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第一部 春
45 シエル VS ロック
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「はあ? シエル、おまえ本気か?」
ロックは呆れた顔をして僕のこと見つめてくる。むぅぅ、これだから脳筋は困る。言葉を理解できていないようなので、もう一度だけ説明することにした。
「だから、僕は拳闘部に入りたいんだよ!」
「なんで? おまえ中等部のころに逃げたじゃないか?」
「あ、あれは経典をマスターすることに集中したかったからだ」
「ほう、じゃあ、マスターできたのか?」
「ああ、完璧だ。父さんからはお墨付きをもらっている。拳闘部への入部だって許可は出ている」
「マジか……でもなんで? いまさら」
守りたい、僕はボソッとそう言った。ちょっと恥ずかしかった。ロックは眉根を寄せて尋ねてくる。「なに? なにを守るって?」
「マリ姉だよ! 僕は強くなってマリ姉を守れる男になるんだ!」
ロックは、くはははっと笑い飛ばした。人が真剣に言っているのに、なんだこいつは! ちょっと強いからって偉そうに、いまに見てろよ! 僕が本気で拳闘を習ったら、おまえなんかイチコロだかんなっ!
「じゃあ、老師に挨拶しに行くか」
「うん」
ここは拳闘部が稽古や試合をするための闘技場だ。屋根があるだけの敷地は、そんなに広くはない。拳闘の試合はタイマンだし、リングから出たら負けというルール。部員の数は十人程度で、今まさに拳を交える男子が二人いて、激しい火花を散らしている。おお、かっこいい……僕もあんなふうに強くなるんだ。
僕はロックに連れられて、闘技場の奥にある事務所の扉を開けて入った。そこには、お爺さんの先生である老師と呼ばれる人物と、その横には若い女が立っていた。妙な組み合わせだった。なぜ、こんな男の匂いが充満するむさ苦しいところに女が? ん? たしか、この女って……。僕が訝しんでいると、ロックは女を一瞥してから、老師に歩みよると頭をさげた。
「老師、こいつシエルって言うんですが入部させていいですか?」
「ん? シエルってフーマ教皇の息子さんの?」
「はい、いいっすか?」
チラッと僕を一瞥する老師は、「よかろう」と言って髭を触った。
安堵した僕は、深く頭を下げた。
「シエル・デトワールです! よろしくお願いします!」
元気ね、という甘い声が響いた。老師の隣で女が微笑んでいた。僕は女の顔を見て確信した。あ、この人は新任の先生だと。だが、ロックはわかっていないようで、訝しんだままだった。きっと、始業式のときに寝てたから知らないのだろう、ほんとロックはバカだ。
「ああ、ロック、紹介しよう」
「なんですか? 老師?」
「新しく拳闘部の顧問になった先生じゃ」
「誰が?」
「ほれ」
老師は女のお尻を、ぽんと叩くと自己紹介するよう促した。きゃっ、と小さく悲鳴をあげた女は、お辞儀をすると名乗った。
「新しく赴任したニコル・シュピオンよ。これからよろしくね」
綺麗な女だった。
金髪のハーフアップに容姿端麗な顔立ち。瞳の色はブルーなんて、絵に描いたようようなブロンド美人だ。ひゅう、おまけにおっぱいも大きい。マリ姉といい勝負だな……エロい。
「どういうことですか? 老師?」
ロックは顔をあげたニコル先生を見据えると尋ねた。
「わしも今年で定年じゃからな、後任を配属するように学園に頼んでおいたんじゃよ」
「……で、なんでこの女性が? そもそもこの女は先生なのか?」
ニコル先生はにっこりと笑うと、腕を組んで、ぷるるん、とおっぱいを強調させた。
「あら、先生への言葉使いがなっていないわね」
「すまない、ニコルくん。わが拳闘部の主将、ロック・コンステラじゃ」
「ロック・コンステラ、ふーん、教育が必要のようね」
「うむ、お手柔らかに頼む」
老師の言葉に反発するようにロックは首を振って、やれやれ、とぼやいた。
