58 / 103
石長比売の決断
.
しおりを挟む
「そう?六人分だし、夜にも使うから」
「ねえ、何うどん作ってる?普通のうどんでいいって言おうと思ってきたんだけど」
すると、「え?」と言いながらかまぼこを大量に飾り切りしている石長さん。
「いや、かまぼこは一人三つあればいいから、それでいいと思うんだけど、それ、なんの形……」
よく祖母がやっているような、船とかの形ではなく、何故か小さなハート型でくり抜いたかまぼこが五つ。
その他は何かの葉の形に綺麗に編んであり、器用だなと思いつつも見てしまうのはハート型。
「こここ、これは、可愛かったので……皆さんには普通のおうどんですと伝えてください」
そう言って台所を追い出され、またヒョコッと顔を出すと、迦具土と兄の分なのか、ペットボトルのジュースを押し付けられて追い出される。
ただのうどんでいいのに……
「はい、ジュース」
そう言っておくと、追い出されたんだという顔をされたので、すごいわかめの量だったとだけ言ってペットボトルを開ける。
食前には飲まないのだが、渡されたのでいいだろう。
うどんを二人が運んできたので、それを食べながら、普通のうどんでよかったと隣の兄を見ると、やはりハート型のかまぼこが……
それをニコニコとして食べているので、何から突っ込んでいいかわからずに、ご馳走様でしたと言って、客間に布団を敷に行く。
「なぁ……」
「あ、迦具土。枕取って」
ボフッと投げられ、それを置いてから、今度不意打ちで投げつけてやると心の中で思いながら、言いかけたことを聞くと、「大国が夕方来るだろ?」と言うので、「土曜日だし」とだけ答える。
「だーかーらー!石長をここに置くつもりなんじゃないのか?」
「前にもそんな話出たし、俺はいいんだけど」
「それについては俺も構わん。だが、思ってたよりも早いなと思ってな」
「そう言えばそうかもそれないけど、大国さんにも考えがあるんじゃない?」
「だといいがな。俺は石長を呼んでくる。まだ、神気が弱いから寝るに越したことはない」
石長さんを待っていると、迦具土となにか言い争うような声が聞こえて襖を開けると、「黙って寝てたらいいんだお前は!」と石長さんを怒る迦具土。
「どうしたの?」
「こいつが俺の言う事聞かねーから」
「だから、私は話を聞いて欲しいと言うておる!何故、話をしてはならぬのじゃ!」
久しぶりに姫言葉とでも言うのであろうか、普通に話す石長さんを見たなぁとのんびりと二人のやり取りを見ていたら、『神気』『神の国』と聞こえたので、結構重要な話なのではないかと迦具土を止めて、石長さんに話を聞こうとするも、「とにかく!布団に入ってくれ……お前の話したいことはだいたいわかるんだよ。俺も神だから、きっとお前と同じことをする!だがな、今、弱ってるお前が話したところで誰も話なんか聞きゃーしねーんだ」
「迦具土……?」
「翔平、悪いが掛け布団をめくってくれ」
言われるがままに捲ると、無理やり横にしたと思ったら顔に手を翳す。
すぅっと寝入ったのがわかり、やはり迦具土の方が位が高い神なんだと改めて思ってしまう。
「ねえ、何うどん作ってる?普通のうどんでいいって言おうと思ってきたんだけど」
すると、「え?」と言いながらかまぼこを大量に飾り切りしている石長さん。
「いや、かまぼこは一人三つあればいいから、それでいいと思うんだけど、それ、なんの形……」
よく祖母がやっているような、船とかの形ではなく、何故か小さなハート型でくり抜いたかまぼこが五つ。
その他は何かの葉の形に綺麗に編んであり、器用だなと思いつつも見てしまうのはハート型。
「こここ、これは、可愛かったので……皆さんには普通のおうどんですと伝えてください」
そう言って台所を追い出され、またヒョコッと顔を出すと、迦具土と兄の分なのか、ペットボトルのジュースを押し付けられて追い出される。
ただのうどんでいいのに……
「はい、ジュース」
そう言っておくと、追い出されたんだという顔をされたので、すごいわかめの量だったとだけ言ってペットボトルを開ける。
食前には飲まないのだが、渡されたのでいいだろう。
うどんを二人が運んできたので、それを食べながら、普通のうどんでよかったと隣の兄を見ると、やはりハート型のかまぼこが……
それをニコニコとして食べているので、何から突っ込んでいいかわからずに、ご馳走様でしたと言って、客間に布団を敷に行く。
「なぁ……」
「あ、迦具土。枕取って」
ボフッと投げられ、それを置いてから、今度不意打ちで投げつけてやると心の中で思いながら、言いかけたことを聞くと、「大国が夕方来るだろ?」と言うので、「土曜日だし」とだけ答える。
「だーかーらー!石長をここに置くつもりなんじゃないのか?」
「前にもそんな話出たし、俺はいいんだけど」
「それについては俺も構わん。だが、思ってたよりも早いなと思ってな」
「そう言えばそうかもそれないけど、大国さんにも考えがあるんじゃない?」
「だといいがな。俺は石長を呼んでくる。まだ、神気が弱いから寝るに越したことはない」
