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風の地
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ご飯と味噌汁。串にした牛肉を焼いて食べ、風が収まってくれるのを祈りつつ、剣の稽古をつけてもらう。
少しずつ魔力を使うことで慣れもすると言われ、魔法で剣を作り基本から教えてもらうが、基礎が終わったら後は自分に合った戦い方を覚えていくしかないという。
身を守るのに覚えるのはいいが、戦わなくて済むならその方がいい。
ノア達は主を守る役目があるから強くあらなければいけないと言うが、手合わせしている時は生き生きしているので、幻界や魔界で名が知られている実力者だと言うのは分かる気がする。
途中、ニコルについて外を見に行くと、すこし風が止まったと言うので、出発の準備をしてブランを先に荷台に乗せる。
「火は?」
「火の粉が飛ぶといけないので荷台だけで良いと思います。奏太様も乗ってください」
乗り込んですぐに出発するが、中にいても、外に出ると寒さが伝わってくる。
中心に行くにつれ、また風も強くなり、台風の中進んでいるようだった。
後ろをみると視界も悪く、あまり周りが見えないが、かなりのスピードで走っているのがわかる。
「奏太くん、布団に潜ってもいい?」
「いいよ。寒いか?」
「うん……寒い」
ちょっと待ってといい、荷物の中にあったひざ掛けをたたんで布団のようにし、火の前に置く。
「ブラン、入ってみて」
「あ、あったかい。僕ここでいい!」
「そっか。でも近づきすぎるなよ?燃えたら大変だから」
クキョッ!っとひと鳴きし、ブランはうとうととしてしまったので、つられてこちらもウトウトとしてしまう。
途中で目が覚めたので、暖かいスープだけ作り、二人に渡す。
「ねえ、休まずに行くの?」
「この風では休む場所もないので。ですが、目印もあったので、もうすぐ街に入れそうです」
前の御者台から見ようと思ったが、幌をずらしてみても風が強く視界が悪いので街が見えなかった。
後どのくらいで着くのだろう……
「ニコルさん!後、どのくらいかかるのか分かる?」
「さっきの目印からだと、30分もあれば着くと思うのですが……視界が悪いので何とも……」
そうだ!もしかしたら……
そう思い、荷車を引いてくれてる犬には悪いと思ったが、二人が座る御者台の前に薄い壁を作る。
これで、前からの風は遮られるだろうから少しはましなはずだ。
「奏太様!」
「何?」
「魔力を使うとお体の方が……」
「俺もわからないけど、盾とか位ならそんなに疲れないと思ったんだ。それに、車の窓みたいな感じで作れたから、前は見やすいと思うんだけど」
「確かに目は開けられるようになりましたが……」
「良かった。俺、大丈夫だから進んでよ」
「ありがとうございます」
少しずつ魔力を使うことで慣れもすると言われ、魔法で剣を作り基本から教えてもらうが、基礎が終わったら後は自分に合った戦い方を覚えていくしかないという。
身を守るのに覚えるのはいいが、戦わなくて済むならその方がいい。
ノア達は主を守る役目があるから強くあらなければいけないと言うが、手合わせしている時は生き生きしているので、幻界や魔界で名が知られている実力者だと言うのは分かる気がする。
途中、ニコルについて外を見に行くと、すこし風が止まったと言うので、出発の準備をしてブランを先に荷台に乗せる。
「火は?」
「火の粉が飛ぶといけないので荷台だけで良いと思います。奏太様も乗ってください」
乗り込んですぐに出発するが、中にいても、外に出ると寒さが伝わってくる。
中心に行くにつれ、また風も強くなり、台風の中進んでいるようだった。
後ろをみると視界も悪く、あまり周りが見えないが、かなりのスピードで走っているのがわかる。
「奏太くん、布団に潜ってもいい?」
「いいよ。寒いか?」
「うん……寒い」
ちょっと待ってといい、荷物の中にあったひざ掛けをたたんで布団のようにし、火の前に置く。
「ブラン、入ってみて」
「あ、あったかい。僕ここでいい!」
「そっか。でも近づきすぎるなよ?燃えたら大変だから」
クキョッ!っとひと鳴きし、ブランはうとうととしてしまったので、つられてこちらもウトウトとしてしまう。
途中で目が覚めたので、暖かいスープだけ作り、二人に渡す。
「ねえ、休まずに行くの?」
「この風では休む場所もないので。ですが、目印もあったので、もうすぐ街に入れそうです」
前の御者台から見ようと思ったが、幌をずらしてみても風が強く視界が悪いので街が見えなかった。
後どのくらいで着くのだろう……
「ニコルさん!後、どのくらいかかるのか分かる?」
「さっきの目印からだと、30分もあれば着くと思うのですが……視界が悪いので何とも……」
そうだ!もしかしたら……
そう思い、荷車を引いてくれてる犬には悪いと思ったが、二人が座る御者台の前に薄い壁を作る。
これで、前からの風は遮られるだろうから少しはましなはずだ。
「奏太様!」
「何?」
「魔力を使うとお体の方が……」
「俺もわからないけど、盾とか位ならそんなに疲れないと思ったんだ。それに、車の窓みたいな感じで作れたから、前は見やすいと思うんだけど」
「確かに目は開けられるようになりましたが……」
「良かった。俺、大丈夫だから進んでよ」
「ありがとうございます」
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