「今日はなんて日だ。シエルは入部するし、女の顧問はくるし、拳闘部が弱くなっちまうぜ」
老師は苦笑いするばかり。だが、ニコル先生は女として侮辱されたので、眉間にシワが寄っていた。僕は僕で、ロックの言葉が聞き捨てならなかったので切り返した。
「ロック! 僕が弱いって決めつけないでよ。ちゃんと人間の弱い部分はどこかってことぐらいは予習してあるんだ。僕と戦ったら負けるかもしれないよっ」
「上等だ、小僧っ! 試合してやるぜ」
すると、ロックはいきなり制服の上を脱ぎ捨てた。鋼の肉体がそこにはあった。筋肉の線がくっきりと見えて、いかにも屈強な戦士と言った感じだ。ずんずんと僕のほうに肉薄すると、恐怖心が込み上げてくる。うわぁぁ、やっぱ、勝てるわけがない……。
ロックは僕の首ねっこをつかむと、闘技場まで引きずった。
「ぎゃぁぁぁ、やめろぉぉぉ!」
「おいおい、そんな悲鳴をあげてたらマリは守れないぜ」
「むぅぅ、マリ姉のために……がんばるぞぉぉぉ!」
僕は勇気をだしてロックの手を振り払った。そして、制服を脱いで半裸になった。当然、僕の体は貧弱で華奢だ。自慢じゃないが、経典の本より重い物を持ったことがない。すると、ニコル先生が、あら、とささやいた。老師は、ふむ、とぼやく。
闘技場で戦っていた二人の男子生徒は、もう休憩していた。周りにはそれぞれ筋トレしたり、人間を見立てた人形を相手に、ボコスカ殴ったり訓練している。なんとも男臭い匂いも鼻につく。僕これからやっていけるのだろうか、急に不安になってきた。
「さあ、あがれよ」
ぐい、と手首を返したロックは、「こい」と誘ってくる。
ビクッと肩を震わせた僕は、一歩一歩、舞台にあがっていった。そのときだった。ニコル先生が僕に近づいてきたと思ったら、いきなり耳もとでささやいた。
「敵の弱点、どこかわかる?」
「え……」
「わかる?」
「えっと、たぶん……アキレス腱とか?」
「もっとうえよ」
「膝?」
「もっと、もっとうえ」
「じゃあ、太もも?」
「おしい」
「うーん」
おい! なに話してやがるとロックが怒鳴った。その刹那、
「おちんちん、蹴って」
とニコル先生が甘い息を僕の耳に吹きかけた。
マジか……。
おそるおそる舞台のなかに歩いていく僕は、ついにロックと向き合った。
見合った僕とロックの視線が交わった瞬間、
「はじめ!」
と老師の声が響いた。試合がはじまる合図だ。
ずん、ずん、と余裕たっぷりに接近してくるロックは、不敵な笑みを浮かべがら腕を伸ばして僕を捕まえようとしてくる。おそらく、場外へ投げ飛ばすつもりだろう。
触れられたら、アウトだ。
僕は小柄でスピードがある。それを利点にリングのなかを走り回った。
「おい! 戦え! 逃げるな!」
ロックの怒鳴り声が響くが、気にしない。逃げるは恥だが逃げまくる。あれ? ちょっと違うけど、まあいっか。すると、ロックは、腰を落とした。下半身に力が入れられて、みるみるうちに筋肉が盛り上がっている。やべぇ、タックルしてくるつもりだ。
僕はチーターに睨まれたウサギさんのように、びくっと身体が震え、思わず叫んでしまった。
「イヤだーーーー死にたくないっ」
その次の瞬間、ダンッ! とロックは地面を蹴った。風のような高速タックルが襲いかかる。僕はとっさに頭を抱えてダンゴムシのように丸まった。その後は簡単だった。
「よいしょっと……」
僕はロックに正面から抱きしめられてしまった。足は宙に浮き、裸のロックと密着した状態は、おえ、汗べたで最低の感触。
「ぎゃあああ、ヤダ、ヤダ」
悲鳴をあげて足をジタバタさせる僕は、なんて滑稽なのだろう。ああ、こんなに弱い僕なんか、とてもじゃないがマリ姉を守ってやることなんかできない。
ふとそのとき、半裸のロックがマリ姉を犯している幻覚が頭のなかをめぐった。ロックに無理やり抱きしめられて、いやん、離してって、嫌がるマリ姉の顔は悲痛に目を閉じていた。
助けて、シエル!
