42 / 46
第四章 この星に彼女がいることを知る
4
しおりを挟む
旧森下家に真里を連れていこうとしたが、やめた。
ハンドルを握りしめていた手に力がこもる。悩んでいたのだ。心なしか踏み込むアクセルもゆるい。
「どうしたの? 和泉くん?」
「いや、実は……」
口ごもざるを得なかった。なぜなら真里が住んでいた家は、もうないからだ。いや、正確に言うと、今は他人が住んでいる。つまり、真里が住んでいた家は売られたのだ。なぜ、そんなことになったのか。それは、真里が行方不明になったことが原因で両親が離婚したからだ。そのようなことを、真里の母親である恭子さんが漏らしたことがある。
したがって、真里の思い出の家は、ありふれた戸建ての注文住宅らしい外観くらいしか残っていない。内装とともに、切り取られた過去を話してやらなければならない。心苦しいが、彼女が叫び出す、その前に。
助手席に座る真里は、運転する俺の横顔を、ジッと見つめている。よし、言うなら今だな。
「あのな、真里」
「ん?」
「十年の間に変わってしまったものがあるんだ」
「え? なに?」
「実はな……真里が住んでいた家は、今は誰か他の人が住んでいるんだ」
「えぇぇっぇぇ! マジかっ」
さすが心は女子高生の若者だ。
反応が呆気ない。その、マジか、という言葉だけで、この問題が片付けられたら、本当に魔法のような言葉だ。
「マジか……」
真里は何度も、何度も呪文のようにつぶやく。
「じゃあ、パパとママはどこにいるの?」
「そのことなんだが……」
「え、ちょ、まって……あはは、離婚したの?」
胃が締め付けられる感覚に襲われる。即答できず、小さく頷くことしかできない。
そんな俺を見た真里は「そっか……」と肩を落とし、目線を車窓に移す。流れる木々と、メロウな夕陽の赤く滲んだ空を眺めながら。
何を思っているのだろうか。遠くを見つめる、その美しい瞳で。
悲しかったら、泣けばいいのになあ。
そう思うのだが、泣いていいぞ、なんて軽々しくて言えない。正直、なんて言っていいかわからないこともある。
気づけば、日が落ちるのも日増しに早くなってきて、小さな秋が近づいている。季節が移り変わるように、人間もまた、歳をとる。揺れる夏草も枯れていく。それでも、変わらないものがある。
信じる心、愛、親子の絆、赤い血で結ばれた螺旋の遺伝子。
未来永劫と繋ぐ希望の架け橋、幸せ、子どもたちの笑い声。
乗り越えなければならない過去がある。嫌なことは忘れ、ただ前だけ向いて信じて生きる。例えそれが嘘だとしても。
やがて車は、一軒の家にたどり着いた。
いや、正確には家ではない。豪邸だ。真里の母方、つまり恭子さんの実家は裕福と言っても過言ではない。
背の高い石材の壁に囲まれ、庭から勇壮な松の木が夕空に向かって伸びている。屋敷は和洋折衷のアールデコ風のある佇まいで、古き良き時代の建築士によるセンスが窺える。
車を路肩に停め、いったん俺だけが外に出てチャイムを鳴らす。
すると、家政婦さんが対応してくれた。シャッターが開き、空いているところに駐車してよいと言われたので、俺はそれにしたがって車を駐車する。隣にはポルシェ、メルセデス、レクサスといった高級車が並んでいる。そのようなガレージの光景は、いかにも金持ちだな、という印象を受ける。レクサスのフロントグリルを見つめる真里は、乾いた唇を舐めると口を開いた。
「久しぶりに来たわ、おばあちゃんち」
「そうか……」
相槌が下手くそだな、俺は。
こういうときに、男らしい気の利いたことを言ってやりたいが、言葉がなかなか出てこない。俺の頭の中は推理することしかできなかった。根っからの探偵気質がまとわりついている。真里の言葉から察するに、祖父よりも祖母のほうが好きなことが推察される。
数回ほどこの豪邸におじゃまし、真里の祖父と会ったことがあるが、とても威厳がある人で、市議会議員を務めたこともあるのだとか。はぁ、ため息が漏れる。できることならひとまず真里を、ポンと置いて帰りたい。というのが本音だが、そんなことはできない。真里を発見した経緯、そして記憶を喪失したこと、この二つを説明しなければならない。ああ、こんなときに、あかねちゃんがいてくれたら上手く話をまとめてくれるのになあ。
ん? まって……まさか、俺って知らず知らずのうちに……。
あかねちゃんロスになってる?
