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7 職業に貴賤なし、です。
7ー6 冒険者登録、できました。
しおりを挟む僕は、『無職』でなくなったために冒険者ギルドで、冒険者の登録ができた。
まず、魔力量の計測をし、簡単なテストを受けた。
魔力量は、計測不能。
「変ねぇ」
ギルドの受付の女の子が呟いていた。
「もう一度、やってくれる?」
僕は、言われるままに計測用の水晶の珠の上に手を置いた。
すると、今度は、水晶が砕け散った。
マジか?
もちろん、テストも完璧だった。
だが。
なんか、複雑な気持ちだった。
「あのギルドの職員、マジで、腹が立つ!許せません!」
アーシェがプンスカして言った。
「ユヅキの職業を見て、あんな、大笑いするなんて、許せない!」
「いや。もう、いいから」
僕は、アーシェに言った。
「もう、僕だって、冒険者になれるんだから、いいんだ」
「でも、あの職員、言ってたじゃないですか。『たとえ、登録できたとしても、絶対に、戦おうとか思わないでくださいね』って」
アーシェが、不満げに言った。
それは、しかたがないのだ。
僕は、ランクがないんだから。
「しかし、いくら職業が『ひよこ鑑別士』だからって、ランク不明ってことはないですよね!」
そう。
僕は、ランクFでも、ランクEでもなく、ランク不明なのだった。
「まあ、いいじゃないか。とにかく、冒険者登録は出来たんだから」
僕は、言った。
「これで僕がユヅキ・マージナルだってことの証明は出来るわけだしな」
僕は、出来たばかりのピカピカの冒険者ギルドのカードを見せた。
『名前 ユヅキ・マージナル
職業 ひよこ鑑別士
ランク 不明』
なんか、ちょっと笑っちゃう内容だけど、でも、これは、とても重要なものだ。
なぜなら、冒険者ギルドのカードには、真実しか書かれないから。
これで、僕がユヅキ・マージナルだと証明できる。
僕がこのことを商業ギルドに行って報告すると、そのとき、『カンパニュラ』の支部に来ていた
アゼリアさんとハヅキ兄さんが大笑いしてた。
それだけじゃない。
あの、ものおとなしい、無口な事務の女の子でさえ、発作を起こしたように笑っていた。
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