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7 職業に貴賤なし、です。

7ー11 もしかしたら

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    「それは、できないのだ。わかってくれ、ユヅキ」
    アウデミスは、僕に言った。
    「私は、今まで、ただ、このときのためだけに生きてきた。彼女がよみがえるときのためだけに。」
     彼は、遠くを見つめていた。
    「あまりにも多くの血が流された。兄を退け、父王や、母までもこの手にかけた。私には、もはや、彼女しか残されてはいない」
    マジか?
   僕は、アウデミスの告白をきいて、青ざめていた。
    噂は、真実だった。
   アウデミスは、狂っている。
  だが、彼は、フランシスだけは、生かしていた。
    それは、まだ、肉親を求める気持ちがあるからかもしれない。
    「まだ、あなたには、アリアが・・フランシスがいる。あなたの妹だ。それに」
     僕は、言った。
   「あなたを愛し、あなたにつかえる者だっているじゃないか」
     「アリアは、彼女は、君同様に彼の人を甦らせるために必要な存在だ。マリアンヌも、な」
    アウデミスの声が妙に頭の中に響いていた。
    あれ?
   なんだか・・
   僕は、頭を振った。
   なんだか、体が、重い。
   「あなたは・・まだ、やり直せる・・これから、いくらでも・・」
   僕は、重い瞼を必死に押し上げてアウデミスを見つめていた。
   「まだ・・だいじょう・・」
     「ああ、ユヅキ・マージナル。君は、本当に、いい奴だ。君と話していると、こんな私にも未来があるような気がしてくる。まるで、私にも、この世界に受け入れられるときがくるような、そんな気がしてくる。こんな風にではなく出会えたなら、我々は、友人になれたのかもしれないな」
    「今、から、だって・・遅くは、な・・い・・」
    僕は、アウデミスの方を見つめて、言った。
   「僕・・たち・・は・・とも・・だち・・に・・なれ・・る・・」
    「いや。もう、無理だろう」
    アウデミスが悲しげに、儚い笑みを浮かべたのを僕は、見た。
   「もうすぐ、君は、私を憎むようになる」
     「あな・・た・・を・・?」
     僕は、揺らいでいる意識の中、呟いた。
     「にく・・む・・」
       僕は、薄れていく意識の中で、アウデミスが言ったのを聞いた。
   「すまないな、ユヅキよ。本当に、すまない」
    そうして、僕の意識は、途切れた。
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