母の再婚で魔王が義父になりまして~淫魔なお兄ちゃんに執着溺愛されてます~

トモモト ヨシユキ

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2 兄と弟

2ー2 夏草

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 2ー2 夏草

 最初、目が暗さに慣れなくてよく見えなかったが、じょじょに僕の目は、ピントがあってきて。
 そこには。
 肌をはだけたアーキライトと魔族の青年が立っていて。
 アーキライトにその魔族の青年は、口づけながら笑っていた。
 「お前が寂しがってると思ってきてやったんだぞ、アーク」
 その魔族の青年は、確か、最近、魔王国からやってきた連中の1人だった。仕事はできるが、町の酒場で女たちに声をかけたりして、嫌われているという噂だった。
 魔族の青年にべたべた体を撫で回されてもアーキライトは、拒もうとはしない。それどころか愛撫を喜んでいる素振りすら見せている。
 僕は、なんだか腹がたっていた。
 アーキライトに、だ。
 そんな奴にいいようにされてるなんて!
 さっさとそんな奴、ぶん殴って立ち去ってくれればいいのに。
 僕は、そう思っていたが、アーキライトは、その魔族の口づけを受け入れて喉を鳴らしている。
 「かわいい奴だ」
 魔族の青年は、作業所の床にアーキライトを押し倒すとアーキライトの裸の胸元に口づけを落とす。
 「ここも・・1人で寂しくて自分で弄ってたのか?アーク」
 ちゅっと音をたてて魔族の青年がアーキライトの胸の頂に吸い付くとアーキライトが眉をよせて呻き声を漏らした。
 僕は。
 その男にされるがままになっているアーキライトに腹がたって。
 痛いぐらい拳を握りしめたまま、その光景を眺めていた。
 ふと、目線を上げたアーキライトと僕は、目があって息を飲んだ。
 アーキライトは。
 僕と目が会うとにぃっと赤い唇を歪めた。
 僕は、見えない手に打たれたようにその場から走り去った。
 僕は、農場の裏に広がる牧草地を走った。
 背の高い夏草の中を息をきらせて走り続ける。
 僕の頭の中に、アーキライトの妖艶な笑みがよぎっていく。
 不意に草に足をとられて僕は、倒れ込んだ。
 僕は、草むらに寝転んで空を見ていた。
 辺りは静かで。
 僕の息苦しそうな呼吸音だけが聞こえていた。
 アーキライトが誰といちゃついてようと僕には、関係ない。
 アーキライトは、もう、とっくに大人だったし。
 恋人がいない方がおかしいのかも。
 だけど。
 僕は、なんだか悔しくて。
 もしも。
 僕がもっと大人なら。
 そう思って、僕は、唇を噛んだ。
 
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