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13.文化の違いってやつ

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カイルとの結婚式が終わり、次はエルの結婚式。
カイルの時はみんなとてもバタバタしていて家に1人でいることが多かったから、まだこの生活が続くのかと思っていただけど、エルの準備は1人でするらしい。

というか本来自分の色は自分で準備するものだけど、カイルの時は急いでたからみんなで手分けしてたみたい。
家に誰かがいてくれる時間が増えるのは嬉しいな。



「イズミル、家を建てようと思うんだが、どんな家がいい?」

「この家じゃなくてってこと?」

「そうだ。この家は手狭すぎるだろう?今は夫が3人しかいないからいいが、もっと増えると入らなくなる」



この世界では普通、妻の実家に夫と一緒に住むのだけど、私には実家がないから新しく家を建てることになるという。
私は全くお金を持ってないし働いてもないからとても申し訳ないんだけど、みんなに甘えてしまってる。

この国の普通の家は共用の大きなリビングやキッチンと各個人の部屋という、私の思う家とほとんど変わらないものらしい。
しかも私が思うよりずっとおっきい。

今4人で住んでいる家はアパートみたいなとこで、私からしたら十分広いんだけど、ここは1人から2人が住むような部屋で、みんなからしたらとても窮屈なんだそう。
ここよりも大きな家ってだけで楽しみなんだけど、現状の私の生活はカイル達に頼りすぎてる。
生活が安定したら仕事を見つけないといけないかな。


「イズミが使えるような家具を作るには少し時間がかかると思う」

お茶を入れてくれてるツィリムも話に参加してくれる。私には魔素しかなくて、魔法回路は存在しない。
この世界では魔法は日常動作、魔術は特殊技能という風に分類されていて、魔法は全員が使えるものだ。
なのに私はそれが使えない。
現代日本で言うと水道、ガス、電気のライフラインが使うような状態なんだ。
そんな私のために、ツィリムが回路を道具の中に組み込んだものを作ってくれる。

「面倒かけてごめんね」

「大丈夫、イズミのためだから」

ツィリムは最近言葉数が多くなってきてるのはいいんだけど、いちいち甘いセリフを挟むのやめてほしい。
私の心臓が持たないから……

「あの、カイル、お願いがあるんだけど」

「何だ?」

「新しくお家を建てるなら、お風呂を作って欲しいんだけど」

「オフロ?なんだそれは」

この国にはお風呂に入るという習慣は無い。
洗浄魔法で一瞬で綺麗にできるからだ。
衛生的には問題ないのは分かってても、ゆっくりお湯に浸かってリフレッシュしたいんだ!


「お風呂っていうのは大きな器にお湯をためて、その中に入るの。
あったかくてとってもくつろげるからできれば欲しいなって思って」

「それはそんなに難しくはないからできると思うぞ」

お風呂の細かい作りなど、欲しいものを一通り言って作ってもらうように頼んだ。

新しいお家が建つのが楽しみだ!


「イズミルの希望はお風呂を作ることだけでいいか?」

「それ以外は別にないかな。どんな家でもこの4人で住んだらきっと楽しいよ」

「……可愛いこと言うじゃねーか」


カイルは少し照れたように頬を染めて軽々と私を抱き上げる。

ソファーに座って、私を膝の上で横抱きにしてキスの雨を降らせる。
私は抵抗できるはずもなくただただカイルの思いのこもったキスを受け止める。

啄むようなキスが私の呼吸を奪うかのような深いキスにかわり、口内を蹂躙されるキスの心地よさに溺れそうになっていた私だけど……


「ちょっ、、ちょっと待って、ツィリムが……」

カイルにキスされること自体はいい。
私もカイルのこと好きだしね。


でもこの部屋にはツィリムもいる。
しかも普通にこっちを見てるの!

私には見られながらしたいような特殊性癖はないってことを訴えたかったのに、なぜかツィリムが近づいてきた。

ソファーの隣に膝立ちになり、そのままキスされる。

「ちょっと待って、ツィリム。いや、やめて!」

とっさにツィリムの肩を押しのけると、ツィリムはとても傷ついた顔をしていた。



「カイルは良くて、俺はダメ?」

いや、そうじゃない、そうじゃないんだって!

「1人ずつにしてほしいんだけど……」

「何で?」

「何でって……恥ずかしいから。逆にそれ以外何があるのよ?」

「何が恥ずかしいんだ?」

全く分からないといった様子のカイル。
文化の違いが大きすぎる。

「私の元いた世界は男と女が同じ数だけいたから、男女ひとりずつの夫婦が普通だったのだけど、ここはそうじゃないじゃない?
旦那さんがたくさんいることはわかったし、受け入れられたんだけど、他の人が見てる前でイチャつくのはちょっとハードル高すぎて……」

「そうか、なるほどな。わかった」

文化が違うからと、カイルは納得してくれた。
でも……

「慣れて」

ツィリムは一言そう言った。

「慣れてって言っても……」

「俺は第3夫だ。1回に一人づつなら俺はイズミに触れない」

なるほどその考えは確かになかった。
でもここで納得して引き下がるわけにはいかない!

「でも恥ずかしいものは恥ずかしいから無理なの!!」

「大丈夫、慣れる」

ツィリムはそう言いながら私の髪を梳くようになで、耳に噛み付く。
対抗するようにカイルにキスされて、気持ちいいのに背徳感がすごい。



「俺もエルもツィリムもイズミルのことが大好きなんだ。
俺たちの希望としては3人、もし今後夫が増えたらその人たちも、平等に隔たり無く愛してほしい。
イズミルの育ってきたところとは全く違うということは分かってるし、あくまでもそうなってくれたら嬉しいということだが」

優しい笑顔でそう言われて、なるべく旦那さんたちの希望に添えるようにはしたいと思うけど……

とりあえず耳をなめ続けるツィリムを何とかしてからにしてください!!

落ち着いて話ができません!!



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