転生と未来の悪役

幕間そのニ

とある悪役の内心

カナトが何をしているのか知りたい
何を考えているのか知りたい


どんな表情でも心をくすぐる。
でもやはりその目はあの忌々しいやつから離れない。

あいつの何がそんなに魅力的なのか理解できなかった。

でも大丈夫だ。カナトはやはり僕の味方のままだ。一緒に暮らすと言ってくれた。あれほどうれしいことはなかった。

やるべきことをすべて終わらせたあと、2人きりでどこかじゃまの入らない場所へ行こう。

猫やオウムも連れて、2人きりになれる場所へーーそうすればきっとすぐにでもあの鬱陶しい存在を忘れてくれるはずだ。




そう思っていた。




それなのになぜあいつのために命を捨てれる？
それは僕のもののはずだ。
きみがくれると言ったじゃないか？
どうしてあいつにあげようとするんだ……。
また僕のものを奪っていこうとする。
別人みたいになって帰ってきてもカナトの関心をさらい続けた。
もうやめてくれ！
これ以上何も奪わないでくれ！
父も爵位も周りも功績もすべて手に入るのに、なぜ何も残してくれない？
カナトはお前やお前たちと違うのに……あの存在だけは周りと違う。
唯一の光だ……その目も、声も、関心も全部僕のものだ！

もし、僕のものにならないなら壊すだけだ。壊しても誰にも渡さない。永遠に、大事に保管する。そうすれば誰の目にも触れない。本当に僕だけのものになるんだ……ああ、きっと満たされる。最期に見たのが僕なら忘れないだろう。その綺麗な目と中身を血肉に変えてもいい。骨は加工して身肌離さずに持とう。皮は綺麗にして防腐処理を施そう。カナトが過ごした場所は誰も入らないようにしよう。僕だけが占領できる。

誰にも渡さない。僕のものだ……渡さない、渡さない……渡してたまるか！僕のものなんだ！！







苦しい、なんて苦しいんだ……
息ができない…カナト………きみにその目で見てほしいその声で名前を呼んでほしい僕のすべてをあげるから僕だけに注目してくれ
この命をきみにあげる。だから、僕だけのものになってくれ。


いらないものはすべて、消してあげるからーー