17 / 20
17.長い初恋に・・・・武装?
しおりを挟む
「きゅい、きゅい、きゅい」
「あら、お花ちゃん。
お昼寝は終わったの?」
さっきまで影の中で眠っていたお花ちゃんがスモールサイズで飛び出して胸に飛び込んできたわ。
寝起きは甘えん坊さんなの。
毎回可愛いくて顔がデレデレしちゃうのよね。
「きゅぎゃ」
「ふふふ、そうね。
今日は私のお兄様達の為にお花ちゃんも協力してちょうだいね」
「きゅっぎゃ」
胸を張るお花ちゃんの可愛らしさが何て暴力的なのかしら。
今回の余興は聖竜のクロちゃんだけじゃないわ。
古竜のお花ちゃんにも協力をお願いしてるのよ。
せっかくだもの。
S級冒険者として恥ずかしくない余興をしてみせるわ!
もちろんこの依頼の報酬はご祝儀に上乗せよ。
家族を危険に晒さない為に籍を抜いたとはいっても、気持ちの上では愛する私の家族だもの。
籍を抜く時だって先にちゃんと伝えておいたんだから。
お父様とお兄様達には泣かれたけれど。
だから家族であるお兄様達のおめでたいイベントで報酬を受け取ったなんてケチはつけたくないの。
S級冒険者はギルド本部からの連絡が直通で繋がる特殊な伝達方法があるのだけれど、生家とも連絡が取れるようにしておきましょう。
次からはギルド経由で依頼なんて、もったいない事をさせないようにしなくちゃね。
それより今日の結婚式にダーリン(仮)はいるかしら?
いる、わよね?
ここ5年、剣聖の噂は全然聞かないし、冒険者として活動もしていないみたいなのよね。
一応後見人になっているから、冒険者活動していればすぐに私にはわかるのよ。
もしかしたら、もう冒険者を辞めたのかしら?
それに・・・・愛する誰かと結ばれたかしら?
もちろん頭ではわかっているのよ。
きっとそれならそれで私も幸せだって。
だって彼が安息の場所を築けたという事なのだもの。
だからこの5年、私だって忘れようと努力したのよ。
色々な所に行って心を無にしようとしたり、パーティーに紛れて男性との出会いを求めてみたり、あの王女様に求婚して列をなす王子様達を物色してみた事だってあったもの。
けれど無理だったわ。
長い初恋で嫌になっちゃう。
だけど彼を探して想いをまた伝えようとまでは思えなかったの。
ただでさえあの時私はダーリン(仮)の戸籍上の家族への傷を抉った上に、これ以上ない直接的な手段で彼の仲間を断罪したんだもの。
当事者である彼の意志を確認すらせずに。
しかも勝手に後見人になったし。
その後元仲間達の悲惨な末路を知った彼は胸を痛めたんじゃないかしら。
もしかして、私を恨んだかしら?
挙げ句私は今や知る人ぞ知る二つ名持ちのS級冒険者よ?
ちなみに最近じゃ赤白の竜使いとか呼ばれているんだけど、断じて認めないわ。
お花ちゃんもクロちゃんも私のお友達だし、可愛らしい2頭に使われてるのは私の方よ!
もちろん喜んで下僕になっているんだから!
今日みたいな時はお願いしてるけど、無理強いはしていないもの。
2頭共優しいからすぐに了承してくれるだけよ。
まあそれはともかく、彼の前に私が現れて幸せになってるはずの彼の傷をまた抉ったりしちゃ可哀想でしょ?
それに私が籍を抜いた家族と接触して万が一何かがあっても彼は胸を痛めそうだから、私も家族に自分から連絡しようとはしなかったの。
まあうちの家族は物理で強いし、頭脳戦ならお母様が得意だから万が一すらないだろうけれど。
それでも彼にとって私の家族は心の家族のはずよ。
私の事で家族に何かがあれば、ダーリン(仮)なら自分は心配かけまいとして頼れなくなるわ。
それじゃ彼にとって心の家族になれなくなっちゃうじゃない?
ほら、家族、とういかこの場合実家っていうのかしら?
