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下巻
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その日の夜、もうベッドに入って眠る頃、先輩からメールがあった。
『電話してもいい?』
私は『はい』と返信する。
なんて言葉をかけたらいいのか考えながら待った。
秒針がやけに長くゆっくり動いているように感じた。
電話が鳴り、出ると、いつものフルートのような先輩の声が聞こえてきた。
「久しぶり……ごめんね連絡できなくて」
「ううん、いいよ……あの、先輩、お母さん大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫、父さんから聞いたみたいだね……ありがとね、家まで来てくれて」
「だって、先輩が連絡くれないから……」
「ごめん……俺さ、色々考えていたんだ……」
間があった……私は、あ、フラれると思って胸が苦しくなった。
「ねえ、ゆうこちゃんってさ、フクさんのこと好きになった?」
「え?」
私はフラれると思って身構えてたのに、フクさんが出てきてびっくりした。
「先輩? 私、別にフクさんのこと好きじゃないよ」
「ほんと?」
「そりゃあ、ちょっといいなとは思うけど、好きなのは先輩だよ」
「ふーん、実はさ、フクさんがゆうこちゃんのこと好きらしいんだ」
「え?」
「いや、これには俺もびっくりしてさ、いつもなら絶対にセックスまで持っていくフクさんがゆうこちゃんには手を出さなかった……おかしいと思って問い詰めたんだ」
「ちょ、ちょっと待って、それは私が先輩の彼女だからでしょ? 流石に人の彼女には手を出さないでしょ? 普通……」
「いや、フクさんはそんな普通のタイプじゃない、俺にはわかる」
「そんなこと言われても、私は先輩が好きだから」
「そうかなぁ……フクさんとエッチしたそうに見えたけどなぁ」
「う、そんなことない、あの時は頭がバグっていただけ」
「ふーん、そっかぁ、体の相性もフクさんの方が合ってる気がするんだけどなぁ、俺とゆうこちゃんはどうも合わないもん」
「え? どういうこと?」
「だって、ゆうこちゃんMでしょ?」
「う、うん……」
「だよね、俺もMだからさ、MM同士じゃあ合わないでしょ、でもフクさんは超Sだからね、ゆうこちゃんとはたぶん体の相性は抜群に良きだよ」
「私は……私はMだけど、先輩が好きだよぉ」
先輩が電話の向こう側でグッと息を飲んだ。
私はこんなに好きを連発したことなんて今までなかった。
なんでこんなに焦ってるんだろう私は。
フクさんのことで動揺しているということなのだろうか。
「ごめん、ゆうこちゃん……俺もゆうこちゃんが好きだ……けど、体の相性はどうも違うらしい、ごめんね」
「え? 別れるとか……嫌だよ?」
「嫌? ほんと? じゃあ、一回フクさんとデートしてやってよ」
「はぁ? なんでそうなるの? 先輩、ちょっと頭おかしいんじゃない?」
「おかしいのはゆうこちゃんでしょ? フクさんのやつをフェラしてるしさ、俺はフェラのやり方を教えてあげて欲しいとはフクさんに頼んだけどさ、実際にフェラをやってるなんて思わなかったけどね」
「それは……私がバカでした、ごめんなさい」
「変態」
「……う」
「変態、変態、変態」
「……うう、だってフクさんがいきなり脱いで私にフェラしろって言うから!」
「そりゃあ言うよ、だってフクさんはゆうこちゃんが好きだからさ」
「ちょっ、ちょっと待って先輩、っていうかフクさんはなつきとやってたでしょ? なつきのことが好きならわかるけど、なんで私なの?」
「適当な女とは気楽にエッチできるけど、特別な女とは流石のフクさんも躊躇したんじゃないかなぁ」
「は? ちょっと何言ってるかわからない」
「あはははは、ウケる、ゆうこちゃんって本当は面白かったんだね」
先輩は爆笑した。
別に私はお笑いコンビのモノマネをしたわけではないのだけど、たしかに、先輩とこんな風にめちゃくちゃな話しをしたことなんて今までになかった。
