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8 愛は、死にますか?

8ー4 退屈だから

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    もう一週間は、閉じ込められていて、僕らは、退屈していた。
    食事事情は、だいぶ改善されてきたけど、やることがなにもないのって辛い。
    僕は、ストレージから溜まった仕事の書類を取り出して、目を通しておくことにした。
    「じゃあ、私も」
     アリアに頼まれて、僕は、ストレージから魔導書を取り出した。
    そうしていると、昼食を運んできたマリアンヌが、溜め息をついた。
    「あなたたちは・・」
     「だって、退屈だから」
      「だからって、勝手に外部と接触しないでください」
    「外部とは、接触してないし」
     僕が言うと、マリアンヌが切れた。
    「屁理屈言わないで!あなたたちは、今、囚われの身なんですよ!こんな、好き放題してていいと思ってるんですか!」
    僕らは、マリアンヌに叱られて、しゅんとなっていた。
    本と書類は、ストレージ内へと戻した。
   「まったく、逃げなければ何をしてもいいって訳じゃないんですからね!」
    そうなのか?
    僕が溜め息をつくと、マリアンヌが言った。
   「だいたい、なんで、そんな力がありながらここから逃げようとしないんですか?」
   「だって、逃げても無駄だろ?それに、みんなを危険にさらしてしまうし」
   僕は、答えた。
   「どうせ、ストレージで繋がってるんだし、だったら、無駄なことはしないほうがいいし」
    「そういうものなの?」
     マリアンヌが呆れたように言った。
    「そういえば、あなたは、昔からそういうところがありましたね、ユヅキ」
    「ええっ?」
     アリアが僕たちの間に割って入った。
    「そんな昔から、2人は、知り合いだったの?」
    「いえ、違います」
    マリアンヌが訂正した。
    「ユヅキは、こういう性格なんだろうな、と思っただけです」
   マリアンヌが去ると、アリアは、僕を横目で見て言った。
   「なんか、隠してる?」
    「隠してなんて・・」
    僕は、焦って言った。
   「アリアは、『生命の書』の在りかを知っているの?」
   「ああ。地下にある、ということだけは・・」
   「そうなんだ」
    僕は、にやっと笑った。
   「少し、探検に行ってみようか?」
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