何かあったり、ちょっと自分ていうのが揺らいでしまったりする時の自分のベースポイントとか、お寛ぎスポットとか、そういう無意識に足の向く場所ね。
ダーリン(仮)にとってそういう場所に私の家族はなっていたはずだし、冒険者になった彼はちょっとそこらへん忘れてたと思うけど、あの時私の家族の所に転移させたからきっと思い出したはずよ。
私の家族は適当だけど底抜けに明るくて、弱くて情けない所もある自分も大好きな、芯をしっかり持った心の強い人達だもの。
彼にとって必要な心の家族だって思い出させたはずだわ。
本当は彼が戸籍上の家族と縁を切って私の家族の養子に入る事。
それが何よりもベストなのだけれど、彼は甘いからきっとよほどの気持ちの切り替えができなければそうしないでしょうしね。
「がうがうがう!」
不意にクロちゃんが声を上げて到着をお知らせしてくれる。
通常サイズの時は声が野太いの。
うちの竜達はそんな声も可愛らしいのよ。
ここは昔々の前世聖女だった時の私の家族が移り住んだ場所よ。
孤児だった私は寝食を共にする中で、家族になった彼らを心から愛していたわ。
だからこそ冤罪にかけられた私はクロちゃんにお願いして彼らごと断罪しようとしたあの国の魔の手から逃がしたのよ。
「「ミルティア、お帰り!」」
あら、ここまで声が届いたわ。
風魔法を使って拡声したにしても相変わらず声が大きいのね、お兄様達。
視界が開けて見えたのは、誓いの言葉を終えて来賓にもみくちゃに祝われている2組の新郎新婦。
あら?
本人達の家族と身近な親族くらいしか参加しない、内々の結婚式だと聞いていたけれど、広場にはこの領内の人達が勢ぞろいしていないかしら?
しかも今日の主役達とその家族以外・・・・武装している、わ、ねえ?
「あら、お花ちゃん。
お昼寝は終わったの?」
さっきまで影の中で眠っていたお花ちゃんがスモールサイズで飛び出して胸に飛び込んできたわ。
寝起きは甘えん坊さんなの。
毎回可愛いくて顔がデレデレしちゃうのよね。
「きゅぎゃ」
「ふふふ、そうね。
今日は私のお兄様達の為にお花ちゃんも協力してちょうだいね」
「きゅっぎゃ」
胸を張るお花ちゃんの可愛らしさが何て暴力的なのかしら。
今回の余興は聖竜のクロちゃんだけじゃないわ。
古竜のお花ちゃんにも協力をお願いしてるのよ。
せっかくだもの。
S級冒険者として恥ずかしくない余興をしてみせるわ!
もちろんこの依頼の報酬はご祝儀に上乗せよ。
家族を危険に晒さない為に籍を抜いたとはいっても、気持ちの上では愛する私の家族だもの。
籍を抜く時だって先にちゃんと伝えておいたんだから。
お父様とお兄様達には泣かれたけれど。
だから家族であるお兄様達のおめでたいイベントで報酬を受け取ったなんてケチはつけたくないの。
S級冒険者はギルド本部からの連絡が直通で繋がる特殊な伝達方法があるのだけれど、生家とも連絡が取れるようにしておきましょう。
次からはギルド経由で依頼なんて、もったいない事をさせないようにしなくちゃね。
それより今日の結婚式にダーリン(仮)はいるかしら?
いる、わよね?
ここ5年、剣聖の噂は全然聞かないし、冒険者として活動もしていないみたいなのよね。
一応後見人になっているから、冒険者活動していればすぐに私にはわかるのよ。
もしかしたら、もう冒険者を辞めたのかしら?
それに・・・・愛する誰かと結ばれたかしら?
もちろん頭ではわかっているのよ。
きっとそれならそれで私も幸せだって。
だって彼が安息の場所を築けたという事なのだもの。
だからこの5年、私だって忘れようと努力したのよ。
色々な所に行って心を無にしようとしたり、パーティーに紛れて男性との出会いを求めてみたり、あの王女様に求婚して列をなす王子様達を物色してみた事だってあったもの。
けれど無理だったわ。
長い初恋で嫌になっちゃう。
だけど彼を探して想いをまた伝えようとまでは思えなかったの。
ただでさえあの時私はダーリン(仮)の戸籍上の家族への傷を抉った上に、これ以上ない直接的な手段で彼の仲間を断罪したんだもの。
当事者である彼の意志を確認すらせずに。
しかも勝手に後見人になったし。
その後元仲間達の悲惨な末路を知った彼は胸を痛めたんじゃないかしら。
もしかして、私を恨んだかしら?
挙げ句私は今や知る人ぞ知る二つ名持ちのS級冒険者よ?
ちなみに最近じゃ赤白の竜使いとか呼ばれているんだけど、断じて認めないわ。
お花ちゃんもクロちゃんも私のお友達だし、可愛らしい2頭に使われてるのは私の方よ!
もちろん喜んで下僕になっているんだから!
