稲妻

平安時代に誕生した『武士』は、その軍事力を背景にして徐々に地方へ根を下ろし始めていた。

政治へ興味の無い貴族を尻目に、味方にならない者は容赦なく殺し、その財を奪い、恐怖によって支配していく。

だが蹂躙された者の中には、力及ばずとも抵抗した記録も散見している。

敵は万夫不当と呼び声の高い、源義家が率いる兵十万。

結果として、源氏の世を百年遅らせた原因と言われる一つの戦いが、ここ常陸国で行われようとしていた。
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