのおっさんを見つめて話をきいていた。
おっさんは、目を細めて僕を見た。
「リリアは・・母さんをしっかり守ってくれたんだな。礼をいうよ、ルルシア」
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