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奈良へ__

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「都って京都?」

「あ、違う方の奈良だ」


確かに京都が都になる前の都は奈良だが、言い方が回りくどい!

俺に歴史の知識は皆無と言っていいんだぞ?


「で、奈良のどこですか?」

「お前、法隆寺って知ってるよな?」

「教科書で見ました」

「知らんと言ったら面白かったのに……」

「は?」

「いや、なんでもない。その法隆寺にちょっと行ってきてくれ。そこで石長たちと合流な」

「達ってまさか……」

「違う違う、今回は迦具土と翔平、石長とお前の兄貴の四人だ。テチもいれば楽だったんだが、あいつは力任せだから今回の事には向いてないんだ。コソコソするのはお前の兄貴は得意だろう?」

「待って待って!コソコソってなんですか!コソコソって!」

「法隆寺行ったことないんだよな?」

「無いですけど?」

「聖徳太子は知ってるか?」

「学校で習ったし、お札になった人」

「はぁ、いいか?法隆寺の……離れと言ったらいいのか、そこに国宝の救世観音が祀ってあるんだが、そこがどういう場所かは……知らんよな?
あ、祖母殿ハンバーグと味噌汁おかわり!ご飯は大盛りで!」

「あれ?カレーは?」

「それはお前達の分……俺はハンバーグを食しに来た」

「婆ちゃんも歳なんだから労わってよね」

「俺もかなり歳だぞ?」

「その格好だと説得力が……」

「無いな」


風呂から出てきた迦具土が、最も言いたかったことを言ってくれて少しスッキリし、祖父と祖母も合流して話を聞くことにした。


「で、大国様。何故に純平を?」

「うん、それなんだがな……八意とかとも話したんだが、やはり翔平と同じように力がある。今は二人で一人分と考えたのだ。ただ、えーと、社会人?とか言うので身動きが取れんらしいから、なるべく翔平たちでなんとかはして欲しいんだが……」

「その何とか仏像ってのは?石長さんが調べてるって言う」

「救世観音の噂はほんとに聞いたことないのか?」

「はい!興味すらないので!!!」

「迦具土、教育は?」

「出来るわけないだろーが!あっちこっちとこき使いやがって!」

「まぁそう怒るな。ここは源三郎に任せた」

爺ちゃん任せか!!!

「翔平、食べながらでいいから聞きなさい。これはあくまでも噂なんだがな、聖徳太子の生まれは分かってるか?」

「あ、馬小屋で産まれたから、厩戸皇子  うまやどのおうじだよね?」

「そうだ。そのあと聖徳太子となるのだが、細かいところは省こうか……」とため息をつかれる。

「その法隆寺には夢殿という建物があって、その中に救世観音菩薩が祀られてるんだ。その場所というのが、聖徳太子が最後に移り住んだと言われる跡地と言われていて……」

「お化けとか出るとか?ほら、道真さんみたいに」

「でねーよ!アホかお前は」

「じゃあ、迦具土はしってんの?」

「知らん!」

「ほらほら、口を挟まずに聞きましょうねぇ」


そう言いながら冷たいお茶を入れ直してくれる。

本当はまた心配させてるんだろうと思うとすごく辛い。
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