94 / 103
神気と力
.
しおりを挟む
「何を言うか。牛若丸に剣術を教えたものもおるし、神としては山神として祀られたりもしておる」
「えっと、今生きてるんじゃない……」
「儂と同じじゃ。ほれ、迦具土も早う入ってこんか」
「いや、そこにいるカラス……」
「こいつは八咫烏じゃ。神酒を飲んだから大人しいもんじゃ。それより、料理をいただくとしようかの」
「あ、俺とりますけど」
「良い良い、こうして重箱から戴こう。して、これはなんじゃ?」
唐揚げです!と答えたいが、相手はカラスなんじゃ……
ん?と聞かれ、「か、唐揚げです」と何とか言うと、ぱくりと一口。
共食いじゃ……
「うん、美味い!こっちの漬物も良い塩加減じゃな」
「あ、別でおにぎり持ってきてるんですけど」
包から、ラップでくるんであるおにぎりと、海苔を出し、鮭と昆布だと言うと、早速昆布のおにぎりに海苔を巻いて大きな口で頬張る。
「パリッとしてるのも良いな。湿気ておるのも良いが、この昆布がまた美味い」
大声で笑っているのはいいが、迦具土の気にしていた八咫烏はどうも寝ているようでピクリともしない。
放って置いていいのだろうか?
「八意さん、俺は何をすれば……」
「翔平、明日も摘みを頼まれてくれんか?それと、『ちいず』と言うものや、芋がしなんかもあると助かる」
「ポテチの事ですか?」
「そう、それじゃ。味は任せる。でじゃ、家で供えておるお神酒を八咫烏に毎日あげに来て欲しいんじゃ。こやつ怪我しよっての、傷は治ったんじゃが、養生させるのにここが良いと思ってのぅ」
「カラスの世話……って、ご飯は?」
「翔平の昼飯の残りで十分じゃよ」
それは、俺に毎日こいって事か?
しかも昼飯って言ったぞ!?
ふくれっ面をしていると、天狗が「えあーこん、というものには程遠いが、涼しい風が入るようにしておいてやる」とご機嫌で言うもんだから、「はい」としか返事が出来ない。
迦具土が昼飯、夕飯の重箱を届けることに決まり、ひとまず、この重箱ではきっと足りないって事を婆ちゃんに言っておかないといけない。
その前に文句を言いたいのは、週二回って言ったのに!という事。
帰宅して、あまり無理しないで欲しいと祖母に頼み、翌日行く前にコンビニでジュースとのり塩ポテチ、チーズ系のものを買って持っていく。
特に何をしろということもないので、勉強道具一式も。
用事を頼まれればやるが、それ以外は勉強していても文句は……言わせない!
「おはようございます」
朝の10時を回ったところで茅葺き屋根の家に行き声をかけると、「おはよう!」と奥の板の間から声が。
見ると、雑巾片手に水拭き。
「な、何してるんですか?」
「しばらく厄介になるのだから、掃除をするのは当たり前だろう」と言いながら、隅々まできれいに拭いている天狗さん。
荷物を一旦土間の机に置き、一緒になって拭いていると、名前を聞かれたので答え、翔平でいいですと言って雑巾を絞る。
絞ったあとのバケツを見て、こんなに汚れてたんだ……と思い、畳の部屋も固く絞った雑巾で拭き、窓を全開にして乾かす。
「えっと、今生きてるんじゃない……」
「儂と同じじゃ。ほれ、迦具土も早う入ってこんか」
「いや、そこにいるカラス……」
「こいつは八咫烏じゃ。神酒を飲んだから大人しいもんじゃ。それより、料理をいただくとしようかの」
「あ、俺とりますけど」
「良い良い、こうして重箱から戴こう。して、これはなんじゃ?」
唐揚げです!と答えたいが、相手はカラスなんじゃ……
ん?と聞かれ、「か、唐揚げです」と何とか言うと、ぱくりと一口。
共食いじゃ……
「うん、美味い!こっちの漬物も良い塩加減じゃな」
「あ、別でおにぎり持ってきてるんですけど」
包から、ラップでくるんであるおにぎりと、海苔を出し、鮭と昆布だと言うと、早速昆布のおにぎりに海苔を巻いて大きな口で頬張る。
「パリッとしてるのも良いな。湿気ておるのも良いが、この昆布がまた美味い」
大声で笑っているのはいいが、迦具土の気にしていた八咫烏はどうも寝ているようでピクリともしない。
放って置いていいのだろうか?
「八意さん、俺は何をすれば……」
「翔平、明日も摘みを頼まれてくれんか?それと、『ちいず』と言うものや、芋がしなんかもあると助かる」
「ポテチの事ですか?」
「そう、それじゃ。味は任せる。でじゃ、家で供えておるお神酒を八咫烏に毎日あげに来て欲しいんじゃ。こやつ怪我しよっての、傷は治ったんじゃが、養生させるのにここが良いと思ってのぅ」
「カラスの世話……って、ご飯は?」
「翔平の昼飯の残りで十分じゃよ」
それは、俺に毎日こいって事か?
