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5 幸せの意味は
5ー10 再会
しおりを挟む「すまなかったな、ユヅキ」
ナツキ兄さんとアリーが申し訳なさげに立ち尽くしていたので、僕は、ソファをすすめた。
「まあ、座って、お茶でも飲んで。このお茶、すごく美味しいよ」
「ああ」
2人は、ソファに腰かけてから、はっとフランシスに気づいた。
「なんで、彼・・彼女がここに?」
「彼女は、もう、フランシスじゃない。アリア、だ」
ハヅキ兄さんが言った。
「彼女は、騎士団を辞めて我々のもとへ来た」
彼女が、ハヅキ兄さんに知らせてくれたのだという。
「そうなんだ」
僕は、フランシス、いや、アリアに礼を言った。
「ありがとう、アリア」
「ううん」
アリアが頭を振った。
「マリアンヌが・・彼女が、私を逃がしてくれた」
「マリアンヌが?」
僕が問うと、アリアが頷いた。
マリアンヌが、どうして、アリアを逃がしたんだろうか?
僕は、心がざわめくのを感じていた。
不意に、リビングの扉が開いて若いメイドさんが飛び込んできた。
「大変です!ユゲツ様」
「どうしたの?」
僕が聞くと、少女は、震える声で答えた。
「庭に・・怪我をした人が・・倒れていて・・」
マジか?
すぐに僕が見に行くと、そこには、ボロボロになったマリアンヌの姿があった。
「マリアンヌ!」
僕が彼女に駆け寄ると、彼女は、力なく僕の腕へと崩れ込んだ。
全身にひどい怪我をしていた。
僕は、ストレージからポーションを取り出すと彼女に飲ませた。
ごくっと彼女は、ポーションを飲み込んで、ふぅっと息を吐いた。そして、彼女は、囁いた。
「ユ・・ヅキ・・くん・・」
「ええっ?」
マチカ?
もしかして、マチカ、なのか?
僕は、呼んだ。
「マチカ?」
僕の呼び掛けに彼女は、頷いた。
「・・全て、思い出したよ・・ユヅキくん」
マリアンヌが弱々しく言葉を漏らした。
マジか?
僕は、マチカを抱き締めたまま泣いていた。
マリアンヌも、泣いていた。
僕らは、抱き合って、涙を流した。
マチカが。
僕のマチカが戻ってきたんだ。
「もう、離さない。僕のマチカ」
「ユヅキくん・・」
僕たちは、お互いを抱き締めていた。
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