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下巻
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トイレから戻ってきた私は興奮していた。
もう欲望があふれて我慢できない。
女のスイッチが完全に入っていて、体が快楽を求めている。
性感帯を触って欲しくてたまらない。
だから私は自分から先輩の手を握る。
そして、おっぱいを触るように誘導する。
でも、なぜだろう。
先輩の手には力が入っていない。
ぎこちなくおっぱいを揉む。
私の服を脱がせる気配もない。
えーん、せっかく可愛い下着を装備しているのになぁ。
くぅ……しかたない、自分から脱ぐか。
え~でもなぁ……恥ずかしいよぉ。
んもう、嘘でしょ? 先輩!
ぼうっとしてないで、もっとグイグイきてよ~!
ぜんぜん前戯する気配がない先輩。
これでもやれるだけやっているんだよ、と言いたげな表情。
え!? もしかして……これは……。
噂の賢者タイムというやつですか~せんぱ~い!?
すると、その時!
ピンポーンと玄関のチャイムが鳴る。
先輩はプレーリードッグのようにムクッと顔を上げて反応すると、テーブルに置いてあったスマホを見た。
画面にはラインの通知。
先輩は既読すると口を開いた。
「あ、ごめん、今から友達来るけどいい?」
「え? ここに?」
「うん、ちょっとDVDの貸し借りしてるんだ」
「い、いいけど……」
先輩は私が了承するやいなや、ニッコリと笑って部屋を出ていった。
ちょ、ちょっと待ってよ先輩!
んもう、いまいいとこだったのに……しょぼん……。
それにしてもDVDってなに?
そう思って私はラックの棚を見ると、そこには映画のDVDがズラリと並んでいた。
名作の数は枚挙にいとまがないほどで、そのどれもが古いタイトルであった。
私が観たことがある映画はほとんどなかった。
それでも、隅の方に最近の映画があったので、どんなのがあるかちょっと見てみようと私が腰をあげた時、部屋に近づく足音が聞こえてきた。
ガチャっと開いたドアから、先輩ともう一人男が入ってきた。
大人の男だった。先輩と同じくらい背が高い。いや、先輩より少し高めだろう。
短髪のツーブロック。体が大きい。服の上からでもわかる筋肉は、まるでアスリート選手かと思うくらい男らしい。
私はドキっとした。
そして、生まれて初めて男を見て怖いと思った。
その理由はこの男の目だ。
私を一瞥するなり爽やかに笑った。
だが、その後の視線は完全に私のおっぱいや太ももを見ていた。
いや、太ももの奥のスカートの中を覗かれている気がした。
えっ、やだ……。
男から見られてこんなにストレートに女を意識したことなんてなかった。
心拍数が上がる……何? このドキドキは!?
先輩に見られてドキドキするのとは、また違ったものだった。
ゾクッとするような恐怖感。
ハンターに狩猟される小動物のような感覚。
私は萎縮してしまい何も挨拶できず、男に向かってペコリと頭を下げることしかできなかった。
先輩はキラキラ美少年タイプだけど、この男の印象はなんと言えばいいのだろう。
簡単に言うと、ワイルドでカッコいい感じ……かな。
先輩たちは例のラックの前に腰を下ろし「これは泣ける」とか「これはクール」とか面白そうに談笑している。
すると、男が思い出したように、バックから一枚のDVDを取り出す。
爽やかに笑いながら先輩に手渡すと口を開いた。
その声は低く、先輩の高い声とは対照的に男らしい。
二人の話声はソプラノとバスの混声合唱のように綺麗なハーモニーだった。
「あ、これサカに貸すぜ」
「例のやつですか?」
「ああ、孤高の狼だ」
「ありがとうございます、これ、どうですか?」
「正義とは何か? そんなことを考えされられるぜ」
「泣けますか?」
「ああ、俺は泣けた」
「フクさんが泣けるなら、間違いないですね」
「まあな、じゃあ、俺には何を貸してくれるんだ?」
「今回は……これ、シャインです」
「なんだこれ? 主人公は男か?」
「ええ、ピアニストです、しかも天才」
「ほう、で、泣けるのか?」
「はい、ぶっ飛びますよ」
「それはすごそうだな! わはは」
「ふふふ」
先輩と男は白い歯を見せ合う。
とても仲が良さそうだ。
私は男の友情っていいなぁ、と思いながらその情景を眺めていた。
もう欲望があふれて我慢できない。
女のスイッチが完全に入っていて、体が快楽を求めている。
性感帯を触って欲しくてたまらない。
だから私は自分から先輩の手を握る。
そして、おっぱいを触るように誘導する。
でも、なぜだろう。
先輩の手には力が入っていない。
ぎこちなくおっぱいを揉む。
私の服を脱がせる気配もない。
えーん、せっかく可愛い下着を装備しているのになぁ。
くぅ……しかたない、自分から脱ぐか。
え~でもなぁ……恥ずかしいよぉ。
んもう、嘘でしょ? 先輩!
ぼうっとしてないで、もっとグイグイきてよ~!
ぜんぜん前戯する気配がない先輩。
これでもやれるだけやっているんだよ、と言いたげな表情。
え!? もしかして……これは……。
噂の賢者タイムというやつですか~せんぱ~い!?
すると、その時!
ピンポーンと玄関のチャイムが鳴る。
先輩はプレーリードッグのようにムクッと顔を上げて反応すると、テーブルに置いてあったスマホを見た。
画面にはラインの通知。
先輩は既読すると口を開いた。
「あ、ごめん、今から友達来るけどいい?」
「え? ここに?」
「うん、ちょっとDVDの貸し借りしてるんだ」
「い、いいけど……」
先輩は私が了承するやいなや、ニッコリと笑って部屋を出ていった。
ちょ、ちょっと待ってよ先輩!
んもう、いまいいとこだったのに……しょぼん……。
それにしてもDVDってなに?
そう思って私はラックの棚を見ると、そこには映画のDVDがズラリと並んでいた。
名作の数は枚挙にいとまがないほどで、そのどれもが古いタイトルであった。
私が観たことがある映画はほとんどなかった。
それでも、隅の方に最近の映画があったので、どんなのがあるかちょっと見てみようと私が腰をあげた時、部屋に近づく足音が聞こえてきた。
ガチャっと開いたドアから、先輩ともう一人男が入ってきた。
大人の男だった。先輩と同じくらい背が高い。いや、先輩より少し高めだろう。
短髪のツーブロック。体が大きい。服の上からでもわかる筋肉は、まるでアスリート選手かと思うくらい男らしい。
私はドキっとした。
そして、生まれて初めて男を見て怖いと思った。
その理由はこの男の目だ。
私を一瞥するなり爽やかに笑った。
だが、その後の視線は完全に私のおっぱいや太ももを見ていた。
いや、太ももの奥のスカートの中を覗かれている気がした。
えっ、やだ……。
男から見られてこんなにストレートに女を意識したことなんてなかった。
心拍数が上がる……何? このドキドキは!?
先輩に見られてドキドキするのとは、また違ったものだった。
ゾクッとするような恐怖感。
ハンターに狩猟される小動物のような感覚。
私は萎縮してしまい何も挨拶できず、男に向かってペコリと頭を下げることしかできなかった。
先輩はキラキラ美少年タイプだけど、この男の印象はなんと言えばいいのだろう。
簡単に言うと、ワイルドでカッコいい感じ……かな。
先輩たちは例のラックの前に腰を下ろし「これは泣ける」とか「これはクール」とか面白そうに談笑している。
すると、男が思い出したように、バックから一枚のDVDを取り出す。
爽やかに笑いながら先輩に手渡すと口を開いた。
その声は低く、先輩の高い声とは対照的に男らしい。
二人の話声はソプラノとバスの混声合唱のように綺麗なハーモニーだった。
「あ、これサカに貸すぜ」
「例のやつですか?」
「ああ、孤高の狼だ」
「ありがとうございます、これ、どうですか?」
「正義とは何か? そんなことを考えされられるぜ」
「泣けますか?」
「ああ、俺は泣けた」
「フクさんが泣けるなら、間違いないですね」
「まあな、じゃあ、俺には何を貸してくれるんだ?」
「今回は……これ、シャインです」
「なんだこれ? 主人公は男か?」
「ええ、ピアニストです、しかも天才」
「ほう、で、泣けるのか?」
「はい、ぶっ飛びますよ」
「それはすごそうだな! わはは」
「ふふふ」
先輩と男は白い歯を見せ合う。
とても仲が良さそうだ。
私は男の友情っていいなぁ、と思いながらその情景を眺めていた。
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