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58.1人デビュー
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「カイヤさんはいらっしゃいますか」
僕はここでもお手伝いらしき子供にお願いする。
すぐに奥からカイヤさんが出てきた。
「アリーちゃん、久しぶり!
いつもご贔屓にしてくれてありがとう!
可愛らしい坊やに変装しちゃってもうー!
ところで今日はお義兄さん達じゃなく、素敵なナイトを2人連れてるのねぇ」
「ふふふ、そうでしょう。
特にお耳と尻尾がとっても素敵なんですよ」
「あらあら、相変わらずモフり好きね」
そう、今現在平静を装う僕にはあれから狐耳とふさふさ尻尾の連れが1人増えた。
というか、僕の変装能力はもしかして相当低いのかな?!
カイヤさんて人属だよね、お鼻の利きって関係ないよね?!
僕はすかさず後ろの2人を振り返る。
え、すでに目をそらされている····反応早くない····。
「····レイヤード兄様と同じ学園に通ってる、ペルジア=アボット様と、ラルク=ハーティス様です」
ーーーー
西のブースから出て10分もしない頃だった。
「アリー嬢?
どうしてアボット先輩といる?」
とラルク様に後ろから声をかけられたんだ。
あれ、僕変装し直したんだけど?
でも振り返って最初に飛び込む金のお耳とふさふさ尻尾。
一気にテンションあがっちゃうよね!
「ラルク、学園以外で会うのは珍しいな。
兄達の商会のブースにアリー嬢が来ていたのに居合わせた。
東のブースまで送って行くところだ」
「ラルク様、お久しぶりです。
とりあえずお暇なら大人しくそのお耳と尻尾を差し出して下さい。
去年の言伝ては聞いております」
僕は矢継ぎ早に挨拶と要求を済ませる。
「え、いきなり?!
何か禁断症状みたいな顔になってるけど、調子悪いのか?」
くっ、お耳がピンとしつつもピクピク動いて誘ってくれちゃって!
「いえ、軽く禁断症状なだけです。
お耳と尻尾がたりません。
でもレイヤード兄様の、知らない人のは触らないという約束は頑張って守りました」
「あぁ、そういうことか。
確かに私と君は知り合いだったな。
ほら、触っていいよ。
レイヤードはどうして一緒にいない?
マルスに生徒会の仕事を丸投げして帰ったはずなんだが」
ああ、なんて素晴らしき手触り!
「ふふー、予想通りの硬めのふわふわ!
ありがとうございます。
レイヤード兄様は多分僕に気づかれないようにどこかから見守ってると思います。
父様はさすがにないと思いますが、バルトス兄様も怪しいですね」
「····グレインビルならあり得そうな話だな。
ん、僕?
あぁ、それ、変装····いや、全然気づかなかった!
まぁ、そうだ、獣人は鼻が利くからな。
でもどうして兄達は一緒しないんだ?」
何かちょっと前に聞いたような慰められ方されてるけど、獣人さんは鼻が利くからか。
そうだよね、絶対!
少しショックを受けつつも、僕はラルク様のふわふわ尻尾に抱きついてメロメロだ。
ついでにそーっとお耳に右手をのばす。
頭を下げて触りやすくしてくれた。
瀕死のモフりゲージがやっと回復するー!
「元々10才になって体調が良ければ1人でお祭りに行っていい約束だったんです。
なので今年1人デビューなんです」
「····貴族令嬢にそんなデビューないだろう。
大体、こういう祭りに令嬢は来ないぞ?」
「んー、侯爵令嬢だから?」
僕はコテンと首をかしげつつ、両手でお耳を触り始める。
「····侯爵令嬢も貴族の中では結構な身分だぞ。
俺はグレインビルだからだと思うが」
「あ、じゃあそれです」
「····軽いな。
そんなに耳と尻尾触って楽しいのか?」
少し呆れたお顔で僕を見るけど、僕の目は全力でお耳にロックオンだ!
「楽しいというより、癒しですね。
ふふふ、ペルジアさんのもいつか触りたいです」
「目が獲物見つけた獣みたいだな。
触りたければ今触ってもいいぞ?」
「····くっ、試されてる····兄様のイジワルめ!
····き、今日は諦めます····兄様との約束が····うぅっ····あるの、で····イジワルめ!」
「レイヤードの悪口言いながら触るのはやめるんだ!
後で私がヤツに殺られる!
アボット先輩もやめるんだ!」
ペルジアさんのせっかくの申し出を断っていると、ラルフ様が焦ったようにおたおたし始める。
さすがにレイヤード義兄様もそんな鬼じゃないと思うよ?
「アイツはそんなになのか····なんだ、殺気?!
と、とりあえずここは人目につく。
ブースに避難だ!」
「ペルジアさん、さすがにそれはないですよ。
ラルフ様も気にしすぎですよ」
「君は悪魔を知らない!
君が絡んだ時のグレインビルは悪魔だ!
私も行く!
ヤバい、殺気が····」
ラルフ様、さすがにないですよ、そんなこと。
レイヤード義兄様はせいぜい冷たい天使ですって。
ということで、同行者が1人増えちゃったというわけ。
途中慌てたラルク様にお腹に手をまわされ、荷物のように腕で担がれた。
リーとカステラがリバースコラボしそうだったのは内緒だよ。
僕はここでもお手伝いらしき子供にお願いする。
すぐに奥からカイヤさんが出てきた。
「アリーちゃん、久しぶり!
