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石長比売の決断
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「兄貴、もうちょっとかけて」
「ちょっとだぞ?みんなのが無くなるから」
祖父母はもういいとお茶を飲んでいたので四人分。
実際のところ三人と半人前。
足りそうになかったので少し水分を足して味を整えただけなのだが、肉や野菜の旨み汁と言ってもいい程にうまい。
汁をかけてもらった大国さんは、お子様スプーンですくって口に入れ、「何だこれは!美味い!お代わりは……」
「ねーよ!」
「なんだとー!しかも迦具土の茶碗大きくないか?翔平も!こんなずるい汁かけご飯、子供茶碗で満足出来るわけないだろー!」
「いや、汁かけではあるけど、茶碗に三分の一ほどかけただけなんで。これ、最後にいつもやるんです」
「教えてくれよー!だったら体を大きくして茶碗は丼にしたのに……」
ざまーみろ!と迦具土がご飯を掻き込むのを見て、兄と自分も取られてたまるか!と、ご飯を掻き込む。
「あー、美味かったー!」
「俺は最後の汁が食いたい!!!」
「次のすき焼きまで我慢しろ」
「迦具土ー!お前、他にもずるい飯隠してないだろうな?」
「佐野家はご飯が美味いからなぁ。いい所にこさせてもらった」
「ち、ちくしょー!源三郎、明日もすき焼きだ!」
「ダメですよ?毎日お肉は体にもよくありませんから、明日は魚です」
祖母に言われ、ガクッと肩を落とす大国さんに、今度のすき焼きの時には大きめのお茶碗にするからと言って機嫌を直してもらい、本題があるのでは?と促してみる。
「迦具土ー、お茶ー!あと爪楊枝」
「オッサンか!」
「こんなに可愛い園児に向かって何を言うか!」
そう言いながらも、爪楊枝でシーハーとしながら、お茶を啜る姿はおじさんにしか見えない。
「あのな……石長なんだが……」
次の言葉を待っていると、「突っ込んでくれよ!」と今度は机に突っ伏しているのを迦具土が「アホかー!」と首の後ろの服を持って起き上がらせ、ほっぺたをつねっている。
「祖母殿ー!」
「飽きたわ!早く話せ!バカ国!」
「奈良では大国様って呼んでたくせに」
「時と場合で使い分けてんだ俺は!一生バカ国って呼ばれてーのか!」
「まぁまぁ、迦具土落ち着いて。で、石長さんの具合はどうなんです?」
「純平がまともに見える」
「まともですから早く話してください。桃のゼリーあげませんよ?」
「桃とな!?話す話す!」
なんて単純なんだ……
桃に釣られた大国さんは、今の石長さんの状況をわかりやすく説明してくれた。
普通ならば、俺たちの住んでるこの人間の世界とでも言うのだろうか。
そこにいるよりは、神の国にいる方が回復がかなり早いのに、中々回復せずにまだ寝込んでいると言う。
「そこでだ。前に石長に渡されたこのハンカチなんだが、そこに純平に入った石長の気を少し移して持って行きたい」
「ハンカチでどうやって……」
兄の言うように、確かにハンカチでどうするのかと思ってしまうが、着ていたスモッグのポケットから、小瓶を取り出して机の上に置く。
せめて、その斜めがけのカバンに入れようか……
「このハンカチを広げて……端っこを瓶に入れて……っと。よし、いいぞー!反対の端っこを掴んでくれ」
「こうか?」
首をかしげながらも大国さんの言うようにハンカチを握るが、そこからどうなるのか分からない。
暫くそのままでいると、瓶の中に黄色く光る煙のようなものが入っていく。
「これが神気……?」
「ちょっとだぞ?みんなのが無くなるから」
祖父母はもういいとお茶を飲んでいたので四人分。
実際のところ三人と半人前。
足りそうになかったので少し水分を足して味を整えただけなのだが、肉や野菜の旨み汁と言ってもいい程にうまい。
汁をかけてもらった大国さんは、お子様スプーンですくって口に入れ、「何だこれは!美味い!お代わりは……」
「ねーよ!」
「なんだとー!しかも迦具土の茶碗大きくないか?翔平も!こんなずるい汁かけご飯、子供茶碗で満足出来るわけないだろー!」
「いや、汁かけではあるけど、茶碗に三分の一ほどかけただけなんで。これ、最後にいつもやるんです」
「教えてくれよー!だったら体を大きくして茶碗は丼にしたのに……」
ざまーみろ!と迦具土がご飯を掻き込むのを見て、兄と自分も取られてたまるか!と、ご飯を掻き込む。
「あー、美味かったー!」
「俺は最後の汁が食いたい!!!」
「次のすき焼きまで我慢しろ」
「迦具土ー!お前、他にもずるい飯隠してないだろうな?」
「佐野家はご飯が美味いからなぁ。いい所にこさせてもらった」
「ち、ちくしょー!源三郎、明日もすき焼きだ!」
「ダメですよ?毎日お肉は体にもよくありませんから、明日は魚です」
祖母に言われ、ガクッと肩を落とす大国さんに、今度のすき焼きの時には大きめのお茶碗にするからと言って機嫌を直してもらい、本題があるのでは?と促してみる。
「迦具土ー、お茶ー!あと爪楊枝」
「オッサンか!」
「こんなに可愛い園児に向かって何を言うか!」
そう言いながらも、爪楊枝でシーハーとしながら、お茶を啜る姿はおじさんにしか見えない。
「あのな……石長なんだが……」
次の言葉を待っていると、「突っ込んでくれよ!」と今度は机に突っ伏しているのを迦具土が「アホかー!」と首の後ろの服を持って起き上がらせ、ほっぺたをつねっている。
「祖母殿ー!」
「飽きたわ!早く話せ!バカ国!」
「奈良では大国様って呼んでたくせに」
「時と場合で使い分けてんだ俺は!一生バカ国って呼ばれてーのか!」
「まぁまぁ、迦具土落ち着いて。で、石長さんの具合はどうなんです?」
「純平がまともに見える」
「まともですから早く話してください。桃のゼリーあげませんよ?」
「桃とな!?話す話す!」
なんて単純なんだ……
桃に釣られた大国さんは、今の石長さんの状況をわかりやすく説明してくれた。
普通ならば、俺たちの住んでるこの人間の世界とでも言うのだろうか。
そこにいるよりは、神の国にいる方が回復がかなり早いのに、中々回復せずにまだ寝込んでいると言う。
「そこでだ。前に石長に渡されたこのハンカチなんだが、そこに純平に入った石長の気を少し移して持って行きたい」
「ハンカチでどうやって……」
兄の言うように、確かにハンカチでどうするのかと思ってしまうが、着ていたスモッグのポケットから、小瓶を取り出して机の上に置く。
せめて、その斜めがけのカバンに入れようか……
「このハンカチを広げて……端っこを瓶に入れて……っと。よし、いいぞー!反対の端っこを掴んでくれ」
「こうか?」
首をかしげながらも大国さんの言うようにハンカチを握るが、そこからどうなるのか分からない。
暫くそのままでいると、瓶の中に黄色く光る煙のようなものが入っていく。
「これが神気……?」
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