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第一章 目に見える世界が真実ではないことを知る
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「なんだと?」
「貴様の彼女だよ。十年前に失踪しているだろう。忘れたか?」
「……ん? なぜ君がそのことを知っている?」
全然意味がわからなかった。
なぜ今日会ったばかりの十四歳ツンデレ美少女のあかねちゃんが、俺の過去を知っているのか。そして、なぜこんなに上から目線なのか。全然意味がわからないが、あかねちゃんの真剣な顔は、皮肉なことに俺の心を動かしている。
頭の片隅に切り取ったアーカイブが、強制的に引っ張り出される感覚に襲われる。悲しくなる気持ちをなんとか抑え、あかねちゃんを見据えると尋ねた。
「どういうことだ? 妹ちゃん、説明してくれないか?」
あかねちゃんは、ふぅとため息をつくと首を横に振る。
「その前に、妹ちゃんって呼ぶのをやめろ」
「えっと……じゃあ、なんて呼べばいいのかな?」
「あかねでいい。貴様から妹ちゃんって呼ばれると……ヤダ」
「……ん?」
なぜたまに顔が赤くなるのだろうか?
たしかこれはツンデレ美少女特有の習性だと、ゲームかアニメで見たことがある。二次元空間でしか見たことがない圧倒的かつ神秘的な存在。そんな最強キャラに気圧された俺は、どうやってこの場を乗り越えればいいのかわからない。まぁ、とりあえずあかねちゃんと呼ぶことにしよう。
「あかねちゃん。なんで俺の彼女が行方不明なことを知っているのかな?」
「私のスマホに、匿名の情報が寄せられた」
「なに?」
「まずはこれを聞いてほしい」
あかねちゃんはきちんと感がある、可愛いハンドバッグからスマホを取り出すと、机の上に置く。そのスクリーンにはなんと、ボイスメモ『 和泉に聞かせろ#4 』と表示されているでないか。
なんだこれは?
三角形の再生ボタンが、いかにも押して欲しそうに浮かんでいた。
「貴様の彼女だよ。十年前に失踪しているだろう。忘れたか?」
「……ん? なぜ君がそのことを知っている?」
全然意味がわからなかった。
なぜ今日会ったばかりの十四歳ツンデレ美少女のあかねちゃんが、俺の過去を知っているのか。そして、なぜこんなに上から目線なのか。全然意味がわからないが、あかねちゃんの真剣な顔は、皮肉なことに俺の心を動かしている。
頭の片隅に切り取ったアーカイブが、強制的に引っ張り出される感覚に襲われる。悲しくなる気持ちをなんとか抑え、あかねちゃんを見据えると尋ねた。
「どういうことだ? 妹ちゃん、説明してくれないか?」
あかねちゃんは、ふぅとため息をつくと首を横に振る。
「その前に、妹ちゃんって呼ぶのをやめろ」
「えっと……じゃあ、なんて呼べばいいのかな?」
「あかねでいい。貴様から妹ちゃんって呼ばれると……ヤダ」
「……ん?」
なぜたまに顔が赤くなるのだろうか?
たしかこれはツンデレ美少女特有の習性だと、ゲームかアニメで見たことがある。二次元空間でしか見たことがない圧倒的かつ神秘的な存在。そんな最強キャラに気圧された俺は、どうやってこの場を乗り越えればいいのかわからない。まぁ、とりあえずあかねちゃんと呼ぶことにしよう。
「あかねちゃん。なんで俺の彼女が行方不明なことを知っているのかな?」
「私のスマホに、匿名の情報が寄せられた」
「なに?」
「まずはこれを聞いてほしい」
あかねちゃんはきちんと感がある、可愛いハンドバッグからスマホを取り出すと、机の上に置く。そのスクリーンにはなんと、ボイスメモ『 和泉に聞かせろ#4 』と表示されているでないか。
なんだこれは?
三角形の再生ボタンが、いかにも押して欲しそうに浮かんでいた。
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