天満堂へようこそ 4

浅井 ことは

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魔界

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「あのさ、転移で行ったらどう?」

「場所を知らなければいけないんです……」

「そうなんだ……俺もできるようになるかな?」

「なると思います。でもまずは……先程から近ずいてきている狼を何とかしませんと……」

「分かった」

荷馬車の左右に分かれて降りる。
狼に似てはいるが、きっと幻獣のようになにか名前があるのだろう……
飛びかかってきたものから次々と剣でなぎ倒していく。
飛び出る血は紫。赤くないだけなんだかマシな気がしないでもないが、手に伝わる感触は慣れるものでは無い。

ノアの方を見ると後方の狼も倒し終えている。

「やっぱり凄い……」

「いえ、弱かったので。奏太様も力が付いたようで何よりです。しかし、これは皮を剥いでも売り物にはならないでしょうね……」

「そうなの?」

「確か薬の材料に狼の毛とあったので取っておきましょうか。姫様の役に立つかも知れません」

「分かった。何の位?」

「この小さな袋一つ分でいいかと。何故かその袋が大量に入っていたので」

「完全に取ってこいじゃん!」

「ですね。取っておきましょう」

二人で毛をむしり、袋につめてまた出発する。

しばらく進むと村らしきものが見えてきた。
門も木の柵だけで、家も小屋のような建物ばかりだったので大丈夫だろうかとも思ったが、すぐに目当ての雑貨屋のような店を見つけて中に入る。

「すいません、このあたりの地図は売っていますか?」

「あるよ。こんな時に旅かい?」

出てきた店主は背の曲がった小さな老人で、耳が尖っている。指も長く、幻界とは全然違っていた。

地図を渡され、100魔通貨支払い、現在地を教えてもらう。

「この村はここだ。城はここ」

「かなり離れてない?」

「そうですね。この間に村はありますか?」

「城に行くんだったら、この村からまっすぐ進めばいいが、城に近くなれば焼け野原かもなぁ……」そう言いつつ印をいくつかつけてくれる。
大きい街が二つあり、間に小さな町があるとの事だった。

お礼を言いすぐに村を出る。

「あと何買ったの?」

「コンパスと筆記用具です。入ってなかったので……」

「地図のこのマークが北って事かな?」

「だと思うのですが、魔界と幻界では表記の仕方も言葉や文字も違いますから」

「読める?」

「会話も可能ですし読み書きも習いましたので。ですが、1週間ではつかないかと……魔界のことで教わったことも来て通じないと分かりましたし……」

「そうなんだ」

ブランを休ませてあげたかったが、仕方なく移動を始める。
普通の川と大木があったので、前と同じ様に天幕を張り、食事の用意をする。
ブランを連れて川に行き、水を汲んでブランにも桶で水を飲ませる。

「疲れただろ?休んでなよ。ご飯できたら言うからさ」

「クキョッ!いいの?」

「いいよ」

天幕のそばで丸まっている姿はやはりお萩にしか見えない。
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