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第二章 ローマ旅行で賢者に覚醒ですわ!
2 ローマに降り立つ
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スヤスヤ~むにゃむにゃ……。
はしゃぎ疲れた理音は、シートを深く倒して眠ってしまった。
窓の外は真っ暗な空が広がり、星空が見えた。
暗闇の中を飛行機がジェット気流の風に乗っている。
現在の空路は、太陽の届かないエリアを飛行しているわけだ。
イヤホンをつけているハルカは、芥川の朗読に耳を傾けていた。
蜘蛛の糸を聞いていた。心はお釈迦様のように澄み切っていた。
おもむろに飛行機の窓から下界を覗いてみる。
するとヨーロッパの夜景が見えて、わっすごい、と歓喜の声を囁いた。
フライト時間は約13時間。そろそろ目的地に着いてもいいころだ。
飛行機は日本の成田空港を離陸すると、直行でローマ上空まで飛び立った。
やがて着陸態勢に入った飛行機から、腹に格納していた車輪が飛び出す。
そして滑走路に舞い降りた。
ここはローマ・フィウミチーノ空港。
別名、『レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港』と呼ばれている空港だ。
ローマの現在時刻はちょうど夜の十九時。
日本を出発したのは昼の一四時くらい。
ローマは日本の時刻より、八時間遅いわけだ。
そうなってくると理音は、やっぱり時差ボケになっていた。
フライトで熟睡していたから、ほぇ……いま何時、なんて聞いてくる始末。
「あらあら……」
ハルカは、よたよた歩く理音の腕を介護しながら、こう思った。
きっとリオンはまだまだ眠たいのですわ……まるで眠り姫ね……。
それほど理音は日本で働き詰めだった。
過酷な労働条件を強いられて、精神的にも肉体的にも疲れていたわけだ。
そんな理音を引っ張りながら、ハルカは鉄道に乗り込んだ。
緑白赤のイタリア国旗が目印のレオナルド・エクスプレス。
空港からローマ中心部にあるテルミニ駅までノンストップで運行する。
所要時間三十分の陸の旅だ。
テルミニ駅に到着して外に出てすぐ、タクシーを拾った。
テベレ河の上流を目指すように移動し、ホテルデルシエでチェックイン。
長いフライトで疲れていたので街に繰り出すことはしなかった。
ローマの夜景を見ているだけで幸せな気分を味わえた。
最高のローケーションで晩ご飯を食べることができた。
胃袋も幸せになった二人は、そのまま部屋に直行した。
はしゃぎ疲れた理音は、シートを深く倒して眠ってしまった。
窓の外は真っ暗な空が広がり、星空が見えた。
暗闇の中を飛行機がジェット気流の風に乗っている。
現在の空路は、太陽の届かないエリアを飛行しているわけだ。
イヤホンをつけているハルカは、芥川の朗読に耳を傾けていた。
蜘蛛の糸を聞いていた。心はお釈迦様のように澄み切っていた。
おもむろに飛行機の窓から下界を覗いてみる。
するとヨーロッパの夜景が見えて、わっすごい、と歓喜の声を囁いた。
フライト時間は約13時間。そろそろ目的地に着いてもいいころだ。
飛行機は日本の成田空港を離陸すると、直行でローマ上空まで飛び立った。
やがて着陸態勢に入った飛行機から、腹に格納していた車輪が飛び出す。
そして滑走路に舞い降りた。
ここはローマ・フィウミチーノ空港。
別名、『レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港』と呼ばれている空港だ。
ローマの現在時刻はちょうど夜の十九時。
日本を出発したのは昼の一四時くらい。
ローマは日本の時刻より、八時間遅いわけだ。
そうなってくると理音は、やっぱり時差ボケになっていた。
フライトで熟睡していたから、ほぇ……いま何時、なんて聞いてくる始末。
「あらあら……」
ハルカは、よたよた歩く理音の腕を介護しながら、こう思った。
きっとリオンはまだまだ眠たいのですわ……まるで眠り姫ね……。
それほど理音は日本で働き詰めだった。
過酷な労働条件を強いられて、精神的にも肉体的にも疲れていたわけだ。
そんな理音を引っ張りながら、ハルカは鉄道に乗り込んだ。
緑白赤のイタリア国旗が目印のレオナルド・エクスプレス。
空港からローマ中心部にあるテルミニ駅までノンストップで運行する。
所要時間三十分の陸の旅だ。
テルミニ駅に到着して外に出てすぐ、タクシーを拾った。
テベレ河の上流を目指すように移動し、ホテルデルシエでチェックイン。
長いフライトで疲れていたので街に繰り出すことはしなかった。
ローマの夜景を見ているだけで幸せな気分を味わえた。
最高のローケーションで晩ご飯を食べることができた。
胃袋も幸せになった二人は、そのまま部屋に直行した。
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