「ねえ、ゆうこちゃん、本音で言ってよ、フクさんとエッチしたいでしょ?」
「はぁ……んもう、先輩の意地悪! したいよ、エッチしたいよ これでいい?」
「ほらね、やっぱりな、これでスッキリした」
「なに一人でスッキリしてるんですか? もともと先輩が1人で逝くからダメなんですよ、我慢できないんですか?」
「できるわけないだろ! ゆうこちゃんのまんこはすごいんだよ! すぐ射精しちゃう」
「先輩、セクハラですよ」
「彼女にセクハラとかあるんですか~?」
「へー、やった~私はまだ先輩の彼女だった~よかった~」
「ふっ、そんなこと言っているのも今のうちだよ、フクさんとセックスしたら、一発で持ってイカれちゃうぜ」
「先輩、カッコつけてますけど、本当にそれでいいんですか? 私が寝取られるってことですよ?」
「やだよ、やだけどさ……本当に愛し合うなら体の相性が抜群なパートナーの方がいいでしょう?」
「……まぁ、それはそうだけどさ……今は先輩と付き合ってるから……」
「よし、じゃあ、また今度さ、なつきちゃんも誘ってダブルデートしようよ」
「ちょっ、ちょっ、もうあんなエッチなことはしないよ~私は~」
「あはは、まぁ、エッチするかどうかは置いといてさ、とりあえずまた4人で遊ぼ」
「……う~ん、まあ、なつきもいるならいいけど……」
「やったー! じゃあ、決まりね、あとさ、ゆうこちゃん、もうずっとそのキャラでいいからね」
「せんぱい! 怒りますよ!」
「あはは、じゃあ、またスケジュール決めようね~、じゃ」
「あ、せんぱい! 明日は学校行きますか?」
間があった……私は、あ、学校に来ないのかなと思って悲しくなった。
「ねぇ、ゆうこちゃん……明日は電車一本遅れせない?」
「え? もしかしてダッシュですか?」
「うん、久しぶりに走ろう」
「うふふ、おっけ~」
「じゃあ、また明日ね、おやすみ~」
「先輩、おやすみなさい……ちゅ♡」
私はスマホの画面にキスをした。
電話を切ったあと、先輩のアイコンの♡マークに指先を触れる。
もうこのまま眠ろう。
甘い先輩の声を聞いたあとなら、深く眠れそうだから。
『電話してもいい?』
私は『はい』と返信する。
なんて言葉をかけたらいいのか考えながら待った。
秒針がやけに長くゆっくり動いているように感じた。
電話が鳴り、出ると、いつものフルートのような先輩の声が聞こえてきた。
「久しぶり……ごめんね連絡できなくて」
「ううん、いいよ……あの、先輩、お母さん大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫、父さんから聞いたみたいだね……ありがとね、家まで来てくれて」
「だって、先輩が連絡くれないから……」
「ごめん……俺さ、色々考えていたんだ……」
間があった……私は、あ、フラれると思って胸が苦しくなった。
「ねえ、ゆうこちゃんってさ、フクさんのこと好きになった?」
「え?」
私はフラれると思って身構えてたのに、フクさんが出てきてびっくりした。
「先輩? 私、別にフクさんのこと好きじゃないよ」
「ほんと?」
「そりゃあ、ちょっといいなとは思うけど、好きなのは先輩だよ」
「ふーん、実はさ、フクさんがゆうこちゃんのこと好きらしいんだ」
「え?」
「いや、これには俺もびっくりしてさ、いつもなら絶対にセックスまで持っていくフクさんがゆうこちゃんには手を出さなかった……おかしいと思って問い詰めたんだ」
「ちょ、ちょっと待って、それは私が先輩の彼女だからでしょ? 流石に人の彼女には手を出さないでしょ? 普通……」
「いや、フクさんはそんな普通のタイプじゃない、俺にはわかる」
「そんなこと言われても、私は先輩が好きだから」
「そうかなぁ……フクさんとエッチしたそうに見えたけどなぁ」
「う、そんなことない、あの時は頭がバグっていただけ」
「ふーん、そっかぁ、体の相性もフクさんの方が合ってる気がするんだけどなぁ、俺とゆうこちゃんはどうも合わないもん」
「え? どういうこと?」
「だって、ゆうこちゃんMでしょ?」
