天満堂へようこそ 4

浅井 ことは

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地下洞窟

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樽を持って帰り、いる分だけ鍋に入れて食事の支度をする。
周りにも、天幕の前でみんなが食事を作ったり、休憩したりしているのに、フヘヘヘヘヘヘと奇声が怪しい笑いに変わっているのも気持ち悪い。

「おい!」

「ルーカスさん!」

「あいつ何作ってるんだ?兵が怯えてるぞ」

「分かんない。でも、怪しい笑いに変わっているから、頭の中はきっと儲け話でも浮かんでるのかもしれない……」

「だろうな。ノア止められないのか?」

「か、勘弁してください。あの状態の姫様は危険だと兄にも言われてますので無理です」

「ニコル!」

「もうすぐ、スープが出来ますよ」

「あー!もう、無視かよ!俺が言ってくる」

怒りながら鍋に近づきなにか言い争っていたが、すぐに肩を落として戻ってくる。

「俺にも無理だった……」

「何作ってたのかはわかったの?」

「鍋の中の色みたらさ……流石に気持ち悪くなって聞けなかった」

見に行こうとしたら「絶対に見たらダメだ」と止められたので、先に食事をとることにし、一応結月の分も取っておく。

楽しそうに鍋をかき混ぜ何か沢山入れている姿は魔女以外の何物でもない。

出来た!と一言大きな声で言ったかと思うと、どこから出したのか小瓶に沢山詰めていく。

「やっぱり売るんだ」

「ですが、誰にでしょう?」

「分かんないけど、まだ笑ってるよ?」

「とにかく、ああなった結月は怖い!放っておこう」

全員が納得し、コーヒーを飲みながら着いてからの事を話す。

「この洞窟から出たら、城の裏手に出る。すぐに裏門があるからそこから入るんだが……ちょっと待て」

頭を手で抑え目を瞑ってなにかしていると思ったら、「結月!こちらの勝ちだ。明日は正門から入るか?」と言う。

するとほかの兵も「おおぉぉぉ!!!」と歓声を挙げているので、洞窟内は野太い男の声で1杯になってしまった。

「裏からでいい。この鍋ごと運んで欲しいしな」

「は?」

「隊長ちょっとこい!」と自分の部下のように扱う結月に呆れルーカスを見ると、ノアがおめでとうございますと言っている。

「鍋はいいとして、裏からはいって親父に会ってもらう。今終わったばかりだから、明日城についてすぐにというわけにも行かねーんだ」

「申し訳ありません。馬鹿の説明では分かりづらいかと……」

「馬鹿とはなんだ!」

「何でも?奏太様、着いてすぐは王は疲れて寝ていると思いますので、ゆっくりと湯に浸かって疲れを取ってください。王に会うにしてもそれからです」

「うん、こっちの都合ばかり言えないしね」

「ニコルさん、正装は……」

「今回は構わないと思います。パーティや王からの招待などでは正装となりますが」

「でも、俺……ジーパンにTシャツなんだけど。流石にそれは良くないかなって」

「魔王はそんなことは気にしない方なので大丈夫ですし、奏太様に会うことを楽しみにしてますので」

「あ、前にムーが世話にもなったんだよね。肩に乗せてもらったって聞いたけど」

「それは天王の方だし、ちょっと遊ばせてやっただけだ!ノア、飯!」
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