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神気と力

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「あのー、体の方は?」

「ああ、平気です。まだ少しだるいだけでして」

「だったら休んでください」と座布団を出すと、上手くそこに座ってこちらを見てくる。

「八咫烏は珍しいですか?」

「えーと、珍しいというか、神様なんですよね?」

「そう、信仰されてますけど、妖や化け物などという者も居ます。ほら、足が三本でしょう?」

「ええ、まぁ……」

「その、天狗だってただの天狗じゃないのに、呑気にしていますしねぇ」

「天狗さんて、なにか種類みたいなのあるんですか?」

「まぁ、山によって呼び方後違うし、有名なのが牛若丸の剣を教えたとされる、鞍馬天狗。他にもいろんな天狗がいて極めたものは太郎坊や次郎坊など名前がつく事くらいじゃな……」

「じゃあ、天狗さんの名前は?」

「儂はただの天狗でいい」

「何を申されますか、貴方様は天狗の中でも大天狗様ではありませんか!」

「大天狗!?」

「日本を代表する八天狗を納める長です。なのに、こんな所でのんびりとして……」

「いや、怪我をしたのはそなただろう」

「め、面目無い……」

「天狗の長?」

いきなりそんなことを言われてもピンと来ない。

「時間もあるし少しずつ話をしよう。まず、この日本の山々に、八人の烏天狗がいる。元々烏天狗は悪いものとされておったんじゃ。魔道とか、えーと、悪魔?みたいな……。ようは恐れられておったし、なにかあると天狗の仕業だとな」

「酷い……」

「確かにいたずらする者もいるし、それらを纏めるのが八天狗。その八天狗をまとめてるのが儂じゃ」

「でも、だったら何でここに?」

「それは八咫烏が怪我したから?」

なんだか嘘くさい!

それに、八咫烏と言っても俺はなんの神話も知らないぞ?

「えーと、迦具土来てからにします。聞くのは……」

と、無言で教科書を出して文机で勉強すること数時間。

かなり集中していたようで、日が暮れ出したので、そろそろ迦具土も来るだろうと片付けをして、雑巾やバケツなどを片付けていると、いびきを書いて寝ている大天狗さん。

今から何を聞かされるのだろう?

早く来いよと思うと中々来ないもので、八咫烏に何を話せばいいのかもわからないし、八意さんも来ない。

「実は私、三重県の熊野と言うところから来たんですけど」

「三重は伊勢神宮とか行ったことあります」

「伊勢神宮よりももっと南の方なんですけど、大天狗様をお連れして奈良の橿原神宮に行く予定だったんです」

「え?でも、こことかなり逆方向だと思うんだけど……」

「八意様が療養はここでということになりましてね、それで連れてきてもらったんです」

八意さんの仕業か!

「話はまだ聞いてないのですか?」

「話?」

「八意様からですけど」

「いえ、全然……何をしたらいいのかもわからないし、お昼ご飯と夕飯を持ってきてるだけで……それに俺、受験生なんで勉強もしたいし」

「高校のですか?」

「いや、大学……」

八咫烏から見たら俺はそんなに幼いのか!?

年相応なのに!

「実はですね……」と話し始めたのを遮ったのは八意さん。

突然現れるのは辞めてください!
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