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南の島のおじいちゃん
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夕飯がほぼ出来て、あとは色々と焼いていくだけとなった時、コソコソっと鍋の方に行き、器に大根を入れてお爺さんの元へと持っていく那智。
「これは、俺の好物だが、大根がとても柔らかい。噛む力がなくても食える」
「かなり久方ぶりじゃ」
みんなが見守る中、フーフーと冷まして那智が口に運ぶと、嬉しそうに目を細めるお爺さん。
「那智に食事を作ってもらえる日が来るとはの。これはとても美味しい。那智の優しさが詰まっておるの」
「そ、そんな事はいい!俺は……子供の時から世話になってきた。いろんなことを教えてもらった。だが、まだ俺が考えられる恩返しは出来ていないし、こんなものしか作れない……すまん、爺様……」
「良い良い。十分お主の気持ちは伝わってくる。那智よ、もうちぃっとだけ素直になりなさい。良いの?子とは沢山話しをするのじゃ。
那智は苦手だと言うておるがそんな事は無い。誰よりも優しくみんなのことをいつも気にかけておる優しい子じゃと儂はよーく知っておるからの?」
そう言って那智の頭をそっと撫で、にっこりと笑ったと思ったら、そのまま眠るように膝に置いていた手が下に落ち、あげていた頭も背もたれに乗り、そのまま言葉を発することは無かった。
「爺様!?おい、ジジイ!!!お願いだから目を開けてくれ……」
「那智……」
そう言って首を横に振る冬弥に、何度も何度も掴みかかり、「頼むから起こしてくれ!天狐だろう!!!」と言いながら泣く那智を航平が何とか奥へと連れていき、みんなでお爺さんを囲むので何をするのだろうと思ったら、「今から葬儀です」と冬弥に言われる。
だから那智さんはあんなに取りみだれて居たのかもしれない。
「これは、俺の好物だが、大根がとても柔らかい。噛む力がなくても食える」
「かなり久方ぶりじゃ」
みんなが見守る中、フーフーと冷まして那智が口に運ぶと、嬉しそうに目を細めるお爺さん。
「那智に食事を作ってもらえる日が来るとはの。これはとても美味しい。那智の優しさが詰まっておるの」
「そ、そんな事はいい!俺は……子供の時から世話になってきた。いろんなことを教えてもらった。だが、まだ俺が考えられる恩返しは出来ていないし、こんなものしか作れない……すまん、爺様……」
「良い良い。十分お主の気持ちは伝わってくる。那智よ、もうちぃっとだけ素直になりなさい。良いの?子とは沢山話しをするのじゃ。
那智は苦手だと言うておるがそんな事は無い。誰よりも優しくみんなのことをいつも気にかけておる優しい子じゃと儂はよーく知っておるからの?」
そう言って那智の頭をそっと撫で、にっこりと笑ったと思ったら、そのまま眠るように膝に置いていた手が下に落ち、あげていた頭も背もたれに乗り、そのまま言葉を発することは無かった。
「爺様!?おい、ジジイ!!!お願いだから目を開けてくれ……」
「那智……」
そう言って首を横に振る冬弥に、何度も何度も掴みかかり、「頼むから起こしてくれ!天狐だろう!!!」と言いながら泣く那智を航平が何とか奥へと連れていき、みんなでお爺さんを囲むので何をするのだろうと思ったら、「今から葬儀です」と冬弥に言われる。
だから那智さんはあんなに取りみだれて居たのかもしれない。
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