下宿屋 東風荘

浅井 ことは

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居候

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「いちばん近い所で、この先の岩戸から来たんだけどさ、結構妖怪達も戻ってきてて賑やかになってきたぞ?」

「そうですか。あ、お名前を聞いても?」

「俺はれいだ」

「二月ですか……冬にちなんだ名ですね。清らかで澄んでいるといった意味ですね」

「まぁ、生まれがその月だからかな?冬の神社で託宣を待てとか言われてさ」

「兄貴が冬の社に?」

「さあな?選ぶのは神だとか言ってたぞ?」

「そこは我々にもわからないので、暫く冬の神社に居るといいでしょう。今はこちらです」

「そう、あの狐見たことあるんだよ……確か楼閣で、大名みたいな風貌のおっさんに買われた狐じゃなかったかな?」

「黒幕ですかねぇ?」

「いや、何でも数匹の女狐が逃げ出したとかで騒ぎになってたはず。すげー似てる」

「ならば本物でしょう」

酒を飲みながら話し、外をみると那智がやっと動き出した。

身のこなしは流石と言ったところで、上手く影に任せながらも社狐を抱き抱えこちらに連れ込む所は誰も真似はできないたらしっぷりだろうが、その一瞬で音々以外全部倒しているのも見事。

思わず拍手をしていると、へたりこんで座っている社狐が中心に。すぐに桜狐と葉狐を出し治療させる。

「あなたがここの社狐で間違いないですね?」

「はい……助けていただきましてありがとうございます」

「珠は?」と那智が聞くと、ここにと胸のあたりを触る。

確かにその辺りから珠の気が溢れており、社の気と同化しているので間違いはなさそうだ。

「何があったのかと、あの野良について聞きたいのですが」

「俺はこいつが気になるんだが?」

「俺の兄貴だよ。仙から冬の社に行くように言われたとかで来たんだって」

「那智だ」

「玲です」

挨拶だけかと言いたいところだが、早く済ましてしまいたい。

今宵もみんなが何とかしてくれるだろうが、明日の朝餉のことも気になる。

「朝餉が気になるか?」

「まぁ。朱狐に代わりを任せますから、気づかれることはないでしょう」

朱狐を出して暫く下宿を任せると言い、これで腰を据えて話が出来るなと那智にまで言われ、秋彪が出した酒を飲みながら話を聞くことにした。
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