待て待て待て、俺が未成年の少女を意識するわけがない。
落ち着け、なんだったんだ、今の感情は?
まったく俺らしくない。俺じゃない新しい生命が、頭の中で生まれたような気分だ。ああ、わけがわからない。
「どうしたの?」
真里が不思議そうな目で俺を見つめている。
「いや、なんでもない」
かぶりを振るが、自分でもよくわからない感情があふれていた。真里が見つかって嬉しいはずなのに、なぜだろうか? どこか胸騒ぎがする。
玄関までのアプローチを歩いていると、玄関の扉が開く。
出て来たのは四十代のふっくらした女性、真里の母親である恭子さんだ。真里を見た瞬間、目を剥いた。驚愕の念を抱いて身体を震わせている。それは当然だろう。十年ぶりの母と子の再会だ。俺は一歩引いて、遠くから見守ることにした。
「ま……真里なの?」
信じられない、と言った顔を浮かべる恭子さんは震える手で口を抑えている。真里は恭子さんを見るなり、サッと駆け出す。
「ママ……」
目には涙を浮かべ、恭子さんに抱きつく。
「ママ、ママ……」
泣き叫ぶ真里の姿は、まるで迷子になった子どもが母親の胸に飛びつくような、そんな光景だった。
恭子さんは真里の頭を優しくなでながら、「よくぶじで……」と感涙している。すると、開いた扉から老夫婦が顔を出す。真里の祖父母、清さんと和代さんが立っていた。
「まりちゃん……なの? さぁ、恭子、あがって、あがって」
そう和代さんに促された恭子さんは、真里の肩を抱きながら豪邸のなかに入っていく。
ああ、このまま帰ろうかなあ、と俺は思った。そのときだった。
清さんが渋い声で「和泉くん、ちょっと……」と手招きしてくる。このまま帰ることはできない。それならばと。こちらから清さんに近寄り、軽く頭を下げる、「真里さんを見つけました」と言って微笑を浮かべつつ、さらに説明をつづける。
「真里さんはどこにも外傷はなく。健康です」
「そうか、御苦労様でした。ありがとう」
「いえ……ですが、一つだけ問題が」
「ん?」
清さんは目を丸くすると、顎の髭に触れる。さらに説明を求めるサインのようだ。俺は話をつづける。
「真里さんは記憶を失っています。おそらく何らかのショックを受けたものと思われます」
「なんだって? ま、まず、真里はどこにいたんだ?」
「蓮水小学校付近の路上で倒れていました」
「なんでそんなところに?」
「わかりません。ネットからの匿名情報を手がかりに調査をした結果、真里さんを見つけたので……」
「そうか……まぁ、とにかく真里の身体に異常はないのだな?」
「はい、その点に関しては大丈夫です。むしろ、真里さんは元気ですよ」
「やや、それはよかった……よかった……」
頬を緩ませ泣きそうになっている清さんを見ていると、本当に真里を心配していたのだな、と感じとれる。
あれは、俺が大学を卒業する四年前。清さんと話しをしたとき。
真里のことは諦めて自分の人生を歩みなさい。
そんなふうに諭してくれた清さんを、俺は睨みつけた。あのとき、そんな薄情なことはできないと叫び、この豪邸から飛び出した記憶を思い出す。省みると、俺は非常に痛い青年だったのかも知れない。真里がいなくなったことをいいわけにして、幸せをわざと取りこぼす心の闇。そんな泥まみれの黒歴史を歩いていたが、結果的にこうやって真里を連れてきたんだから、チャラにして欲しいものだ。
清さんは薄っすら目に涙を浮かべながら、「ま、あがりなさい」と促し、手のひらを俺に向けた。
ハンドルを握りしめていた手に力がこもる。悩んでいたのだ。心なしか踏み込むアクセルもゆるい。
「どうしたの? 和泉くん?」
「いや、実は……」
口ごもざるを得なかった。なぜなら真里が住んでいた家は、もうないからだ。いや、正確に言うと、今は他人が住んでいる。つまり、真里が住んでいた家は売られたのだ。なぜ、そんなことになったのか。それは、真里が行方不明になったことが原因で両親が離婚したからだ。そのようなことを、真里の母親である恭子さんが漏らしたことがある。
