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3日目の朝、バスを待っているとディーンがあらわれた。

早めの時間ということもあり、他のおっさんはいなかった。

ディーンは私の横にならんだ。

私は、まあ、バスが来るまでちょっと予習でもしておこうかな、とテキストを読んでいた。

すると、ディーンが私に声をかけてくるではないか!

「あ、そのテキスト!  もしかしてお姉さんも同じ講習受けてますか?」

さわやかな笑顔だった。

朝の小鳥のささやき、起き抜けに聞くクラシック、そんな風な響きのある声だった。

私の心臓はドキドキした。久しぶりの感覚だった。

これは……たしか学生の時に感じたものだ。

そう、クラスで一番人気の男子に話しかけられた時のあれと似ていた。

キュンってやつ。

赤くなっている私にディーンは首をかたむけて話しかけてくる。

背が高かった。180くらいありそうだった。

身長差20か……最高じゃん♡

「あれ?  違いますか?」
「いえいえ、私も受けています、この講習」
「あ、やっぱりね、実は会場でもお姉さんをみかけてたんです」
「ええ!  そうなんですか?」
「はい!  お姉さん1人だけ綺麗なので目立ってますよ」
「えっ……」

私の心臓は爆発しそうに熱くなってきた。
  
ヤバイ顔にでるかもしれない。
  
いや、もう遅かった。
  
ディーンの笑顔を見ていたら、私も笑顔になっていた。
  
バスが来た。
  
私はディーンの隣に座るとお互いの自己紹介をした。
  
ディーンは〇〇と名乗ったが、私の中ではもうディーンだった。
 
彼は本当に素敵で話すことが楽しいのなんの……。
  
会場の冷房が効きすぎててヤダーとか。
  
先生の話がボソボソ聞き取りにくくってちゃんとしゃべってよ~おじいちゃ~ん。
  
だとか、話の波長か妙にあった。本当に面白かった。
  
あっという間にバスは目的地まで着いてしまった。
  
でも、ディーンは会場ではいたって真面目だった。
  
講習中のディーンはメガネをかけていた。
  
服装は綺麗目なビジネスカジュアルでゆるすぎず決めすぎず、その姿勢がなによりもナチュラルで、休憩中、たまに目があうと笑ってくれて……いやん♡……もう無理だった。
  
おかげで、せっかく前の席で講習を受けているのにぜんぜん先生の言っていることが理解できなかった。
  
ただ、先生が「ここテストにでますよ」と言ったところをマーカーで線を引くという作業をしているにすぎなかった。
  
どうしよう、テストに落ちたら……。

この時、ふと、出張に行ってきていいよと背中を押してくれた旦那と娘の顔が浮かんだ。
  
頑張らないと!  とほっぺたをパシッと叩いて気持ちを切り替えた。
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