しかも昼飯って言ったぞ!?
ふくれっ面をしていると、天狗が「えあーこん、というものには程遠いが、涼しい風が入るようにしておいてやる」とご機嫌で言うもんだから、「はい」としか返事が出来ない。
迦具土が昼飯、夕飯の重箱を届けることに決まり、ひとまず、この重箱ではきっと足りないって事を婆ちゃんに言っておかないといけない。
その前に文句を言いたいのは、週二回って言ったのに!という事。
帰宅して、あまり無理しないで欲しいと祖母に頼み、翌日行く前にコンビニでジュースとのり塩ポテチ、チーズ系のものを買って持っていく。
特に何をしろということもないので、勉強道具一式も。
用事を頼まれればやるが、それ以外は勉強していても文句は……言わせない!
「おはようございます」
朝の10時を回ったところで茅葺き屋根の家に行き声をかけると、「おはよう!」と奥の板の間から声が。
見ると、雑巾片手に水拭き。
「な、何してるんですか?」
「しばらく厄介になるのだから、掃除をするのは当たり前だろう」と言いながら、隅々まできれいに拭いている天狗さん。
荷物を一旦土間の机に置き、一緒になって拭いていると、名前を聞かれたので答え、翔平でいいですと言って雑巾を絞る。
絞ったあとのバケツを見て、こんなに汚れてたんだ……と思い、畳の部屋も固く絞った雑巾で拭き、窓を全開にして乾かす。
0
お気に入りに追加
94
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大正石華恋蕾物語
響 蒼華
キャラ文芸
■一:贄の乙女は愛を知る
旧題:大正石華戀奇譚<一> 桜の章
――私は待つ、いつか訪れるその時を。
時は大正。処は日の本、華やぐ帝都。
珂祥伯爵家の長女・菫子(とうこ)は家族や使用人から疎まれ屋敷内で孤立し、女学校においても友もなく独り。
それもこれも、菫子を取り巻くある噂のせい。
『不幸の菫子様』と呼ばれるに至った過去の出来事の数々から、菫子は誰かと共に在る事、そして己の将来に対して諦観を以て生きていた。
心許せる者は、自分付の女中と、噂畏れぬただ一人の求婚者。
求婚者との縁組が正式に定まろうとしたその矢先、歯車は回り始める。
命の危機にさらされた菫子を救ったのは、どこか懐かしく美しい灰色の髪のあやかしで――。
そして、菫子を取り巻く運命は動き始める、真実へと至る悲哀の終焉へと。
■二:あやかしの花嫁は運命の愛に祈る
旧題:大正石華戀奇譚<二> 椿の章
――あたしは、平穏を愛している
大正の時代、華の帝都はある怪事件に揺れていた。
其の名も「血花事件」。
体中の血を抜き取られ、全身に血の様に紅い花を咲かせた遺体が相次いで見つかり大騒ぎとなっていた。
警察の捜査は後手に回り、人々は怯えながら日々を過ごしていた。
そんな帝都の一角にある見城診療所で働く看護婦の歌那(かな)は、優しい女医と先輩看護婦と、忙しくも充実した日々を送っていた。
目新しい事も、特別な事も必要ない。得る事が出来た穏やかで変わらぬ日常をこそ愛する日々。
けれど、歌那は思わぬ形で「血花事件」に関わる事になってしまう。
運命の夜、出会ったのは紅の髪と琥珀の瞳を持つ美しい青年。
それを契機に、歌那の日常は変わり始める。
美しいあやかし達との出会いを経て、帝都を揺るがす大事件へと繋がる運命の糸車は静かに回り始める――。
※時代設定的に、現代では女性蔑視や差別など不適切とされる表現等がありますが、差別や偏見を肯定する意図はありません。
世界的名探偵 青井七瀬と大福係!~幽霊事件、ありえません!~
ミラ
キャラ文芸
派遣OL3年目の心葉は、ブラックな職場で薄給の中、妹に仕送りをして借金生活に追われていた。そんな時、趣味でやっていた大福販売サイトが大炎上。
「幽霊に呪われた大福事件」に発展してしまう。困惑する心葉のもとに「その幽霊事件、私に解かせてください」と常連の青井から連絡が入る。
世界的名探偵だという青井は事件を華麗に解決してみせ、なんと超絶好待遇の「大福係」への就職を心葉に打診?!青井専属の大福係として、心葉の1ヶ月間の試用期間が始まった!
次々に起こる幽霊事件の中、心葉が秘密にする「霊視の力」×青井の「推理力」で
幽霊事件の真相に隠れた、幽霊の想いを紐解いていく──!
「この世に、幽霊事件なんてありえません」
幽霊事件を絶対に許さない超偏屈探偵・青木と、幽霊が視える大福係の
ゆるバディ×ほっこり幽霊ライトミステリー!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる