八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

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お盆祭り

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祖父とスーパーへ行き、メモに書いてある通りに買い物を済ませて家に戻ると、熱があるのに居間でお茶を飲みながらテレビを見ている石長さん。

「大丈夫なの?」

「寝てばかりで体が痛くて……風邪でもないから、祖母殿がここで見ていて良いと」

「だるくない?」

「平気なのだけれど……私はみんなに迷惑ばかりかけて。それが情けなくて」

「そんな事ないよ。きっと、いろんなことあって疲れただけだから、のんびりしてて。でも、座ってるの疲れたらちゃんと横になってよね?」

「そうする。それと、じ、じ、純平さんにこのことは……」

「言ってないから。何か食べる?今買い物行ってきたんだけど、アイスもあるよ?」

「良いのだろうか……熱があるのに……」

「食べれる時に食べないと。何味がいい?えーと、紫芋と、バニラと、抹茶とラムレーズン」

「では、ラムレーズンを。食べたことがなくて」

土のものは沢山食べているからなのか、洋風の物が最近気に入っていると前に兄に聞いたことがある。

パンケーキのフルーツと生クリームにはかなり驚いていたようだし。

益々神様って不思議だなぁと思う。

祖父が後はやってくれると言うので、ラムレーズンを石長さんに渡し、自分も抹茶を開けて食べる。

「うまっ!ほら、石長さんも食べないと溶けちゃうよ?」

「そ、そうであるな」

蓋を外して一口。

相当美味しかったのか、いつもと違いふわっと笑ってニコニコしている石長さん。

さりげなく甘党?

「石長さんて、今までアイスとか食べなかったんですか?」

「祭りの時に人に混じってかき氷は食したことが……昔はいちごとレモン。メロンもあったと思うけど、最近は抹茶とか、青い液体のものとかとてもカラフルなかき氷になっておるのを見かけた位で……滅多に買って食べたりはしなかったのと、やはり、その頃は顔を気にしていたから……」

「もしかして、カラフルって全部掛けたやつのこと?」

「そう、氷の上が虹のようになっていてとても綺麗だなと記憶している」

「んー、それ確かに綺麗なんだけど、味が混ざるから、かけた分がなくなったら新しいのを掛けるってしないと、溶けたあとの色凄いんだよ?
俺の友達、全部かけたことあったんだけど、最後に溶けた色がなんとも言えない色で……思いだしちゃった」

「そんなに汚い色に?」

「うん、あれ、最後にみんなよく飲めるなーとか思う」

「翔平は祭りはすきなのか?……いや、これから人のよ、よ、よ、嫁になるんだから、もっと普通に話しても構わぬか?」

「え?普通でいいよ。俺ももう普通に話してるし」

「時間は少し欲しいけど……祭りは?」

「好きだよ?屋台とかあるところは特に。祭りと言っても、神社でする祭りが好きかな?」

「屋台か?」

「そう。普段食べないものも売ってるし、楽しいし。でも、公園でやる祭りも好きだよ」

「私の神社を見たであろ?あそこではここまで大きな祭りが無くて。やはり羨ましいというか……」

「石長さんは石長さん。他は他だよ。気にすることないって」

「でも、ずっと思っていたことで。だからと言って今後変わることは無いのだけれど……」

「あ、神社のしめ縄とかの取り換えの時って何かしないの?」

「するにはするけど、そんなお祭りのようなことは無いから」

「そうなんだ」

気にしているからなんとかしてあげたいとは思っても、そればかりはどうにもならない。

きっと昔から気にはしていたんだろうなぁ。
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