「う、うん……」
「だよね、俺もMだからさ、MM同士じゃあ合わないでしょ、でもフクさんは超Sだからね、ゆうこちゃんとはたぶん体の相性は抜群に良きだよ」
「私は……私はMだけど、先輩が好きだよぉ」
先輩が電話の向こう側でグッと息を飲んだ。
私はこんなに好きを連発したことなんて今までなかった。
なんでこんなに焦ってるんだろう私は。
フクさんのことで動揺しているということなのだろうか。
「ごめん、ゆうこちゃん……俺もゆうこちゃんが好きだ……けど、体の相性はどうも違うらしい、ごめんね」
「え? 別れるとか……嫌だよ?」
「嫌? ほんと? じゃあ、一回フクさんとデートしてやってよ」
「はぁ? なんでそうなるの? 先輩、ちょっと頭おかしいんじゃない?」
「おかしいのはゆうこちゃんでしょ? フクさんのやつをフェラしてるしさ、俺はフェラのやり方を教えてあげて欲しいとはフクさんに頼んだけどさ、実際にフェラをやってるなんて思わなかったけどね」
「それは……私がバカでした、ごめんなさい」
「変態」
「……う」
「変態、変態、変態」
「……うう、だってフクさんがいきなり脱いで私にフェラしろって言うから!」
「そりゃあ言うよ、だってフクさんはゆうこちゃんが好きだからさ」
「ちょっ、ちょっと待って先輩、っていうかフクさんはなつきとやってたでしょ? なつきのことが好きならわかるけど、なんで私なの?」
「適当な女とは気楽にエッチできるけど、特別な女とは流石のフクさんも躊躇したんじゃないかなぁ」
「は? ちょっと何言ってるかわからない」
「あはははは、ウケる、ゆうこちゃんって本当は面白かったんだね」
先輩は爆笑した。
別に私はお笑いコンビのモノマネをしたわけではないのだけど、たしかに、先輩とこんな風にめちゃくちゃな話しをしたことなんて今までになかった。
「ねえ、ゆうこちゃん、本音で言ってよ、フクさんとエッチしたいでしょ?」
「はぁ……んもう、先輩の意地悪! したいよ、エッチしたいよ これでいい?」
「ほらね、やっぱりな、これでスッキリした」
「なに一人でスッキリしてるんですか? もともと先輩が1人で逝くからダメなんですよ、我慢できないんですか?」
「できるわけないだろ! ゆうこちゃんのまんこはすごいんだよ! すぐ射精しちゃう」
「先輩、セクハラですよ」
「彼女にセクハラとかあるんですか~?」
「へー、やった~私はまだ先輩の彼女だった~よかった~」
「ふっ、そんなこと言っているのも今のうちだよ、フクさんとセックスしたら、一発で持ってイカれちゃうぜ」
「先輩、カッコつけてますけど、本当にそれでいいんですか? 私が寝取られるってことですよ?」
「やだよ、やだけどさ……本当に愛し合うなら体の相性が抜群なパートナーの方がいいでしょう?」
「……まぁ、それはそうだけどさ……今は先輩と付き合ってるから……」
「よし、じゃあ、また今度さ、なつきちゃんも誘ってダブルデートしようよ」
「ちょっ、ちょっ、もうあんなエッチなことはしないよ~私は~」
「あはは、まぁ、エッチするかどうかは置いといてさ、とりあえずまた4人で遊ぼ」
「……う~ん、まあ、なつきもいるならいいけど……」
「やったー! じゃあ、決まりね、あとさ、ゆうこちゃん、もうずっとそのキャラでいいからね」
「せんぱい! 怒りますよ!」
「あはは、じゃあ、またスケジュール決めようね~、じゃ」
「あ、せんぱい! 明日は学校行きますか?」
間があった……私は、あ、学校に来ないのかなと思って悲しくなった。
「ねぇ、ゆうこちゃん……明日は電車一本遅れせない?」
「え? もしかしてダッシュですか?」
「うん、久しぶりに走ろう」
「うふふ、おっけ~」
「じゃあ、また明日ね、おやすみ~」
「先輩、おやすみなさい……ちゅ♡」
私はスマホの画面にキスをした。
電話を切ったあと、先輩のアイコンの♡マークに指先を触れる。
もうこのまま眠ろう。
甘い先輩の声を聞いたあとなら、深く眠れそうだから。
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