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プロローグ
2 暗黒竜 vs 勇者&賢者
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勇者は、鞘から剣を抜いて振りかざす、爽やかイケメン。
賢者は、両手を広げて呪文を唱える、絶世の美少女。
ザッ!
勇者は颯爽と走り出す。
砂埃を巻き上げる突風をものともせず、速攻でドラゴンに対峙する。
「うぉっりゃぁぁぁ!」
暗黒竜の膝に狙いをつけて斬りつける。
バシンッ!
だが、暗黒竜の太い尻尾が鞭のようにしなると、勇者をなぎ払った。
「うわぁ!」
弾け飛ぶ勇者の体は、地面に激しく叩きつけられた。
腰を強く打ち、足は流血して赤く染まっている。重症だ。
「無念……もう戦えそうにない……」
そこへ血相を変えた賢者が駆け寄ってくる。
両手が青白く光り輝く。その光が優しく勇者を包み込んだ。
すると、勇者の傷はみるみるうちに回復していく。魔法のようだ。
シャキッと立ち上がる勇者は、ありがとう、といって頬笑んだ。
賢者は、顔を上げて暗黒竜を睨みつけると、高らかに声を発した。
「勇者様! さぁ、私の魔法バリアに入ってください!」
「わかった!」
賢者の両手が、一層に青く光り輝き、もの凄いスピードでどんどん拡大していく。それはまるでドーム型の大きな雪の結晶のようになって、王都全体を包み込んだ。
その瞬間!
「グゥワァァァァーーーー!」
暗黒竜は灼熱の炎を吐き出した。
まさに間一髪だった。
真っ赤に燃え盛る炎のすべてを、魔法バリアで防いでいる。
こうして、賢者のおかげで王都は守ることができたのだった……。
だが、喜んだままではいられない。
暗黒竜は呆気なく炎を吐くのやめた。
そして、グルルと唸り声を上げると、大きな翼を広げはじめる。
飛び立とうとしていた。上空から王都を襲撃するつもりだ。
ピコリン!
頭のキレる賢者は、良いアイデアが閃いた。
「さぁ、今から勇者様に攻撃力を百万倍にする強化魔法をかけます。それで暗黒竜を倒してください!」
「ひゃっ、百万倍!? そんなにめちゃくちゃな魔力を使ったら、王都を守ってるバリアが消えてしまうじゃないか?」
「はい……その通りです……ですが、一か八か勇者様にこの私の命、いや、王都みんなの命を預けます!」
「ううむ……よし、わかった! やってみる!」
そうと決まった賢者は、勇者に強化魔法をかける。
青く光輝く勇者の剣。
空間が揺れてスパーク。火花が舞い散る。
グン!
一直線、光が射すように大地を疾走する勇者。
翼を大きく広げた暗黒竜に迫る。
「おりゃぁぁぁぁぁあ!」
雄叫びを上げた勇者は、大きく剣を振り上げて……。
ザンッ!
巨大な青い魔法斬が、物凄い勢いで暗黒竜に向かって飛んでいき……命中!
「グガガガガガガッ!」
暗黒竜は断末魔を叫びながら、真っ二つに裂かれて沈黙した。
晴れて王都に平和が訪れたのだった。
賢者は、両手を広げて呪文を唱える、絶世の美少女。
ザッ!
勇者は颯爽と走り出す。
砂埃を巻き上げる突風をものともせず、速攻でドラゴンに対峙する。
「うぉっりゃぁぁぁ!」
暗黒竜の膝に狙いをつけて斬りつける。
バシンッ!
だが、暗黒竜の太い尻尾が鞭のようにしなると、勇者をなぎ払った。
「うわぁ!」
弾け飛ぶ勇者の体は、地面に激しく叩きつけられた。
腰を強く打ち、足は流血して赤く染まっている。重症だ。
「無念……もう戦えそうにない……」
そこへ血相を変えた賢者が駆け寄ってくる。
両手が青白く光り輝く。その光が優しく勇者を包み込んだ。
すると、勇者の傷はみるみるうちに回復していく。魔法のようだ。
シャキッと立ち上がる勇者は、ありがとう、といって頬笑んだ。
賢者は、顔を上げて暗黒竜を睨みつけると、高らかに声を発した。
「勇者様! さぁ、私の魔法バリアに入ってください!」
「わかった!」
賢者の両手が、一層に青く光り輝き、もの凄いスピードでどんどん拡大していく。それはまるでドーム型の大きな雪の結晶のようになって、王都全体を包み込んだ。
その瞬間!
「グゥワァァァァーーーー!」
暗黒竜は灼熱の炎を吐き出した。
まさに間一髪だった。
真っ赤に燃え盛る炎のすべてを、魔法バリアで防いでいる。
こうして、賢者のおかげで王都は守ることができたのだった……。
だが、喜んだままではいられない。
暗黒竜は呆気なく炎を吐くのやめた。
そして、グルルと唸り声を上げると、大きな翼を広げはじめる。
飛び立とうとしていた。上空から王都を襲撃するつもりだ。
ピコリン!
頭のキレる賢者は、良いアイデアが閃いた。
「さぁ、今から勇者様に攻撃力を百万倍にする強化魔法をかけます。それで暗黒竜を倒してください!」
「ひゃっ、百万倍!? そんなにめちゃくちゃな魔力を使ったら、王都を守ってるバリアが消えてしまうじゃないか?」
「はい……その通りです……ですが、一か八か勇者様にこの私の命、いや、王都みんなの命を預けます!」
「ううむ……よし、わかった! やってみる!」
そうと決まった賢者は、勇者に強化魔法をかける。
青く光輝く勇者の剣。
空間が揺れてスパーク。火花が舞い散る。
グン!
一直線、光が射すように大地を疾走する勇者。
翼を大きく広げた暗黒竜に迫る。
「おりゃぁぁぁぁぁあ!」
雄叫びを上げた勇者は、大きく剣を振り上げて……。
ザンッ!
巨大な青い魔法斬が、物凄い勢いで暗黒竜に向かって飛んでいき……命中!
「グガガガガガガッ!」
暗黒竜は断末魔を叫びながら、真っ二つに裂かれて沈黙した。
晴れて王都に平和が訪れたのだった。
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