八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

文字の大きさ
上 下
87 / 103
神気と力

.

しおりを挟む
一旦家に帰りたいと言い、帰ってすぐに祖父母にお土産が無いことを謝り、大国さんと迦具土から聞いた話を、面倒なので迦具土にしてもらう。

祖父は腕を組んだまま何か考えていたが、祖母はピンと来ないのか、いつも通り大国さんに晩ご飯はどうするなどと聞いている。

「兄貴、晩飯食べていけるだろ?」

「ああ。夜は帰るけど」

「兄貴は大国さんの話わかった?」

「半分くらい?何か、俺の中では何も変わった感じがしないけど、社で振り回してた時は疲れとか全然感じなかった位かな?」

「楽しそうに暴れてたもんね」

「まあな。素戔嗚尊ってもっと怖いかと思ったら、結構面白いおっさんだったし、振り回せーとか言うから……お前はそんなに疲れたのか?俺はその弓は見てないけど、社では既にお前疲れてたしなぁ」

「だから、神気ってのは説明しにくいんだ……かと言って、大国様が追加で神気を渡した形跡もない。これは、元々翔平が持ってたちからだと思うんだが……って寝るな!」

パッシーン!と遠慮もなく大国さんの頭を叩く迦具土。

神様の位とかそんなのは俺にはまだよく分からないけど、この二人が仲が悪い訳では無い。

「殴ることは無いだろ!」

祖母殿ーと、ポンと小さくなり、祖母の後ろに隠れるのはいいが、兄弟の末っ子を虐める兄ちゃんにしか見えないから辞めてくれ……

「あ、婆ちゃん。夜どうするの?」

「それなんだけど、前から行きたいって迦具土君が行ってみたいって言っていた回転寿司にでも行く?純平もいるし、たまには外食もいいと思うんだけど」

「ほんとに?迦具土、回転寿司だって!」

「回る寿司か?」

「だからー、お皿が回ってくるの。あれ?お皿は回らないけど、流れてくる……見たらわかるよ」

「お、俺も……」

「もちろんですとも。でも、洋服をその園児服から着替えて頂かないと」

これではダメなのか?と言う大国さんに、手招きする祖母。

部屋から出ていって戻ってきた時には、半袖の水色のロゴ入りTシャツに、ジーンズと園児にしてはお洒落な格好をさせられている。

ウエストはゴムだが……

「婆ちゃん、それどうしたの?」

「買い物に行った時に似合いそうと思って買ったんだけど。若いお母さんが選んでいたのを見てねぇ、曾孫にって話したら店員さんも選んでくれて。ほほほ」

ほほほじゃねぇ!

曾孫って設定やめてくれ。
兄貴の子と言えばそれはそれでおかしくはないが、五歳だとしても二十三の時の子。
ちょっと早いじゃあないか!
母親は……石長さん?

「翔平、考えがダダ漏れだ。石長も呼ぶか?」

迦具土が言った瞬間、またもやドスッと尻もちをついて現れる石長さん。

キョロキョロと周りを見るも、兄の顔を見て赤面しつつ、「こ、こんにちは」と挨拶されるので「こんにちは」と言いながら、目線を大国さんに移す。

それを見てひとつ頷いたので、行く準備をして外に出ると、どこで覚えたのか大通りに出て人が増えたところで「パパー、ママー」と間に入り、手を繋いで上に手を引っ張ってもらって遊んでいる。

その姿なんだから、卵だけ食えよ?と思ったのは言うまでもない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

世界的名探偵 青井七瀬と大福係!~幽霊事件、ありえません!~

ミラ
キャラ文芸
派遣OL3年目の心葉は、ブラックな職場で薄給の中、妹に仕送りをして借金生活に追われていた。そんな時、趣味でやっていた大福販売サイトが大炎上。 「幽霊に呪われた大福事件」に発展してしまう。困惑する心葉のもとに「その幽霊事件、私に解かせてください」と常連の青井から連絡が入る。 世界的名探偵だという青井は事件を華麗に解決してみせ、なんと超絶好待遇の「大福係」への就職を心葉に打診?!青井専属の大福係として、心葉の1ヶ月間の試用期間が始まった! 次々に起こる幽霊事件の中、心葉が秘密にする「霊視の力」×青井の「推理力」で 幽霊事件の真相に隠れた、幽霊の想いを紐解いていく──! 「この世に、幽霊事件なんてありえません」 幽霊事件を絶対に許さない超偏屈探偵・青木と、幽霊が視える大福係の ゆるバディ×ほっこり幽霊ライトミステリー!

ハイブリッド・ブレイン

青木ぬかり
ミステリー
「人とアリ、命の永さは同じだよ。……たぶん」  14歳女子の死、その理由に迫る物語です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

元魔法少女の後日談は珈琲が飲めるようになってから。

キリ
キャラ文芸
雨谷しぐれが魔法少女の頃はどんなところにでも手が届いた。手の届く範囲内にだけは手を差し伸べたがるしぐれにとって魔法少女は居心地の良いものだった。しかし永遠に魔法が使えなくなる総魔力切れを起こしてしまい、魔法少女を引退する。いきなり手の届く範囲が激減し自分の力のなさを痛感する。 そんなしぐれは同級生の伏名みとまに染髪に連れ出したり、少しずつ普通の生活に慣れようとする。そんな時に一人の怪しげなドレスの女に出会い…… 魔法少女を引退してもなお大きくなる正義感にしぐれは振り回されてばかり……。そんな自分にしぐれは納得出来なかった。だから、魔法少女を引退した彼女が選んだのは魔女になることだった。

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

処理中です...