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117.薬配布
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117.薬配布
「怪我をしている人! こちらへ来て回復薬を持って行ってください!」
手を止める時間ももったいなくて、とにかく叫ぶ。
「回復薬だって!?」
私の叫びを聞いたおっちゃんが駆け寄ってくる。
「はい、これ、使って!」
「本当に良いのか!?」
「いいよ、怪我してるんだから。そっちの子は? 出来れば、より重症な人に使ってあげて欲しいんだけと」
「もちろんだ。これがあれば、俺の息子は助かるぞ!」
おっちゃんも怪我してるからと思って渡したけど、ぐったりしてしまっている子どもの方が先だ。
胸の辺りに大きな切り傷が出来ている子に振り掛けるだけで、淡い光とともに傷がみるみる塞がった。
「おおー、そうなるんだ」
自分の作った回復薬の効果を直接見て、凄さを実感する。
これは、誰だって欲しくなるだろうな。
それを見る間も手は止まらない。
「あの、わたしも、ほしいの!」
大泣きしている10歳くらいの女の子がやって来たから、事情も何も聞かずにとりあえず薬を渡す。
「はい、どーぞ!」
「ありがと!」
走ってどこかへ行ったことを思えば、連れて逃げることすら出来なかったんだろう。
カストルさんの話だと、★では表面的な傷しか治らないらしいけど、大丈夫かな。効果が足りないかもしれないけど。
ただ、今そんな心配をしている余裕はない。
わらわらと人が集まってきて、皆それぞれに薬を持って行こうとするから、そこで争いになりそうだ。
「喧嘩する元気があるなら薬はいらないよね!!!! 今作ってるんだからさ!!!!」
一喝すると静まり返り、今度こそ大人しく並んでくれる。皆その場で自分には使わずに、どこかへ行くことを思えば、動けないほど重傷な人が沢山居るんだろう。
「スピカちゃん、そのままで聞いてくれる?
アルマクさんからメッセージでアイテムを送って貰うことって、出来ないよね?」
「はい」
「薬草を作って、って頼んだのが昨日のお昼だから、多分もう出来てるはずなんだよ。
彼のことだから、多分★★で作ってくれてると思うし」
そう言いつつ、スキルを発動させる一瞬の隙をついてメニューを開く。
今の私の錬成レベルは19。
経験値バーはかなり貯まってきていて、こうして大量生産している間にも上がりそうだ。
「私のスキルレベルはもうすぐ20になって、★★素材を使えるようになるから、アルマクさんから薬草を受け取って来て欲しいの」
「ですが、私はそんなに大量に持てません」
「そっか……。どうしよ。
あ、そうだ! ミンタカを連れて行って、私に送って貰って。
あの子を安全な所へ連れて行けるし、一石二鳥よね」
周りに聞こえにくいように、胸ポケットにいるスピカちゃんとこそこそ話す私は、傍から見たら独り言の激しい人かもしれないけど。
「そうですね! 分かりました!」
スピカちゃんはぴゅーんと勢いよく飛んで行ってくれた。
これで、★★素材はそのうち持ってきてくれるね。
「怪我をしている人! こちらへ来て回復薬を持って行ってください!」
手を止める時間ももったいなくて、とにかく叫ぶ。
「回復薬だって!?」
私の叫びを聞いたおっちゃんが駆け寄ってくる。
「はい、これ、使って!」
「本当に良いのか!?」
「いいよ、怪我してるんだから。そっちの子は? 出来れば、より重症な人に使ってあげて欲しいんだけと」
「もちろんだ。これがあれば、俺の息子は助かるぞ!」
おっちゃんも怪我してるからと思って渡したけど、ぐったりしてしまっている子どもの方が先だ。
胸の辺りに大きな切り傷が出来ている子に振り掛けるだけで、淡い光とともに傷がみるみる塞がった。
「おおー、そうなるんだ」
自分の作った回復薬の効果を直接見て、凄さを実感する。
これは、誰だって欲しくなるだろうな。
それを見る間も手は止まらない。
「あの、わたしも、ほしいの!」
大泣きしている10歳くらいの女の子がやって来たから、事情も何も聞かずにとりあえず薬を渡す。
「はい、どーぞ!」
「ありがと!」
走ってどこかへ行ったことを思えば、連れて逃げることすら出来なかったんだろう。
カストルさんの話だと、★では表面的な傷しか治らないらしいけど、大丈夫かな。効果が足りないかもしれないけど。
ただ、今そんな心配をしている余裕はない。
わらわらと人が集まってきて、皆それぞれに薬を持って行こうとするから、そこで争いになりそうだ。
「喧嘩する元気があるなら薬はいらないよね!!!! 今作ってるんだからさ!!!!」
一喝すると静まり返り、今度こそ大人しく並んでくれる。皆その場で自分には使わずに、どこかへ行くことを思えば、動けないほど重傷な人が沢山居るんだろう。
「スピカちゃん、そのままで聞いてくれる?
アルマクさんからメッセージでアイテムを送って貰うことって、出来ないよね?」
「はい」
「薬草を作って、って頼んだのが昨日のお昼だから、多分もう出来てるはずなんだよ。
彼のことだから、多分★★で作ってくれてると思うし」
そう言いつつ、スキルを発動させる一瞬の隙をついてメニューを開く。
今の私の錬成レベルは19。
経験値バーはかなり貯まってきていて、こうして大量生産している間にも上がりそうだ。
「私のスキルレベルはもうすぐ20になって、★★素材を使えるようになるから、アルマクさんから薬草を受け取って来て欲しいの」
「ですが、私はそんなに大量に持てません」
「そっか……。どうしよ。
あ、そうだ! ミンタカを連れて行って、私に送って貰って。
あの子を安全な所へ連れて行けるし、一石二鳥よね」
周りに聞こえにくいように、胸ポケットにいるスピカちゃんとこそこそ話す私は、傍から見たら独り言の激しい人かもしれないけど。
「そうですね! 分かりました!」
スピカちゃんはぴゅーんと勢いよく飛んで行ってくれた。
これで、★★素材はそのうち持ってきてくれるね。
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