したがって、真里の思い出の家は、ありふれた戸建ての注文住宅らしい外観くらいしか残っていない。内装とともに、切り取られた過去を話してやらなければならない。心苦しいが、彼女が叫び出す、その前に。
助手席に座る真里は、運転する俺の横顔を、ジッと見つめている。よし、言うなら今だな。
「あのな、真里」
「ん?」
「十年の間に変わってしまったものがあるんだ」
「え? なに?」
「実はな……真里が住んでいた家は、今は誰か他の人が住んでいるんだ」
「えぇぇっぇぇ! マジかっ」
さすが心は女子高生の若者だ。
反応が呆気ない。その、マジか、という言葉だけで、この問題が片付けられたら、本当に魔法のような言葉だ。
「マジか……」
真里は何度も、何度も呪文のようにつぶやく。
「じゃあ、パパとママはどこにいるの?」
「そのことなんだが……」
「え、ちょ、まって……あはは、離婚したの?」
胃が締め付けられる感覚に襲われる。即答できず、小さく頷くことしかできない。
そんな俺を見た真里は「そっか……」と肩を落とし、目線を車窓に移す。流れる木々と、メロウな夕陽の赤く滲んだ空を眺めながら。
何を思っているのだろうか。遠くを見つめる、その美しい瞳で。
悲しかったら、泣けばいいのになあ。
そう思うのだが、泣いていいぞ、なんて軽々しくて言えない。正直、なんて言っていいかわからないこともある。
気づけば、日が落ちるのも日増しに早くなってきて、小さな秋が近づいている。季節が移り変わるように、人間もまた、歳をとる。揺れる夏草も枯れていく。それでも、変わらないものがある。
信じる心、愛、親子の絆、赤い血で結ばれた螺旋の遺伝子。
未来永劫と繋ぐ希望の架け橋、幸せ、子どもたちの笑い声。
乗り越えなければならない過去がある。嫌なことは忘れ、ただ前だけ向いて信じて生きる。例えそれが嘘だとしても。
やがて車は、一軒の家にたどり着いた。
いや、正確には家ではない。豪邸だ。真里の母方、つまり恭子さんの実家は裕福と言っても過言ではない。
背の高い石材の壁に囲まれ、庭から勇壮な松の木が夕空に向かって伸びている。屋敷は和洋折衷のアールデコ風のある佇まいで、古き良き時代の建築士によるセンスが窺える。
車を路肩に停め、いったん俺だけが外に出てチャイムを鳴らす。
すると、家政婦さんが対応してくれた。シャッターが開き、空いているところに駐車してよいと言われたので、俺はそれにしたがって車を駐車する。隣にはポルシェ、メルセデス、レクサスといった高級車が並んでいる。そのようなガレージの光景は、いかにも金持ちだな、という印象を受ける。レクサスのフロントグリルを見つめる真里は、乾いた唇を舐めると口を開いた。
「久しぶりに来たわ、おばあちゃんち」
「そうか……」
相槌が下手くそだな、俺は。
こういうときに、男らしい気の利いたことを言ってやりたいが、言葉がなかなか出てこない。俺の頭の中は推理することしかできなかった。根っからの探偵気質がまとわりついている。真里の言葉から察するに、祖父よりも祖母のほうが好きなことが推察される。
数回ほどこの豪邸におじゃまし、真里の祖父と会ったことがあるが、とても威厳がある人で、市議会議員を務めたこともあるのだとか。はぁ、ため息が漏れる。できることならひとまず真里を、ポンと置いて帰りたい。というのが本音だが、そんなことはできない。真里を発見した経緯、そして記憶を喪失したこと、この二つを説明しなければならない。ああ、こんなときに、あかねちゃんがいてくれたら上手く話をまとめてくれるのになあ。
ん? まって……まさか、俺って知らず知らずのうちに……。
あかねちゃんロスになってる?
待て待て待て、俺が未成年の少女を意識するわけがない。
落ち着け、なんだったんだ、今の感情は?
