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5 幸せの意味は
5ー8 囚われた人々
しおりを挟む僕にきかれて少年は、ぐぅっと言葉を飲んだ。
「お前が魔王様の何を知っているっていう?」
「いや。よく、知ってるんだよ」
僕は、服の下に隠れていたアルゼンテの魔石のネックレスを取り出して見せた。
少年は、それを信じられないものを見るような顔をして見つめていたが、言った。
「まさか。お前が魔王アルゼンテ様の王配だというのか?」
「そうだよ。わかったら、退け!」
僕は、少年に命じた。
「こんなことは彼女の望むところではない!」
すでに、回れ右をして去ろうとしているデリムンの群れを恨めしげに睨み付けると少年は、叫んだ。
「魔王様に何をした?」
「何もしてないって」
僕は、溜め息をついた。
「うん。どちらかというと僕の方がされてる方だよ」
「なんだと?」
それでも少年は、諦めずに僕に掴みかかろうとした。僕は、少年をそのままストレージへと取り込んだ。
中には、カヅキ兄さんもいるからなんとかなるだろう。
そのとき、背後から声がした。
「やはり、お前がユヅキ・マージナルであったか」
驚いて僕が振り向くと、そこには、アウデミス王の姿があった。
「一緒に来てもらうぞ、ユヅキ」
はい?
僕は、はぁっと吐息をついた。
「嫌だっていったら?」
「お前の仲間を皆殺しにする」
マジか?
僕は、アウデミス王を見つめてきいた。
「アリーとナツキ兄さんは?」
「あの2人なら」
アウデミス王がにぃっと笑った。
「安全なところで休んでもらっている」
そうして僕は、アウデミス王の客として彼の王都の城へと招かれることになった。といってもほぼ連行されてるわけだけどな。
王家の紋章の刻まれた馬車に乗せられて僕とアーシェは、王都へと戻っていた。
ナツキ兄さんとアリーは、おそらく奴の持っているストレージの中に囚われているのだろう。
「生きているという証拠を見せてくれ!」
そう僕が言うと、アウデミス王は、すぅっと手を差し出した。
その手の先に、アリーとナツキ兄さんの顔が浮かび上がった。
違う。
空中に2人の首が現れたのだ!
「ユヅキ様!」
「ユヅキ、逃げろ!」
「これで、わかったかな?ユヅキ」
アウデミス王は、2人の姿を隠すと恭しく言った。
「では、我が城へご同道願おうか、光の御子よ」
そして、僕は、城へと連れていかれることになったのだが、アーシェが僕と行くと言ってきかなかったため、仕方なく一緒に行ってもらうことにした。
どうにかしてハヅキ兄さんと連絡をとらなくては。
僕は、馬車で揺られながら考えていた。
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