石長さんを待っていると、迦具土となにか言い争うような声が聞こえて襖を開けると、「黙って寝てたらいいんだお前は!」と石長さんを怒る迦具土。
「どうしたの?」
「こいつが俺の言う事聞かねーから」
「だから、私は話を聞いて欲しいと言うておる!何故、話をしてはならぬのじゃ!」
久しぶりに姫言葉とでも言うのであろうか、普通に話す石長さんを見たなぁとのんびりと二人のやり取りを見ていたら、『神気』『神の国』と聞こえたので、結構重要な話なのではないかと迦具土を止めて、石長さんに話を聞こうとするも、「とにかく!布団に入ってくれ……お前の話したいことはだいたいわかるんだよ。俺も神だから、きっとお前と同じことをする!だがな、今、弱ってるお前が話したところで誰も話なんか聞きゃーしねーんだ」
「迦具土……?」
「翔平、悪いが掛け布団をめくってくれ」
言われるがままに捲ると、無理やり横にしたと思ったら顔に手を翳す。
すぅっと寝入ったのがわかり、やはり迦具土の方が位が高い神なんだと改めて思ってしまう。
0
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
瑠菜の生活日記
白咲 神瑠
キャラ文芸
大好きで尊敬している師匠コムが急に蒸発して死んだのだと周りから言われる瑠菜。それを認めることはできず、コムは生きているんだと信じているが、見つけなければ信じ続けることもできない。
そんなことを考えていたある日、瑠菜の弟子になりたいという少女サクラが現れる。瑠菜は弟子を作ることを考えたこともなかったが、しつこいサクラを自分と重ねてしまいサクラを弟子にする。
サクラの失敗や、恋愛というより道をしながらも、コムを見つけるために瑠菜はコムがいなくなった裏側を探る。
エンゼルローズ イラスト・キャラクター等設定集
RASHE
キャラ文芸
小説・エンゼルローズにおける設定を載せていく作品です
主に
・年号
・エンゼルローズのイラスト
・本編の人物設定
・小説本編乗らない過去の人物設定
・用語設定
等、不定期かつメモの代用として更新していこうと思います
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
時々おまけのお話を更新しています。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
団地狂詩曲
紅粉 藍
キャラ文芸
絶望するほど貧乏。但し、団地最強。
主人公・ミヤは新聞配達のバイト中に注連縄のある団地の部屋を見つける。その日からミヤの日々は一変する。母親は出稼ぎ、父親は通帳とキャッシュカードを攫って飛んでしまい、ほぼ無一文のミヤに、季節外れの転校生・輝夜竹誓は言う。「貴方の願いは何ですか?」
過去の記憶が曖昧な主人公と家庭の見えない美少女・竹誓との疑似夫婦生活。
家族の帰る場所を守るため孤独でも戦うことを決意する『団地最強』の青春バトルロワイヤル開催!!
鬼になった義理の妹とふたりきりで甘々同居生活します!
兵藤晴佳
キャラ文芸
越井克衛(こしい かつえ)は、冴えない底辺校に通う高校2年生。ちゃらんぽらんな父親は昔、妻に逃げられて、克衛と共に田舎から出てきた。
近所のアパートにひとり住まいしている宵野咲耶(よいの さくや)は、幼馴染。なぜかわざわざ同じ田舎から出てきて、有名私学に通っている。
頼りにならない父親に見切りをつけて、自分のことは自分でする毎日を送ってきたが、ある日、大きな変化が訪れる。
こともあろうに、父親が子連れの女を作って逃げてしまったのだ!
代わりにやってきたのは、その女の娘。
頭が切れて生意気で、ゾクっとするほどかわいいけど、それはそれ! これはこれ!
一度は起こって家を飛び出したものの、帰らないわけにはいかない。
ひと風呂浴びて落ち着こうと、家に帰った克衛が見たものは、お約束の……。
可愛い義妹の顔が悪鬼の形相に変わったとき、克衛の運命は大きく動き出す。
幼馴染の正体、人の目には見えない異界、故郷に隠された恐ろしい儀式、出生の秘密。
運命に抗うため、克衛は勇気をもって最初の一歩を踏み出す!
(『小説家になろう』『カクヨム』様との同時掲載です)
野望を秘めた面首の愛は、我が身を蝕む毒となる~男後宮騒動記~
香久乃このみ
キャラ文芸
既に70歳を超えた太后の蓮花。息子である病弱な皇帝とまだ幼い孫を勢力争いから守るため、若さと長生きを切望していた。そこへ現れた女道士の青蝶は、蓮花に「男の陽の気を受け取るたびに若返る術」をかける。72から36、ついには18になってしまった蓮花。しかしそのタイミングで、陽の気を捧げさせるために宰相傑倫が育成していた面首たちの、宮殿での仕事が開始される。次に事を行えば9歳になってしまう、それだけは避けなくてはならない。出世を目指し蓮花の愛を手に入れんとする男後宮の面首たちと、それを躱す蓮花の甘くもトタバタな日々が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる