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65.リーベイ
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「アリー嬢!
リーとベイの組み合わせは素晴らしいね!
カイヤさん!
俺にベイを売って欲しい!」
ウィンスさん、すごいテンションだ。
お耳と尻尾がピンと立ってて可愛いな。
触らせて欲しくてついつい、うずうずしちゃう。
「アリー、後でちゃんと生やすから、我慢だぞ」
「僕が作った魔具だからね。
僕が責任もって生やすから、アリーは安心してね」
くっ、バレてしまった。
僕は義兄様達が間を空けてくれたから2人の真ん中に、カイヤさんはウィンスさんの隣に座る。
座った途端に義兄様達が交互に頭を撫でてくれる。
カイヤさんの生暖かい目もなんのその。
僕達兄妹は気づかないふりだよ。
ふむふむ、バルトス義兄様はやっぱり緑茶、レイヤード義兄様はほうじ茶か。
僕はほうじ茶ラテをニーアにお願いする。
カイヤさんは落ち着いた様子で、緑茶にした。
「私も少し試食させてくれないかい?」
「こちらに」
ニーアがカイヤさんの前にさっと小皿に置く。
タイミングといい、僕の専属侍女はできる女だね。
さすがだよ、ニーア。
一口食べたカイヤさんはパアッと顔を明るくした。
「なるほど、これは美味しい!
それに腹持ちも良さそうだ!
ウィンスさん、ちょっと共同戦線張らないかい!」
「それは素敵な提案だ!
話をうかがっても?」
「そうだねぇ、まずはアリーちゃん!
今日の試食品のレシピちょうだい!
代わりにうちの商会経由での取引はアリーちゃん価格で今より4割引きにする!」
「俺の商会の商品についても4割引にしよう!」
え、本当?!
「のった!
ついでにこれもウィンスさんにあげる!」
僕はニーアに目配せして、容器に入れた茶色い固まりを渡す。
ウィンスさん、虎耳ぽかーんな疑問顔はいかん!
義兄様達にお耳と尻尾の接近禁止令が出されてるのにぃ!
「お湯で溶くとリーの出来上がりです。
味はまだまだ改良の余地があるはずですが、先ほどの試食品はこれを使って作りました。」
「なるほど、お手軽なのは良いね。
正直何種類も調味料を使うのは慣れるまで難しいと思ってたんだよ」
ふむふむと頷くカイヤさんとは比較にならない程興奮、とも少し違うな。
わくわくした顔で僕を見る白虎さん。
····拷問か?!
「新たな顧客開拓ができる!
アリー嬢、本当にいいの?!」
「ふふふ、売り上げがでるようになれば便宜を謀って下さいね。
もちろんこの製法は無料でお渡ししますが、味や辛さを決める市場リサーチや改良は商会独自のものを追及して下さい。
まだリーの知名度が低いので、普及させるまでには年単位の時間が必要になるでしょうけど、応援してます」
「もちろんだ!
ありがとう、アリー嬢!」
それから僕の意見を聞きながら2人は色々と初期計画を練っていった。
2人共終始目がギラギラだった。
それからほどなくして学園と騎士寮の食堂メニューにリーベイが登場した。
アボット兄弟が時々出没しては味が改良され、半年後には人気メニュートップ3入りを果たした。
時を同じくして学園の購買部では出店で人気となったリーパンが発売されるや売り切れ続出の大ヒット。
出店では寒い日のチャイも体が温まるって人気らしいよ。
貴族の間では甘い物が苦手な紳士用に緑と茶色のパウンドケーキを手土産にする人が増えてるって義兄様達が教えてくれた。
余談だけどうちの蜂蜜とコリンの売り上げが密かに伸びてるんだ。
ちなみに1才未満の子供には蜂蜜は厳禁っていうのは何年も前にうちの領発信で流布されてて既にこの世界に流通してる豆知識になったからそこはあんまり心配してない。
お子ちゃまや獣人さんにはこくのあるフルーティーな甘口リーが人気で、費用面でもお手頃なんだってウィンスさんが直々に報告してくれたよ。
ふふふ、毎度あり。
これからもどうぞグレインビル領をご贔屓に。
リーとベイの組み合わせは素晴らしいね!
カイヤさん!
俺にベイを売って欲しい!」
ウィンスさん、すごいテンションだ。
お耳と尻尾がピンと立ってて可愛いな。
触らせて欲しくてついつい、うずうずしちゃう。
「アリー、後でちゃんと生やすから、我慢だぞ」
「僕が作った魔具だからね。
僕が責任もって生やすから、アリーは安心してね」
くっ、バレてしまった。
僕は義兄様達が間を空けてくれたから2人の真ん中に、カイヤさんはウィンスさんの隣に座る。
座った途端に義兄様達が交互に頭を撫でてくれる。
カイヤさんの生暖かい目もなんのその。
僕達兄妹は気づかないふりだよ。
ふむふむ、バルトス義兄様はやっぱり緑茶、レイヤード義兄様はほうじ茶か。
僕はほうじ茶ラテをニーアにお願いする。
カイヤさんは落ち着いた様子で、緑茶にした。
「私も少し試食させてくれないかい?」
「こちらに」
ニーアがカイヤさんの前にさっと小皿に置く。
タイミングといい、僕の専属侍女はできる女だね。
さすがだよ、ニーア。
一口食べたカイヤさんはパアッと顔を明るくした。
「なるほど、これは美味しい!
それに腹持ちも良さそうだ!
ウィンスさん、ちょっと共同戦線張らないかい!」
「それは素敵な提案だ!
話をうかがっても?」
「そうだねぇ、まずはアリーちゃん!
今日の試食品のレシピちょうだい!
代わりにうちの商会経由での取引はアリーちゃん価格で今より4割引きにする!」
「俺の商会の商品についても4割引にしよう!」
え、本当?!
「のった!
ついでにこれもウィンスさんにあげる!」
僕はニーアに目配せして、容器に入れた茶色い固まりを渡す。
ウィンスさん、虎耳ぽかーんな疑問顔はいかん!
義兄様達にお耳と尻尾の接近禁止令が出されてるのにぃ!
「お湯で溶くとリーの出来上がりです。
味はまだまだ改良の余地があるはずですが、先ほどの試食品はこれを使って作りました。」
「なるほど、お手軽なのは良いね。
正直何種類も調味料を使うのは慣れるまで難しいと思ってたんだよ」
ふむふむと頷くカイヤさんとは比較にならない程興奮、とも少し違うな。
わくわくした顔で僕を見る白虎さん。
····拷問か?!
「新たな顧客開拓ができる!
アリー嬢、本当にいいの?!」
「ふふふ、売り上げがでるようになれば便宜を謀って下さいね。
もちろんこの製法は無料でお渡ししますが、味や辛さを決める市場リサーチや改良は商会独自のものを追及して下さい。
まだリーの知名度が低いので、普及させるまでには年単位の時間が必要になるでしょうけど、応援してます」
「もちろんだ!
ありがとう、アリー嬢!」
それから僕の意見を聞きながら2人は色々と初期計画を練っていった。
2人共終始目がギラギラだった。
それからほどなくして学園と騎士寮の食堂メニューにリーベイが登場した。
アボット兄弟が時々出没しては味が改良され、半年後には人気メニュートップ3入りを果たした。
時を同じくして学園の購買部では出店で人気となったリーパンが発売されるや売り切れ続出の大ヒット。
出店では寒い日のチャイも体が温まるって人気らしいよ。
貴族の間では甘い物が苦手な紳士用に緑と茶色のパウンドケーキを手土産にする人が増えてるって義兄様達が教えてくれた。
余談だけどうちの蜂蜜とコリンの売り上げが密かに伸びてるんだ。
ちなみに1才未満の子供には蜂蜜は厳禁っていうのは何年も前にうちの領発信で流布されてて既にこの世界に流通してる豆知識になったからそこはあんまり心配してない。
お子ちゃまや獣人さんにはこくのあるフルーティーな甘口リーが人気で、費用面でもお手頃なんだってウィンスさんが直々に報告してくれたよ。
ふふふ、毎度あり。
これからもどうぞグレインビル領をご贔屓に。
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