魔科大戦〜世に挑んだ一人の少年〜

鹿之翆才

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序章〜終わり、そして始まり〜

【第六話】ありがとう【前編】

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  10年がたった、私の息子【ヘルク】はすくすくと育って行った。ジャックも自分の息子のように可愛がってくれている、まるで母親が二人いるようだ、私にそんな趣味はないがな、でも、もし結婚するならジャックみたいな男の人がいいなぁ、とは思う。
「おかーさん?どーしたのー」
「どうもしてないよー、なんでそんなこと聞くの?」
「おかーさん、なんか変なかおしてたから」
「嘘!どんな顔だった?」
「えーとねー、なんかいつもより赤かったの、ねつでもあったのかなって」
「そんなことないよー!大丈夫!」
  私はめいっぱいの笑顔を作って言った、そんな時突然、
「なあ」
「ひゃい!!」
「、、、、どうした、変な声出して」
「驚いたの!!」
「あっそ」
  興味無さそうにジャックは話を続ける、
「あいつ、来ないな」
「、、、、だから何?」
「いや、前までは週一で来てたのに最近見なくなったなぁって」
「、、、、確かにどうしてかしら、牢獄ここ自体も前より静かになったわよね」
「表で何が起きようが知ったこっちゃないけどさ、こうも色々急に変わると、少しきになるよな」
  いつになく真面目な顔で話すジャックを見て変なのと思った。
「おかーさん?」
「?どうしたの?ヘルク」
「いまむずかしいおはなししてたの?ぼく邪魔?」
「そんなことないよー!ヘルクがいてくれるだけでおかーさん達はめいっぱい幸せだからね!」
「そうだぞ~ジャック~邪魔なんて立派な言葉どこで習ったんだコノヤロー」
  そう言いながらジャックはヘルクの頭をワシワシと撫でヘルクも笑っていた。
  少し前、と言ってもヘルクが生まれる前まではこんな生活無理だと思っていた、なのにいまは、こんなに幸せだ、場所は牢獄なのに、とてもいい環境とは言えない場所なのに、私にとってはここは、いやこの二人がいる所は私のいる所でもあるんだ、二人ともありがとう、
「大好き!!!」
  二人に抱きつきながらそう言った、
「、、、、どうしたんだよ、そんな急に」
「おかーさんどこかぐあいわるいの?」
「違わい、全く二人して失礼な奴らねー、そんなんじゃモテないわよ」
「俺はモテなくてもいいしー」
「おかーさん、もてるってなあに?」
「なんでもないよ、大人になったら分かるんじゃない?」
「わかった!!ぼくはやくおとなになる!!」
「ばーか大人にはななろうと思ってなれるもんじゃねーんだよ~、あと10年待ちな」
「わかった!!まつ!!」
「10年なんてあっという間よ~すーぐ歳とっちゃってもうやんなっちゃう!!」
「お前は俺より歳下だろ!!こっちのセリフだよ!!」
「そうだったけ!!」
  そう言うと私は急に可笑しくなってきて思わず笑ってしまった、ジャックもそれにつられて大笑いしていた、ヘルクはジャックの真似をしてワハハと叫んでいた。
  嗚呼、この幸せがずっと続けばいいのにと再び思った。

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