マリ姉から、そんな言葉を言われた幻聴が頭のなかに響いた。ああ、すべて得意の妄想だ。と同時に、ニコル先生のアドバイスも脳裏によぎった。
「おちんちん、蹴って」
よし……ロックは僕を抱きあげて油断している。今なら、おちんちんに膝蹴りを喰らわせそうだ!
ロックは僕をにらむと、冥土の土産とばかりにムカつく言葉を吐き捨ててきた。
「俺を倒すなんて百年はええんだよ、シエル、首を洗って出直してこい!」
カチンときた。
おちんちん、破壊してやるぅ!
ロックは僕を投げ飛ばすつもりで、腕を伸ばした。子どもが、高い高いされるみたいな状態となった僕は、この瞬間を待っていた。よし、いまだ!
「えいっ!」
僕は思いっきりロックのおちんちんに蹴りこんだ。
「ぐふぅぅぅ……」
ロックは膝から、ガクッと崩れ落ちた。僕はキョトンとした顔でリングに立ち、ふう、とひと息つく。
「勝った?」
そう尋ねながら、首を振ってニコル先生のほうを見ると、親指を立てて、グッジョブしていた。だが、老師は蓄えられた長い髭をいじくりながら、やれやれとばかりにつぶやいた。
「シエルくん、金的は反則じゃ」
横たわるロックは、「ここだけは鍛えられない……ぐへ」と嘆きながら涙を流していた。
ロックは呆れた顔をして僕のこと見つめてくる。むぅぅ、これだから脳筋は困る。言葉を理解できていないようなので、もう一度だけ説明することにした。
「だから、僕は拳闘部に入りたいんだよ!」
「なんで? おまえ中等部のころに逃げたじゃないか?」
「あ、あれは経典をマスターすることに集中したかったからだ」
「ほう、じゃあ、マスターできたのか?」
「ああ、完璧だ。父さんからはお墨付きをもらっている。拳闘部への入部だって許可は出ている」
「マジか……でもなんで? いまさら」
守りたい、僕はボソッとそう言った。ちょっと恥ずかしかった。ロックは眉根を寄せて尋ねてくる。「なに? なにを守るって?」
「マリ姉だよ! 僕は強くなってマリ姉を守れる男になるんだ!」
ロックは、くはははっと笑い飛ばした。人が真剣に言っているのに、なんだこいつは! ちょっと強いからって偉そうに、いまに見てろよ! 僕が本気で拳闘を習ったら、おまえなんかイチコロだかんなっ!
「じゃあ、老師に挨拶しに行くか」
「うん」
ここは拳闘部が稽古や試合をするための闘技場だ。屋根があるだけの敷地は、そんなに広くはない。拳闘の試合はタイマンだし、リングから出たら負けというルール。部員の数は十人程度で、今まさに拳を交える男子が二人いて、激しい火花を散らしている。おお、かっこいい……僕もあんなふうに強くなるんだ。
僕はロックに連れられて、闘技場の奥にある事務所の扉を開けて入った。そこには、お爺さんの先生である老師と呼ばれる人物と、その横には若い女が立っていた。妙な組み合わせだった。なぜ、こんな男の匂いが充満するむさ苦しいところに女が? ん? たしか、この女って……。僕が訝しんでいると、ロックは女を一瞥してから、老師に歩みよると頭をさげた。
「老師、こいつシエルって言うんですが入部させていいですか?」
「ん? シエルってフーマ教皇の息子さんの?」
「はい、いいっすか?」
チラッと僕を一瞥する老師は、「よかろう」と言って髭を触った。
安堵した僕は、深く頭を下げた。
「シエル・デトワールです! よろしくお願いします!」
元気ね、という甘い声が響いた。老師の隣で女が微笑んでいた。僕は女の顔を見て確信した。あ、この人は新任の先生だと。だが、ロックはわかっていないようで、訝しんだままだった。きっと、始業式のときに寝てたから知らないのだろう、ほんとロックはバカだ。
「ああ、ロック、紹介しよう」
「なんですか? 老師?」
「新しく拳闘部の顧問になった先生じゃ」
「誰が?」
「ほれ」
老師は女のお尻を、ぽんと叩くと自己紹介するよう促した。きゃっ、と小さく悲鳴をあげた女は、お辞儀をすると名乗った。
「新しく赴任したニコル・シュピオンよ。これからよろしくね」
綺麗な女だった。
金髪のハーフアップに容姿端麗な顔立ち。瞳の色はブルーなんて、絵に描いたようようなブロンド美人だ。ひゅう、おまけにおっぱいも大きい。マリ姉といい勝負だな……エロい。
「どういうことですか? 老師?」
ロックは顔をあげたニコル先生を見据えると尋ねた。
「わしも今年で定年じゃからな、後任を配属するように学園に頼んでおいたんじゃよ」
「……で、なんでこの女性が? そもそもこの女は先生なのか?」
ニコル先生はにっこりと笑うと、腕を組んで、ぷるるん、とおっぱいを強調させた。
「あら、先生への言葉使いがなっていないわね」
「すまない、ニコルくん。わが拳闘部の主将、ロック・コンステラじゃ」
「ロック・コンステラ、ふーん、教育が必要のようね」
「うむ、お手柔らかに頼む」
老師の言葉に反発するようにロックは首を振って、やれやれ、とぼやいた。
「今日はなんて日だ。シエルは入部するし、女の顧問はくるし、拳闘部が弱くなっちまうぜ」
老師は苦笑いするばかり。だが、ニコル先生は女として侮辱されたので、眉間にシワが寄っていた。僕は僕で、ロックの言葉が聞き捨てならなかったので切り返した。
「ロック! 僕が弱いって決めつけないでよ。ちゃんと人間の弱い部分はどこかってことぐらいは予習してあるんだ。僕と戦ったら負けるかもしれないよっ」
「上等だ、小僧っ! 試合してやるぜ」
すると、ロックはいきなり制服の上を脱ぎ捨てた。鋼の肉体がそこにはあった。筋肉の線がくっきりと見えて、いかにも屈強な戦士と言った感じだ。ずんずんと僕のほうに肉薄すると、恐怖心が込み上げてくる。うわぁぁ、やっぱ、勝てるわけがない……。
ロックは僕の首ねっこをつかむと、闘技場まで引きずった。
「ぎゃぁぁぁ、やめろぉぉぉ!」
「おいおい、そんな悲鳴をあげてたらマリは守れないぜ」
「むぅぅ、マリ姉のために……がんばるぞぉぉぉ!」
僕は勇気をだしてロックの手を振り払った。そして、制服を脱いで半裸になった。当然、僕の体は貧弱で華奢だ。自慢じゃないが、経典の本より重い物を持ったことがない。すると、ニコル先生が、あら、とささやいた。老師は、ふむ、とぼやく。
闘技場で戦っていた二人の男子生徒は、もう休憩していた。周りにはそれぞれ筋トレしたり、人間を見立てた人形を相手に、ボコスカ殴ったり訓練している。なんとも男臭い匂いも鼻につく。僕これからやっていけるのだろうか、急に不安になってきた。
「さあ、あがれよ」
ぐい、と手首を返したロックは、「こい」と誘ってくる。
ビクッと肩を震わせた僕は、一歩一歩、舞台にあがっていった。そのときだった。ニコル先生が僕に近づいてきたと思ったら、いきなり耳もとでささやいた。
「敵の弱点、どこかわかる?」
「え……」
「わかる?」
「えっと、たぶん……アキレス腱とか?」
「もっとうえよ」
「膝?」
「もっと、もっとうえ」
「じゃあ、太もも?」
「おしい」
「うーん」
おい! なに話してやがるとロックが怒鳴った。その刹那、
「おちんちん、蹴って」
とニコル先生が甘い息を僕の耳に吹きかけた。
マジか……。
おそるおそる舞台のなかに歩いていく僕は、ついにロックと向き合った。
見合った僕とロックの視線が交わった瞬間、
「はじめ!」
と老師の声が響いた。試合がはじまる合図だ。
ずん、ずん、と余裕たっぷりに接近してくるロックは、不敵な笑みを浮かべがら腕を伸ばして僕を捕まえようとしてくる。おそらく、場外へ投げ飛ばすつもりだろう。
触れられたら、アウトだ。
僕は小柄でスピードがある。それを利点にリングのなかを走り回った。
「おい! 戦え! 逃げるな!」
ロックの怒鳴り声が響くが、気にしない。逃げるは恥だが逃げまくる。あれ? ちょっと違うけど、まあいっか。すると、ロックは、腰を落とした。下半身に力が入れられて、みるみるうちに筋肉が盛り上がっている。やべぇ、タックルしてくるつもりだ。
僕はチーターに睨まれたウサギさんのように、びくっと身体が震え、思わず叫んでしまった。
「イヤだーーーー死にたくないっ」
その次の瞬間、ダンッ! とロックは地面を蹴った。風のような高速タックルが襲いかかる。僕はとっさに頭を抱えてダンゴムシのように丸まった。その後は簡単だった。
「よいしょっと……」
僕はロックに正面から抱きしめられてしまった。足は宙に浮き、裸のロックと密着した状態は、おえ、汗べたで最低の感触。
「ぎゃあああ、ヤダ、ヤダ」
悲鳴をあげて足をジタバタさせる僕は、なんて滑稽なのだろう。ああ、こんなに弱い僕なんか、とてもじゃないがマリ姉を守ってやることなんかできない。
ふとそのとき、半裸のロックがマリ姉を犯している幻覚が頭のなかをめぐった。ロックに無理やり抱きしめられて、いやん、離してって、嫌がるマリ姉の顔は悲痛に目を閉じていた。
助けて、シエル!
マリ姉から、そんな言葉を言われた幻聴が頭のなかに響いた。ああ、すべて得意の妄想だ。と同時に、ニコル先生のアドバイスも脳裏によぎった。
「おちんちん、蹴って」
よし……ロックは僕を抱きあげて油断している。今なら、おちんちんに膝蹴りを喰らわせそうだ!
ロックは僕をにらむと、冥土の土産とばかりにムカつく言葉を吐き捨ててきた。
「俺を倒すなんて百年はええんだよ、シエル、首を洗って出直してこい!」
カチンときた。
おちんちん、破壊してやるぅ!
ロックは僕を投げ飛ばすつもりで、腕を伸ばした。子どもが、高い高いされるみたいな状態となった僕は、この瞬間を待っていた。よし、いまだ!
「えいっ!」
僕は思いっきりロックのおちんちんに蹴りこんだ。
「ぐふぅぅぅ……」
ロックは膝から、ガクッと崩れ落ちた。僕はキョトンとした顔でリングに立ち、ふう、とひと息つく。
「勝った?」
そう尋ねながら、首を振ってニコル先生のほうを見ると、親指を立てて、グッジョブしていた。だが、老師は蓄えられた長い髭をいじくりながら、やれやれとばかりにつぶやいた。
「シエルくん、金的は反則じゃ」
横たわるロックは、「ここだけは鍛えられない……ぐへ」と嘆きながら涙を流していた。
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