まったく俺らしくない。俺じゃない新しい生命が、頭の中で生まれたような気分だ。ああ、わけがわからない。
「どうしたの?」
真里が不思議そうな目で俺を見つめている。
「いや、なんでもない」
かぶりを振るが、自分でもよくわからない感情があふれていた。真里が見つかって嬉しいはずなのに、なぜだろうか? どこか胸騒ぎがする。
玄関までのアプローチを歩いていると、玄関の扉が開く。
出て来たのは四十代のふっくらした女性、真里の母親である恭子さんだ。真里を見た瞬間、目を剥いた。驚愕の念を抱いて身体を震わせている。それは当然だろう。十年ぶりの母と子の再会だ。俺は一歩引いて、遠くから見守ることにした。
「ま……真里なの?」
信じられない、と言った顔を浮かべる恭子さんは震える手で口を抑えている。真里は恭子さんを見るなり、サッと駆け出す。
「ママ……」
目には涙を浮かべ、恭子さんに抱きつく。
「ママ、ママ……」
泣き叫ぶ真里の姿は、まるで迷子になった子どもが母親の胸に飛びつくような、そんな光景だった。
恭子さんは真里の頭を優しくなでながら、「よくぶじで……」と感涙している。すると、開いた扉から老夫婦が顔を出す。真里の祖父母、清さんと和代さんが立っていた。
「まりちゃん……なの? さぁ、恭子、あがって、あがって」
そう和代さんに促された恭子さんは、真里の肩を抱きながら豪邸のなかに入っていく。
ああ、このまま帰ろうかなあ、と俺は思った。そのときだった。
清さんが渋い声で「和泉くん、ちょっと……」と手招きしてくる。このまま帰ることはできない。それならばと。こちらから清さんに近寄り、軽く頭を下げる、「真里さんを見つけました」と言って微笑を浮かべつつ、さらに説明をつづける。
「真里さんはどこにも外傷はなく。健康です」
「そうか、御苦労様でした。ありがとう」
「いえ……ですが、一つだけ問題が」
「ん?」
清さんは目を丸くすると、顎の髭に触れる。さらに説明を求めるサインのようだ。俺は話をつづける。
「真里さんは記憶を失っています。おそらく何らかのショックを受けたものと思われます」
「なんだって? ま、まず、真里はどこにいたんだ?」
「蓮水小学校付近の路上で倒れていました」
「なんでそんなところに?」
「わかりません。ネットからの匿名情報を手がかりに調査をした結果、真里さんを見つけたので……」
「そうか……まぁ、とにかく真里の身体に異常はないのだな?」
「はい、その点に関しては大丈夫です。むしろ、真里さんは元気ですよ」
「やや、それはよかった……よかった……」
頬を緩ませ泣きそうになっている清さんを見ていると、本当に真里を心配していたのだな、と感じとれる。
あれは、俺が大学を卒業する四年前。清さんと話しをしたとき。
真里のことは諦めて自分の人生を歩みなさい。
そんなふうに諭してくれた清さんを、俺は睨みつけた。あのとき、そんな薄情なことはできないと叫び、この豪邸から飛び出した記憶を思い出す。省みると、俺は非常に痛い青年だったのかも知れない。真里がいなくなったことをいいわけにして、幸せをわざと取りこぼす心の闇。そんな泥まみれの黒歴史を歩いていたが、結果的にこうやって真里を連れてきたんだから、チャラにして欲しいものだ。
清さんは薄っすら目に涙を浮かべながら、「ま、あがりなさい」と促し、手のひらを俺に向けた。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説


ダブルネーム
しまおか
ミステリー
有名人となった藤子の弟が謎の死を遂げ、真相を探る内に事態が急変する!
四十五歳でうつ病により会社を退職した藤子は、五十歳で純文学の新人賞を獲得し白井真琴の筆名で芥山賞まで受賞し、人生が一気に変わる。容姿や珍しい経歴もあり、世間から注目を浴びテレビ出演した際、渡部亮と名乗る男の死についてコメント。それが後に別名義を使っていた弟の雄太と知らされ、騒動に巻き込まれる。さらに本人名義の土地建物を含めた多額の遺産は全て藤子にとの遺書も発見され、いくつもの謎を残して死んだ彼の過去を探り始めた。相続を巡り兄夫婦との確執が産まれる中、かつて雄太の同僚だったと名乗る同性愛者の女性が現れ、警察は事故と処理したが殺されたのではと言い出す。さらに刑事を紹介され裏で捜査すると告げられる。そうして真相を解明しようと動き出した藤子を待っていたのは、予想をはるかに超える事態だった。登場人物のそれぞれにおける人生や、藤子自身の過去を振り返りながら謎を解き明かす、どんでん返しありのミステリー&サスペンス&ヒューマンドラマ。
カフェ・シュガーパインの事件簿
山いい奈
ミステリー
大阪長居の住宅街に佇むカフェ・シュガーパイン。
個性豊かな兄姉弟が営むこのカフェには穏やかな時間が流れる。
だが兄姉弟それぞれの持ち前の好奇心やちょっとした特殊能力が、巻き込まれる事件を解決に導くのだった。

失せ物探し・一ノ瀬至遠のカノウ性~謎解きアイテムはインスタント付喪神~
わいとえぬ
ミステリー
「君の声を聴かせて」――異能の失せ物探しが、今日も依頼人たちの謎を解く。依頼された失せ物も、本人すら意識していない隠された謎も全部、全部。
カノウコウコは焦っていた。推しの動画配信者のファングッズ購入に必要なパスワードが分からないからだ。落ち着ける場所としてお気に入りのカフェへ向かうも、そこは一ノ瀬相談事務所という場所に様変わりしていた。
カノウは、そこで失せ物探しを営む白髪の美青年・一ノ瀬至遠(いちのせ・しおん)と出会う。至遠は無機物の意識を励起し、インスタント付喪神とすることで無機物たちの声を聴く異能を持つという。カノウは半信半疑ながらも、その場でスマートフォンに至遠の異能をかけてもらいパスワードを解いてもらう。が、至遠たちは一年ほど前から付喪神たちが謎を仕掛けてくる現象に悩まされており、依頼が謎解き形式となっていた。カノウはサポートの百目鬼悠玄(どうめき・ゆうげん)すすめのもと、至遠の助手となる流れになり……?
