20 / 42
下巻
6
しおりを挟む
日曜日、先輩と動物園デートする日になった。
私たちはT駅の改札口で待ち合わせをしていた。
そこから別の電車を乗り換えて、動物園まで行く予定だったのだ。
私は例の秋風の小花柄ワンピースとカーディガンのコーデを着てきた。
はたして先輩は気づいてくれるだろうか。
すると、先輩がいつもの爽やかな笑顔でこちらにやってきた。
隣にいた若い女子の集団が先輩をじろじろと好奇な目で見ている。
うふふ、ダメだよ、私の彼氏だからあんまり見ないでください。
でも、まあ、しょうがないかあ、先輩の笑顔は素敵すぎる。
ああ、やっぱり先輩は華やかさがあり目立つなあ。
身長178、高い鼻にシャープな顎、サラサラヘアにニキビも髭もないツルツル美肌がこっちにくる。
ああ、美少年ってほんっと……。
最高かよ~♡
「お待たせ~」
「うふふ、私も着いたところですよ」
「え? じゃあ、一緒の電車だったかもね」
「そうですよぉ、この電車に乗るよってラインしてくれればよかったのに」
「あ、たしかに、あはは、ごめん」
「うふふ、別にいいですよ……会えたから……」
私は満面の笑みで先輩にすり寄る。
先輩は私の顔から足、そして胸にかけて視線を移す。
何かに気づいたようで、先輩の顔はパッと明るくなる。
「あ! その服ってあの店のやつ?」
「はい! やっぱり買っちゃいました」
「うおお! すごく似合うよー! いい、めっちゃいい!」
「ありがとうございます」
んもう、その言葉を店で試着してる時に言って欲しかったなあ。
だけど、まあ、このシャイなところが先輩の良きところだ。
先輩と付き合ってから、なんとなく気づいたことがある。
先輩は人前では手を繫いでくれない。
うん、それならここは、自分からいくしかないか……。
「先輩! いきましょ!」
私は先輩の腕に絡みついた。
本当は男子の方からぐいぐい来てほしいんだけど、美少年の先輩にそんな願望は期待できそうもないから、私はキャラを変えて攻めてみることにする。
ああ、私は本当はドMだ。自分でもそう思う。
だから、私の心の奥底では、男子からめちゃくちゃなことをされたい欲情が渦巻いている。
オナニーだって強引に犯される妄想がおかず。
でも、先輩はその欲求は満たしてくれそうもない。
先輩からグイグイくることはまずなさそうだ。
まあ、それでもいいや……
爽やかな美少年の彼氏ができて私は満足だ。
腕を絡め、恋人繋ぎしている私たちの背後に、女子たちの強い目線が矢のように刺さるのを感じる。
イチャイチャすれば目立つ。それでも私は感情に流される。我慢なんかできないよ。とにかくこの社会は住みにくい。
私たちはT駅の改札口で待ち合わせをしていた。
そこから別の電車を乗り換えて、動物園まで行く予定だったのだ。
私は例の秋風の小花柄ワンピースとカーディガンのコーデを着てきた。
はたして先輩は気づいてくれるだろうか。
すると、先輩がいつもの爽やかな笑顔でこちらにやってきた。
隣にいた若い女子の集団が先輩をじろじろと好奇な目で見ている。
うふふ、ダメだよ、私の彼氏だからあんまり見ないでください。
でも、まあ、しょうがないかあ、先輩の笑顔は素敵すぎる。
ああ、やっぱり先輩は華やかさがあり目立つなあ。
身長178、高い鼻にシャープな顎、サラサラヘアにニキビも髭もないツルツル美肌がこっちにくる。
ああ、美少年ってほんっと……。
最高かよ~♡
「お待たせ~」
「うふふ、私も着いたところですよ」
「え? じゃあ、一緒の電車だったかもね」
「そうですよぉ、この電車に乗るよってラインしてくれればよかったのに」
「あ、たしかに、あはは、ごめん」
「うふふ、別にいいですよ……会えたから……」
私は満面の笑みで先輩にすり寄る。
先輩は私の顔から足、そして胸にかけて視線を移す。
何かに気づいたようで、先輩の顔はパッと明るくなる。
「あ! その服ってあの店のやつ?」
「はい! やっぱり買っちゃいました」
「うおお! すごく似合うよー! いい、めっちゃいい!」
「ありがとうございます」
んもう、その言葉を店で試着してる時に言って欲しかったなあ。
だけど、まあ、このシャイなところが先輩の良きところだ。
先輩と付き合ってから、なんとなく気づいたことがある。
先輩は人前では手を繫いでくれない。
うん、それならここは、自分からいくしかないか……。
「先輩! いきましょ!」
私は先輩の腕に絡みついた。
本当は男子の方からぐいぐい来てほしいんだけど、美少年の先輩にそんな願望は期待できそうもないから、私はキャラを変えて攻めてみることにする。
ああ、私は本当はドMだ。自分でもそう思う。
だから、私の心の奥底では、男子からめちゃくちゃなことをされたい欲情が渦巻いている。
オナニーだって強引に犯される妄想がおかず。
でも、先輩はその欲求は満たしてくれそうもない。
先輩からグイグイくることはまずなさそうだ。
まあ、それでもいいや……
爽やかな美少年の彼氏ができて私は満足だ。
腕を絡め、恋人繋ぎしている私たちの背後に、女子たちの強い目線が矢のように刺さるのを感じる。
イチャイチャすれば目立つ。それでも私は感情に流される。我慢なんかできないよ。とにかくこの社会は住みにくい。
0
お気に入りに追加
237
あなたにおすすめの小説

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。


手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる