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第一章 悪徳モンスターはざまぁしますわ!
15 灰かぶりの理音
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店内の掃除をする理音。
雑巾で窓を拭き、汚くなっているところを見つけては綺麗にする。
一方で、他のスタッフたちは客へ新しく提案するプランの予行練習をしている。
所謂ロープレというやつだ。それが終わるといよいよ開店となった。
行列を作っていた客たちが我さきにと来店してくる。店は一気に賑わい、スタッフたちはその対応に追われる。心なしか案内ロボットの変わらない表情も焦って見えた。
だが理音は相変わらず掃除をしていた。制服の格好で膝をつく理音は、
ゴシゴシ……。
雑巾で床を磨いていた。
理音は無自覚だが、なんとも言えないエロチックな女の曲線を描いていた。
跪いたスカートから、パツンとお尻が張り出し、太ももが露わになっている。
それは強烈なインパクトを街ゆく男たち、また同僚の男性スタッフたちに与えていた。立ち止まり、ジッと理音を見つめる者さえいた。鼻の下をのばす男性たちとは対照的に女性の客たちは、
なんであのスタッフだけ掃除をしているの?
という白い目で見られる。安っぽい笑みと、見下した感情が顔に出ている。
恥ずかしがりながらも理音は、黙々と店内の掃除を繰り返す。
掃除をやめたら、副店長から何をいわれるかわかったもんじゃないからだ。
もういっそ、店から逃げてやろうかとも思っていた。
だが、理音にはそんな勇気はなかった。ただひたすら掃除を続けた。
やがて特に汚いところが無くなるまで、掃除が行き届いた。
というか、そもそも店内の清掃は別の業者に委託してある。
週一でワックスまでかけてくれているのだから、店内は最初から綺麗なのだ。
それなのに、理音がずっと掃除をしているのはわけがあった。
これは朝礼に遅れた罰だからだ。
今日は店長の大塚がいなかった。近々移動になるので今日は引っ越し作業をしているらしい。代わりに店を仕切るのは副店長の木和田明美だった。明美は朝礼に遅れてきた理音にブチギレた。遅れた理由さえ聞かず、頭ごなしに理音に命令を下した。
「あなたは罰として掃除していなさい! 勤務中ずっとですからねっ」
クスクス……。
スタッフの密かな笑い声が聞こえてきた。
仕方なく、はいと返事をする理音。
問題なのはこれがパワハラだということだ。
だが、理音にはそこまでのことを考える余裕がなくなっていた。自分は能力がなくて愚かで、何もできないクズだと卑下していた。だったら、ずっと隅で隠れながら掃除してた方がいい。目立ちたくない。誰にも見られたくない。このまま消えてしまいたい……心に穴が空いた。泣きそうになった。膝をついた床の冷たさが全身に回る。温もりがどこにもなくなった。ふと、窓ガラスに映る自分の顔を見ると無表情だった。繕った顔のない自分だけが映っていた。
集団で虐められた理音の脳は萎縮して、冷静な判断ができない。
ただ黙って掃除することしかできなかった。
雑巾で窓を拭き、汚くなっているところを見つけては綺麗にする。
一方で、他のスタッフたちは客へ新しく提案するプランの予行練習をしている。
所謂ロープレというやつだ。それが終わるといよいよ開店となった。
行列を作っていた客たちが我さきにと来店してくる。店は一気に賑わい、スタッフたちはその対応に追われる。心なしか案内ロボットの変わらない表情も焦って見えた。
だが理音は相変わらず掃除をしていた。制服の格好で膝をつく理音は、
ゴシゴシ……。
雑巾で床を磨いていた。
理音は無自覚だが、なんとも言えないエロチックな女の曲線を描いていた。
跪いたスカートから、パツンとお尻が張り出し、太ももが露わになっている。
それは強烈なインパクトを街ゆく男たち、また同僚の男性スタッフたちに与えていた。立ち止まり、ジッと理音を見つめる者さえいた。鼻の下をのばす男性たちとは対照的に女性の客たちは、
なんであのスタッフだけ掃除をしているの?
という白い目で見られる。安っぽい笑みと、見下した感情が顔に出ている。
恥ずかしがりながらも理音は、黙々と店内の掃除を繰り返す。
掃除をやめたら、副店長から何をいわれるかわかったもんじゃないからだ。
もういっそ、店から逃げてやろうかとも思っていた。
だが、理音にはそんな勇気はなかった。ただひたすら掃除を続けた。
やがて特に汚いところが無くなるまで、掃除が行き届いた。
というか、そもそも店内の清掃は別の業者に委託してある。
週一でワックスまでかけてくれているのだから、店内は最初から綺麗なのだ。
それなのに、理音がずっと掃除をしているのはわけがあった。
これは朝礼に遅れた罰だからだ。
今日は店長の大塚がいなかった。近々移動になるので今日は引っ越し作業をしているらしい。代わりに店を仕切るのは副店長の木和田明美だった。明美は朝礼に遅れてきた理音にブチギレた。遅れた理由さえ聞かず、頭ごなしに理音に命令を下した。
「あなたは罰として掃除していなさい! 勤務中ずっとですからねっ」
クスクス……。
スタッフの密かな笑い声が聞こえてきた。
仕方なく、はいと返事をする理音。
問題なのはこれがパワハラだということだ。
だが、理音にはそこまでのことを考える余裕がなくなっていた。自分は能力がなくて愚かで、何もできないクズだと卑下していた。だったら、ずっと隅で隠れながら掃除してた方がいい。目立ちたくない。誰にも見られたくない。このまま消えてしまいたい……心に穴が空いた。泣きそうになった。膝をついた床の冷たさが全身に回る。温もりがどこにもなくなった。ふと、窓ガラスに映る自分の顔を見ると無表情だった。繕った顔のない自分だけが映っていた。
集団で虐められた理音の脳は萎縮して、冷静な判断ができない。
ただ黙って掃除することしかできなかった。
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