八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

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夏祭り

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どんだけ浮気性なんだ!

しかも180人の子供って、それ全部神様じゃ……

「じゃなくって!俺が覚えてるのを思い出したんですけど、ウズメさんも火の神様じゃなかったかなって。この国の神様って、火の神様多くないですか?」

「多いが、ほかの神々の中でも代表と言われるのが、迦具土とウズメちゃんかのぅ?」

「八意さん、力のテチさんに、炎の二人、そして石長さんに、知恵の八意さん。これだけの神様が揃って一体何をするつもりなんですか?」

「ふむ!」

だーかーらー!

ふむ!には飽きた!

早く話してくれ……

神様達って意外とマイペース。

「夏休みが始まって、この国では至る所で祭りが執り行われるのは知っておるかの?」

「まぁ、夏だし」

「でじゃ!翔平には、迦具土とウズメちゃん、石ちゃんとテチ。この四人で各地の大きな祭りを回ってもらいたい!」

「はぁぁぁ?」

また、変な事言い出したぞ?

俺も、ジジイって呼んでもいいかな?

「ジジイー!ふざけんな!!!」

よく言った迦具土!

俺は受験生。
塾には行ってないが、やる事は山ほどあるし、祭りに全国なんて行けない。

そのまま断ってくれ迦具土!

「楽しそうだなー。俺の地域の時は、俺の家に来ればいいじゃん」

何を言ってるんだ兄貴!!!

ノリノリじゃねーか!!!

「兄貴、馬鹿なのか?俺は受験生なんだけど?」

「祭りに行くまでは勉強すればいいんじゃないか?」

そうだった……

兄貴は妙に要領が良かったんだった……

「そのことに関しては、道真公に頼ってもいいが」

「ダメです!それは違うと思うから!簡単に言わないでくださいよー!爺ちゃんも婆ちゃんもなんとか言ってよ……」

「だが、これも佐野家の務めでもあるしなぁ」

「爺ちゃん!!!」

「お祭りはおばあちゃんも好きよ?」

「婆ちゃんまで!」

ダメだ。うちの家族に何を言ってもだめだ!
何でもかんでも楽しんでしまうのは、爺ちゃんも婆ちゃんも、兄貴もそっくりだ!

そんなことを思っていると、石長さんが膝の治療を終えて部屋に来たので、掻い摘んで先程聞いた話をすると、「八意様、確かに翔平は受験の身。本人が道真様の恩恵は受けぬと言うている以上、自力で試験とやらには挑戦しなくてはなるまいし、その勉強の時間を確保した上で行けますでしょうか?
私達が交代で行くことも出来ると思うのですが……」

拍手喝采だよ石長さん!

「しかしのぅ。今日とて石ちゃんは怪我をしたじゃろう?」

「これは……私の気の緩みが原因でございます」

その後石長さんが庇ってくれながら、話は進んだり後退したりとしていて、いつの間に終わったのか、ウズメさんと大国さん、テチさんも部屋でお茶を飲んで寛ぐ始末。

みんな俺のことも考えようよ。

「なんじゃ、まだ揉めておるのか?そんなもの、祭りの日は分かってるんだから、祭りの前々日から次の日の朝までの三日と決めていけば良いじゃろう?」

「しかし、八月に入ると近辺で被る祭りもあるしのぅ」

「大きな祭りでは、私が踊るじゃろう?テチはなにか焼くだろうし。せめて当日だけでもと言うたら、術で各地に飛ばせるではないか」

「うずめ、それは俺に翔平を一々飛ばせという事か?」

「大国様ともあろう方ができぬとは言いますまい?」

「できることは出来るが、俺も呼ばれてる社のまつりには行かねばならん。それ以外なら出来るが……」
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