今日みたいな時はお願いしてるけど、無理強いはしていないもの。
2頭共優しいからすぐに了承してくれるだけよ。
まあそれはともかく、彼の前に私が現れて幸せになってるはずの彼の傷をまた抉ったりしちゃ可哀想でしょ?
それに私が籍を抜いた家族と接触して万が一何かがあっても彼は胸を痛めそうだから、私も家族に自分から連絡しようとはしなかったの。
まあうちの家族は物理で強いし、頭脳戦ならお母様が得意だから万が一すらないだろうけれど。
それでも彼にとって私の家族は心の家族のはずよ。
私の事で家族に何かがあれば、ダーリン(仮)なら自分は心配かけまいとして頼れなくなるわ。
それじゃ彼にとって心の家族になれなくなっちゃうじゃない?
ほら、家族、とういかこの場合実家っていうのかしら?
何かあったり、ちょっと自分ていうのが揺らいでしまったりする時の自分のベースポイントとか、お寛ぎスポットとか、そういう無意識に足の向く場所ね。
ダーリン(仮)にとってそういう場所に私の家族はなっていたはずだし、冒険者になった彼はちょっとそこらへん忘れてたと思うけど、あの時私の家族の所に転移させたからきっと思い出したはずよ。
私の家族は適当だけど底抜けに明るくて、弱くて情けない所もある自分も大好きな、芯をしっかり持った心の強い人達だもの。
彼にとって必要な心の家族だって思い出させたはずだわ。
本当は彼が戸籍上の家族と縁を切って私の家族の養子に入る事。
それが何よりもベストなのだけれど、彼は甘いからきっとよほどの気持ちの切り替えができなければそうしないでしょうしね。
「がうがうがう!」
不意にクロちゃんが声を上げて到着をお知らせしてくれる。
通常サイズの時は声が野太いの。
うちの竜達はそんな声も可愛らしいのよ。
ここは昔々の前世聖女だった時の私の家族が移り住んだ場所よ。
孤児だった私は寝食を共にする中で、家族になった彼らを心から愛していたわ。
だからこそ冤罪にかけられた私はクロちゃんにお願いして彼らごと断罪しようとしたあの国の魔の手から逃がしたのよ。
「「ミルティア、お帰り!」」
あら、ここまで声が届いたわ。
風魔法を使って拡声したにしても相変わらず声が大きいのね、お兄様達。
視界が開けて見えたのは、誓いの言葉を終えて来賓にもみくちゃに祝われている2組の新郎新婦。
あら?
本人達の家族と身近な親族くらいしか参加しない、内々の結婚式だと聞いていたけれど、広場にはこの領内の人達が勢ぞろいしていないかしら?
しかも今日の主役達とその家族以外・・・・武装している、わ、ねえ?
0
お気に入りに追加
97
あなたにおすすめの小説
(完結)嫌われ妻は前世を思い出す(全5話)
青空一夏
恋愛
私は、愛馬から落馬して、前世を思いだしてしまう。前世の私は、日本という国で高校生になったばかりだった。そして、ここは、明らかに日本ではない。目覚めた部屋は豪華すぎて、西洋の中世の時代の侍女の服装の女性が入って来て私を「王女様」と呼んだ。
さらに、綺麗な男性は、私の夫だという。しかも、私とその夫とは、どうやら嫌いあっていたようだ。
些細な誤解がきっかけで、素直になれない夫婦が仲良しになっていくだけのお話。
嫌われ妻が、前世の記憶を取り戻して、冷え切った夫婦仲が改善していく様子を描くよくある設定の物語です。※ざまぁ、残酷シーンはありません。ほのぼの系。
※フリー画像を使用しています。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
逆行転生した侯爵令嬢は、自分を裏切る予定の弱々婚約者を思う存分イジメます
黄札
恋愛
侯爵令嬢のルーチャが目覚めると、死ぬひと月前に戻っていた。
ひと月前、婚約者に近づこうとするぶりっ子を撃退するも……中傷だ!と断罪され、婚約破棄されてしまう。婚約者の公爵令息をぶりっ子に奪われてしまうのだ。くわえて、不貞疑惑まででっち上げられ、暗殺される運命。
目覚めたルーチャは暗殺を回避しようと自分から婚約を解消しようとする。弱々婚約者に無理難題を押しつけるのだが……
つよつよ令嬢ルーチャが冷静沈着、鋼の精神を持つ侍女マルタと運命を変えるために頑張ります。よわよわ婚約者も成長するかも?
短いお話を三話に分割してお届けします。
この小説は「小説家になろう」でも掲載しています。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる