八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

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石長比売の決断

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そんなことを言われながら、結局夜中まで英語を中心に問題を解かされ、朝に兄が帰る時に見送るがやはり心配でならない。

「なぁ、何かあったらちゃんと言ってきてよ?」

「分かってる。お守りも持たされてるし、大国さんとも連絡取れるから」

「うん。それよりもさ、石長さんのことなんだけど……」

「お前が心配する事じゃないから」

そう言って頭をポンポンされると、どうしても子供扱いされているとしか思えない。

兄が帰ってからも、また週末に文句を言われるのも嫌だったので、近くの図書館に行って涼みながら勉強をする。

迦具土も着いてきたが、「静かすぎて怖い」と言いながら、古そうな本を出してきて目の前で読んでいる。

「なぁ、何読んでるの?」

「日本神話」

「神様なのに?」

「前にも言ったと思うが、こういった本に書かれているのと、実際の事と結構違うから、それはそれで面白いかなーと思って」

「そんなもの?」

「まぁな?それより早くしないと週末に間に合わないんじゃないか?」

「あー、今少し忘れてたのに!」

お昼過ぎまで図書館に居てから、ファミレスでご飯を食べて帰宅し、少し目を休めたいからと仮眠してまた机に向かう。

高校最後の夏休みとはいえ、こんなにも机に張り付いているなんて……

せめて花火大会には行きたいぞ!

そんな願いも虚しくやってくる週末。

「翔平、やれとは言ったが、途中いくつか抜かしてるぞ?」と兄に指摘されたので、「分かるんだけどわからなかった所は抜かしたんだよ」と言って教えてもらう。

しかも兄が帰ってきた夜遅くから……

就職にすればよかったかなと少し後悔してももう遅い!

「眠い!!!」

そう文句を言ってやっと眠らせてもらってから、三時間。

直ぐに朝ごはんだと起こされて台所に行くと、しっかりと子供茶碗が用意されている。

「あれ?夕飯で来るんじゃないの?」

「洗って出しておいたの。あなた達今日勉強だけ?」

「うん。兄貴のスパルタが一日続くかな?」

「なら、スーパーに連れてって欲しいって純平に言ってきて。翔平も着いてきてちょうだいね」

ニコニコと話す祖母だが、俺を受からせる気があるのだろうか?

結局、みんなで買い物に行く事になり、一週間ぶりの解放だー!と思っていたのも束の間。


米に、調味料にとここぞとばかりに買い込む祖母。

荷物持ちにさせられ、家に着く頃には久々に重いものを持ったからか筋肉痛に。

「翔平、お前体力ないなー」

「兄貴だってないだろ?」

「残念だったな。俺は意外と重いものも持つからお前よりは体力あると思うぞ?」

「俺は今ガリ勉だからいいの!」

そんなことを言いながら、調味料などをしまい、米を運んで台所に置くと、玄関のチャイムがなる。

大国さん早いなと思いながら出ると、もじもじとした石長さんが立っていた……

しかも大きな旅行カバンのようなものを持って。
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