64 / 71
魔界城
.
しおりを挟む
いつもの様に朝食を摂り、片付けをしてから出発する。
荷台にいるのは、ルーカス・ニコル・結月・ノア・そして俺とブラン。
「なんか臭いんだけど」
真ん中の囲炉裏のように作り替えられたところで、コトコトと薬を煮詰める結月に文句を言う。
「仕方ないだろう?文句があるならマー坊に言え」
「普通言えないでしょ?それにマー坊って……」
「あ、マー坊は可愛い物好きだからきっとブラン見たら喜ぶぞ?」
「あげないから!それに無理やり膝の上乗せないでよ!泣いてるじゃん」
「おー、ヨチヨチ。怖くなんかないよな?」
「は、はいぃぃぃ。グスッ」
「ブラン嫌だったら戻ってきていいんだぞ……」
「ん?首輪つけておいたぞ?」
「やめてよ本当に!これが姉だなんて俺、自分が可哀想だよ」
「好きで姉をやってるわけじゃない!たまたまだ!たまたま」
「結月、薬はありがたいんだがな、やはりその匂いは……」
「もう!細かい男どもだな!これでいいか?」
そう言って遮断の幕をはる。
最初からしてくれればいいのにと文句を言いながら、またブランを取り返すのに失敗したと思い落ち込む。
「後どのくらい?お城って幻界みたいな感じなの?」
「いや、多分お前の想像通りの城だ。暗いし見た目はホラー映画に出てきそうな……」
「中も?」
「中は幻界と変わらないかなぁ?あっちも廊下に絵がかかってるだろ?」
「うん。歴代の王様だって」
「こっちにもあるんだが、客用の寝室に、前に行った日本の土産ってのが置いてあったり、額に入って飾られてたりするんだが……」
「専用の部屋じゃないんだ」
「お前さ、髪の伸びる人形とか、幽霊の掛け軸とか知ってるか?」
「聞いたことはあるけど、見たことはないよ?」
「そんな物とか、木彫りの熊の置物とかな……正直やめて欲しいんだが、魔界で今それが流行ってるんだ」
「やだよ?俺そんな部屋は。気持ち悪い……」
「大丈夫です。姫様の隣の普通の部屋を用意しますので。ですが、シーサーと言う置物は面白い顔をしているのですね。我々は祓われることは無いですが」
「悪霊退散とか効かないの?」
「人間界で見たものでしたら、下級魔族でしょう。私たちにはなんの意味もありません」
「ですが、儀式で呼ばれるのでは?」
「本の中には本物もありますからね……たまに呼び出されてあげることもありますが、願いを叶えて魂を頂いて終わりです」
「前に見た映画なんだけどさ、四つ辻で呼び出すと10年後に魔犬が襲いに来て、魂持っていくのは?」
「下級がよく使う手です。我々はもっと大きな契約しかしませんので」
「映画は映画かぁ」
「奏太様がもし見たければ、いくらでも見せられますが?」
「いいよ。映画だけで。幻界はないの?」
「おとぎ話に出るくらいでしょうか?」
「だよね。俺は結月さんがもう魔女にしか見えない」
「聞こえてるぞ!」
ごめんなさいと素直に謝り、魔界のことを話してもらう。
話している間に着くとも言われていたから、暇つぶしと興味で聞いているのだが、自分が本や映画で知っているものとはかなり違うらしい。
荷台にいるのは、ルーカス・ニコル・結月・ノア・そして俺とブラン。
「なんか臭いんだけど」
真ん中の囲炉裏のように作り替えられたところで、コトコトと薬を煮詰める結月に文句を言う。
「仕方ないだろう?文句があるならマー坊に言え」
「普通言えないでしょ?それにマー坊って……」
「あ、マー坊は可愛い物好きだからきっとブラン見たら喜ぶぞ?」
「あげないから!それに無理やり膝の上乗せないでよ!泣いてるじゃん」
「おー、ヨチヨチ。怖くなんかないよな?」
「は、はいぃぃぃ。グスッ」
「ブラン嫌だったら戻ってきていいんだぞ……」
「ん?首輪つけておいたぞ?」
「やめてよ本当に!これが姉だなんて俺、自分が可哀想だよ」
「好きで姉をやってるわけじゃない!たまたまだ!たまたま」
「結月、薬はありがたいんだがな、やはりその匂いは……」
「もう!細かい男どもだな!これでいいか?」
そう言って遮断の幕をはる。
最初からしてくれればいいのにと文句を言いながら、またブランを取り返すのに失敗したと思い落ち込む。
「後どのくらい?お城って幻界みたいな感じなの?」
「いや、多分お前の想像通りの城だ。暗いし見た目はホラー映画に出てきそうな……」
「中も?」
「中は幻界と変わらないかなぁ?あっちも廊下に絵がかかってるだろ?」
「うん。歴代の王様だって」