どんでん返し、あります。

聖女の如く、永遠に囚われて
white love it
ミステリー
旧貴族、秦野家の令嬢だった幸子は、すでに百歳という年齢だったが、その外見は若き日に絶世の美女と謳われた頃と、少しも変わっていなかった。
彼女はその不老の美しさから、地元の人間達から今も魔女として恐れられながら、同時に敬われてもいた。
ある日、彼女の世話をする少年、遠山和人のもとに、同級生の島津良子が来る。
良子の実家で、不可解な事件が起こり、その真相を幸子に探ってほしいとのことだった。
実は幸子はその不老の美しさのみならず、もう一つの点で地元の人々から恐れられ、敬われていた。
━━彼女はまぎれもなく、名探偵だった。
登場人物
遠山和人…中学三年生。ミステリー小説が好き。
遠山ゆき…中学一年生。和人の妹。
島津良子…中学三年生。和人の同級生。痩せぎみの美少女。
工藤健… 中学三年生。和人の友人にして、作家志望。
伊藤一正…フリーのプログラマー。ある事件の犯人と疑われている。
島津守… 良子の父親。
島津佐奈…良子の母親。
島津孝之…良子の祖父。守の父親。
島津香菜…良子の祖母。守の母親。
進藤凛… 家を改装した喫茶店の女店主。
桂恵… 整形外科医。伊藤一正の同級生だった。
秦野幸子…絶世の美女にして名探偵。百歳だが、ほとんど老化しておらず、今も若い頃の美しさを保っている。
エリカ
喜島 塔
ミステリー
藍浦ツバサ。21歳。都内の大学に通う普通の大学生。ただ、彼には、人を愛するという感情が抜け落ちていたかのように見えた。「エリカ」という女に出逢うまでは。ツバサがエリカと出逢ってから、彼にとっての「女」は「エリカ」だけとなった。エリカ以外の、生物学上の「女」など、すべて、この世からいなくなればいい、と思った。そんなふたりが辿り着く「愛」の終着駅とはいかに?
天使の顔して悪魔は嗤う
ねこ沢ふたよ
ミステリー
表紙の子は赤野周作君。
一つ一つで、お話は別ですので、一つずつお楽しいただけます。
【都市伝説】
「田舎町の神社の片隅に打ち捨てられた人形が夜中に動く」
そんな都市伝説を調べに行こうと幼馴染の木根元子に誘われて調べに行きます。
【雪の日の魔物】
周作と優作の兄弟で、誘拐されてしまいますが、・・・どちらかと言えば、周作君が犯人ですね。
【歌う悪魔】
聖歌隊に参加した周作君が、ちょっとした事件に巻き込まれます。
【天国からの復讐】
死んだ友達の復讐
<折り紙から、中学生。友達今井目線>
【折り紙】
いじめられっ子が、周作君に相談してしまいます。復讐してしまいます。
【修学旅行1~3・4~10】
周作が、修学旅行に参加します。バスの車内から目撃したのは・・・。
3までで、小休止、4からまた新しい事件が。
※高一<松尾目線>
【授業参観1~9】
授業参観で見かけた保護者が殺害されます
【弁当】
松尾君のプライベートを赤野君が促されて推理するだけ。
【タイムカプセル1~7】
暗号を色々+事件。和歌、モールス、オペラ、絵画、様々な要素を取り入れた暗号
【クリスマスの暗号1~7】
赤野君がプレゼント交換用の暗号を作ります。クリスマスにちなんだ暗号です。
【神隠し】
同級生が行方不明に。 SNSや伝統的な手品のトリック
※高三<夏目目線>
【猫は暗号を運ぶ1~7】
猫の首輪の暗号から、事件解決
【猫を殺さば呪われると思え1~7】
暗号にCICADAとフリーメーソンを添えて♪
※都市伝説→天使の顔して悪魔は嗤う、タイトル変更
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる