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下巻
エピローグ 2
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5年後……。
「ちょっと、フクさん! 抱っこして」
「ああ、わかった」
俺は赤ちゃんを抱っこする。
赤ちゃんは可愛い顔をしていて本当に俺の子どもかと疑わせる。
ゆうこちゃんがにっこりと笑いながら赤ちゃんの耳を触る。
「ねえ、耳の形、フクさんにそっくりだよぉ」
「え? ほんと?」
「うん、福耳だから」
「あはは、そっか」
俺とゆうこちゃんは結婚して子どもが生まれていた。
俺は26才でゆうこちゃんは21才。
とても若い夫婦になっていた。
ゆうこちゃんは車からベビーカーを取り出した。折りたたまれていたベビーカーを組み立ている間、俺は抱いている赤ちゃんをあやす。近所の大型ショッピングモールに買い物に来ていたのだ。
「ふぅ、できたよぉ、さぁ座らせて」
「はいよ」
ベビーカーに収まった自分の子どもを見ていると、なんだか守ってやりたくなる母性本能を抱いた。いや、俺は男だから父性本能とでも言ったほうが正解だろう。
立体駐車場には強い風が吹いていた。
俺は風を浴びると、ある男を思いだす。
サカというアメリカに行った男のことだ。
あいつは弟みたいなやつだったが、どこか侮れない男で、俺の結婚相手を見つけて来てしまった。感謝してもしきれないくらいだが、あれからサカと会うことはなかった。アメリカに行ったきり音信不通だった。
ゆうこちゃんにしてみても、元彼を引きずるなんてしたくないだろう。
友人としては変わりはないのだが、俺はどこか照れ臭くてサカとは連絡をとろうとは思わなかった。もっとも、サカの方から連絡をくれたら大喜びで受け入れるつもりなのだが、そんなことはなく、俺はまるで儚く恋慕する恋乙女のような心境をサカに対して抱いていた。
すると、風が一段と吹いた時、一台の青いオープンカーが通り過ぎた。
金髪のナイスバディの外国女性を乗せていた。
運転するのはサングラスのイケメン。
それらが、まるで映画のワンシーンのようにスローモーションに流れた。
パッと車内を見た限りの印象だ。
どことなくイケメンの雰囲気がサカの面影と重なった。
まさかな……と思いながら、俺はベビーカーを押して買い物に出かけた。
「ちょっと、フクさん! 抱っこして」
「ああ、わかった」
俺は赤ちゃんを抱っこする。
赤ちゃんは可愛い顔をしていて本当に俺の子どもかと疑わせる。
ゆうこちゃんがにっこりと笑いながら赤ちゃんの耳を触る。
「ねえ、耳の形、フクさんにそっくりだよぉ」
「え? ほんと?」
「うん、福耳だから」
「あはは、そっか」
俺とゆうこちゃんは結婚して子どもが生まれていた。
俺は26才でゆうこちゃんは21才。
とても若い夫婦になっていた。
ゆうこちゃんは車からベビーカーを取り出した。折りたたまれていたベビーカーを組み立ている間、俺は抱いている赤ちゃんをあやす。近所の大型ショッピングモールに買い物に来ていたのだ。
「ふぅ、できたよぉ、さぁ座らせて」
「はいよ」
ベビーカーに収まった自分の子どもを見ていると、なんだか守ってやりたくなる母性本能を抱いた。いや、俺は男だから父性本能とでも言ったほうが正解だろう。
立体駐車場には強い風が吹いていた。
俺は風を浴びると、ある男を思いだす。
サカというアメリカに行った男のことだ。
あいつは弟みたいなやつだったが、どこか侮れない男で、俺の結婚相手を見つけて来てしまった。感謝してもしきれないくらいだが、あれからサカと会うことはなかった。アメリカに行ったきり音信不通だった。
ゆうこちゃんにしてみても、元彼を引きずるなんてしたくないだろう。
友人としては変わりはないのだが、俺はどこか照れ臭くてサカとは連絡をとろうとは思わなかった。もっとも、サカの方から連絡をくれたら大喜びで受け入れるつもりなのだが、そんなことはなく、俺はまるで儚く恋慕する恋乙女のような心境をサカに対して抱いていた。
すると、風が一段と吹いた時、一台の青いオープンカーが通り過ぎた。
金髪のナイスバディの外国女性を乗せていた。
運転するのはサングラスのイケメン。
それらが、まるで映画のワンシーンのようにスローモーションに流れた。
パッと車内を見た限りの印象だ。
どことなくイケメンの雰囲気がサカの面影と重なった。
まさかな……と思いながら、俺はベビーカーを押して買い物に出かけた。
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