いつもご贔屓にしてくれてありがとう!
可愛らしい坊やに変装しちゃってもうー!
ところで今日はお義兄さん達じゃなく、素敵なナイトを2人連れてるのねぇ」
「ふふふ、そうでしょう。
特にお耳と尻尾がとっても素敵なんですよ」
「あらあら、相変わらずモフり好きね」
そう、今現在平静を装う僕にはあれから狐耳とふさふさ尻尾の連れが1人増えた。
というか、僕の変装能力はもしかして相当低いのかな?!
カイヤさんて人属だよね、お鼻の利きって関係ないよね?!
僕はすかさず後ろの2人を振り返る。
え、すでに目をそらされている····反応早くない····。
「····レイヤード兄様と同じ学園に通ってる、ペルジア=アボット様と、ラルク=ハーティス様です」
ーーーー
西のブースから出て10分もしない頃だった。
「アリー嬢?
どうしてアボット先輩といる?」
とラルク様に後ろから声をかけられたんだ。
あれ、僕変装し直したんだけど?
でも振り返って最初に飛び込む金のお耳とふさふさ尻尾。
一気にテンションあがっちゃうよね!
「ラルク、学園以外で会うのは珍しいな。
兄達の商会のブースにアリー嬢が来ていたのに居合わせた。
東のブースまで送って行くところだ」
「ラルク様、お久しぶりです。
とりあえずお暇なら大人しくそのお耳と尻尾を差し出して下さい。
去年の言伝ては聞いております」
僕は矢継ぎ早に挨拶と要求を済ませる。
「え、いきなり?!
何か禁断症状みたいな顔になってるけど、調子悪いのか?」
くっ、お耳がピンとしつつもピクピク動いて誘ってくれちゃって!
「いえ、軽く禁断症状なだけです。
お耳と尻尾がたりません。
でもレイヤード兄様の、知らない人のは触らないという約束は頑張って守りました」
「あぁ、そういうことか。
確かに私と君は知り合いだったな。
ほら、触っていいよ。
レイヤードはどうして一緒にいない?
マルスに生徒会の仕事を丸投げして帰ったはずなんだが」
ああ、なんて素晴らしき手触り!
「ふふー、予想通りの硬めのふわふわ!
ありがとうございます。
レイヤード兄様は多分僕に気づかれないようにどこかから見守ってると思います。
父様はさすがにないと思いますが、バルトス兄様も怪しいですね」
「····グレインビルならあり得そうな話だな。
ん、僕?
あぁ、それ、変装····いや、全然気づかなかった!
まぁ、そうだ、獣人は鼻が利くからな。
でもどうして兄達は一緒しないんだ?」
何かちょっと前に聞いたような慰められ方されてるけど、獣人さんは鼻が利くからか。
そうだよね、絶対!
少しショックを受けつつも、僕はラルク様のふわふわ尻尾に抱きついてメロメロだ。
ついでにそーっとお耳に右手をのばす。
頭を下げて触りやすくしてくれた。
瀕死のモフりゲージがやっと回復するー!
「元々10才になって体調が良ければ1人でお祭りに行っていい約束だったんです。
なので今年1人デビューなんです」
「····貴族令嬢にそんなデビューないだろう。
大体、こういう祭りに令嬢は来ないぞ?」
「んー、侯爵令嬢だから?」
僕はコテンと首をかしげつつ、両手でお耳を触り始める。
「····侯爵令嬢も貴族の中では結構な身分だぞ。
俺はグレインビルだからだと思うが」
「あ、じゃあそれです」
「····軽いな。
そんなに耳と尻尾触って楽しいのか?」
少し呆れたお顔で僕を見るけど、僕の目は全力でお耳にロックオンだ!
「楽しいというより、癒しですね。
ふふふ、ペルジアさんのもいつか触りたいです」
「目が獲物見つけた獣みたいだな。
触りたければ今触ってもいいぞ?」
「····くっ、試されてる····兄様のイジワルめ!
····き、今日は諦めます····兄様との約束が····うぅっ····あるの、で····イジワルめ!」
「レイヤードの悪口言いながら触るのはやめるんだ!
後で私がヤツに殺られる!
アボット先輩もやめるんだ!」
ペルジアさんのせっかくの申し出を断っていると、ラルフ様が焦ったようにおたおたし始める。
さすがにレイヤード義兄様もそんな鬼じゃないと思うよ?
「アイツはそんなになのか····なんだ、殺気?!
と、とりあえずここは人目につく。
ブースに避難だ!」
「ペルジアさん、さすがにそれはないですよ。
ラルフ様も気にしすぎですよ」
「君は悪魔を知らない!
君が絡んだ時のグレインビルは悪魔だ!
私も行く!
ヤバい、殺気が····」
ラルフ様、さすがにないですよ、そんなこと。
レイヤード義兄様はせいぜい冷たい天使ですって。
ということで、同行者が1人増えちゃったというわけ。
途中慌てたラルク様にお腹に手をまわされ、荷物のように腕で担がれた。
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