「こっちにもあるんだが、客用の寝室に、前に行った日本の土産ってのが置いてあったり、額に入って飾られてたりするんだが……」
「専用の部屋じゃないんだ」
「お前さ、髪の伸びる人形とか、幽霊の掛け軸とか知ってるか?」
「聞いたことはあるけど、見たことはないよ?」
「そんな物とか、木彫りの熊の置物とかな……正直やめて欲しいんだが、魔界で今それが流行ってるんだ」
「やだよ?俺そんな部屋は。気持ち悪い……」
「大丈夫です。姫様の隣の普通の部屋を用意しますので。ですが、シーサーと言う置物は面白い顔をしているのですね。我々は祓われることは無いですが」
「悪霊退散とか効かないの?」
「人間界で見たものでしたら、下級魔族でしょう。私たちにはなんの意味もありません」
「ですが、儀式で呼ばれるのでは?」
「本の中には本物もありますからね……たまに呼び出されてあげることもありますが、願いを叶えて魂を頂いて終わりです」
「前に見た映画なんだけどさ、四つ辻で呼び出すと10年後に魔犬が襲いに来て、魂持っていくのは?」
「下級がよく使う手です。我々はもっと大きな契約しかしませんので」
「映画は映画かぁ」
「奏太様がもし見たければ、いくらでも見せられますが?」
「いいよ。映画だけで。幻界はないの?」
「おとぎ話に出るくらいでしょうか?」
「だよね。俺は結月さんがもう魔女にしか見えない」
「聞こえてるぞ!」
ごめんなさいと素直に謝り、魔界のことを話してもらう。
話している間に着くとも言われていたから、暇つぶしと興味で聞いているのだが、自分が本や映画で知っているものとはかなり違うらしい。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
君に★首ったけ!
鯨井イルカ
キャラ文芸
冷蔵庫を開けると現れる「彼女」と、会社員である主人公ハヤカワのほのぼの日常怪奇コメディ
2018.7.6完結いたしました。
お忙しい中、拙作におつき合いいただき、誠にありがとうございました。
2018.10.16ジャンルをキャラ文芸に変更しました
あやかし学園
盛平
キャラ文芸
十三歳になった亜子は親元を離れ、学園に通う事になった。その学園はあやかしと人間の子供が通うあやかし学園だった。亜子は天狗の父親と人間の母親との間に生まれた半妖だ。亜子の通うあやかし学園は、亜子と同じ半妖の子供たちがいた。猫またの半妖の美少女に人魚の半妖の美少女、狼になる獣人と、個性的なクラスメートばかり。学園に襲い来る陰陽師と戦ったりと、毎日忙しい。亜子は無事学園生活を送る事ができるだろうか。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
あやかし花屋の花売り少女
あーもんど
キャラ文芸
町外れの寂れた商店街にはある一つの妖しい花屋がある。
客は何故か皆異形の姿をし、変な言葉遣いをする者が多い。
そんな花屋の女店主である少女は今日もまたあやかしに花を売る。
※一話1000~2000字程度
※本当はもっとたくさん話を書く筈だったのですが、アイディアが尽きたため一旦完結扱いとさせて頂きます。
つくもむすめは公務員-法律違反は見逃して♡-
halsan
キャラ文芸
超限界集落の村役場に一人務める木野虚(キノコ)玄墨(ゲンボク)は、ある夏の日に、宇宙から飛来した地球外生命体を股間に受けてしまった。
その結果、彼は地球外生命体が惑星を支配するための「胞子力エネルギー」を三つ目の「きんたま」として宿してしまう。
その能力は「無から有」
最初に現れたのは、ゲンボク愛用のお人形さんから生まれた「アリス」
さあ限界集落から発信だ!
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
八百万の学校 其の参
浅井 ことは
キャラ文芸
書籍化作品✨神様の学校 八百万ご指南いたします✨の旧題、八百万(かみさま)の学校。参となります。
十七代当主となった翔平と勝手に双子設定された火之迦具土神と祖父母と一緒に暮らしながら、やっと大学生になったのにも関わらず、大国主命や八意永琳の連れてくる癖のある神様たちに四苦八苦。
生徒として現代のことを教える
果たして今度は如何に──
ドタバタほのぼのコメディとなります。
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる