八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

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「爺ちゃん、どうしよう」

「帰れと言われたが、純平が心配ではあるな」

「うん」

どうしようと迷っていると、「こっちじゃ」と声がしたので振り向くと、八意さんが手招きしていたのでそちらへと向かう。

「一体どうなってるの?」

「それなんじゃが、迦具土からも聞いたかもしれんが、あのような物の怪は必ず祭りの前に出るのじゃ。強いものが周りの物の怪たちを取り込み……まあ、アレじゃ!頭の良い物の怪とでも思うてくれたら良いのじゃが、今いる奴は少々厄介でのぅ」

「厄介って、兄貴がまだ……」

「ふむ」

ふむじゃねぇ!

「ま、何とかなるじゃろう。大国様が行ったからみんな無事じゃ」

「迦具土も?」

「迦具土は相性が悪いじゃろうな」

「は?」

「話は後にしよう。兄の気配がしてきておる」

八意さんに言われて門の方を見ると、開けて出てくるのではなく、よじ登って降りてくるところが兄貴らしい。

「兄貴、迦具土は?」

「中!」

「何で置いてきたんだよ」

「大国さんと、一緒に戦ってるんだが、俺がいたら全力で炎を出せないらしい。何とかするからって言われて出てきたんだが、終わるまで家で待ってろってさ」

家に帰れと言われても、やはり心配でならない。

「八意さん、爺ちゃんと兄貴連れて帰ってください」

「翔平!」

「俺、迦具土待つよ。何も出来ないけど……」

「ふむ。ならば、この結界を残していくから、此処で待っているといい。出たら消えるようにしておくから、迦具土が来るまでは出ては行かんぞ?」

わかったと返事をして、祖父と兄貴のことをお願いする。

八意さんが二人の肩に手を触れた瞬間に消えたので、無事に家に着いただろう。

校門を見ながら、中で戦っているのに音が何もしないこと、白い煙のようなもので中が見えないことに少しイライラとしながら待っていると、だんだんと煙がなくなり、門から迦具土と大国さんが出てくる。

「迦具土!大国さん!」と飛び出していくと、「帰れって言われただろーが!」と迦具土に怒られ、大国さんはいつもと違い、神話の神のような格好をしていて、少し浮いている様にも見える。

「怪我は?」

「ねーよ」

「大国さんも?」

「ない。それにしても、迦具土……弱っ!」

「煩い!相性が悪かったんだ……あっちは水、俺は炎。炎で形どった剣では部も悪い」

「腕がなまっただけだろう?」

「あ、あのー?」

「おお、話は帰ってから。俺に触れろ。家まで送る」

肩に触れると、目の前は家の門だったので、三人で家に入った瞬間、祖母に手洗いとうがい!と言われ洗面所へ。

思いっきり神様スタイルの大国さんの手洗いとうがい姿……写真に収めたい!

でも写るのかな?

「さあさ、冷たいお茶でも飲んでゆっくりとしてくださいな」

婆ちゃんだけが呑気にしているように見えるが、かなり心配したのだろう。

エプロンの裾がクシャクシャになっている。

ごめん、婆ちゃん……心配させて……
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