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平穏な日々
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「そろそろ神社に向かおうか」
爺ちゃんにはどう見えているのだろう?
俺にはぼやっとした影のように見えているのだが、祖父ははっきりと見えているといつも言う。
見たくはないが見えなければ今度は興味が出てしまう……
その事を言うと、神社ではハッキリと見えるからと言われて、所々で鈴を鳴らしながら神社に向かうと、鬼のお面をかぶった着物姿の男性がいる。
祭りはまだだ!バカヤロー!
「翔平。お出迎えのようだ」
「どういう事?」
「あの鬼の面の男見えてるな?」
「う、うん」
「その周りに沢山いるのはわかるか?」
言われて注意深く目を凝らすと、木の影や階段の隅に人形のものが沢山いることが分かる。
分かりたくもなかったが、場所が神社だからか、御守りのせいなのか、くっきりと見える姿に少し後ずさりしてしまう。
明らかに人間じゃあない!
でも、面の男の前に立ち、鈴を持った手を伸ばして祖父は一歩も動かない……
「爺ちゃん……」
「翔平、他のものを早く片付けてくれ……」
言われるままに鈴を振り一つずつ片付けていくが、この神社は大国さんのいる所。
出てきてくれないってことは居ないのか?
見えている分を何とか片付けるだけで息切れしてしまったが、祖父とお面の男はまだ睨み合っているだけで動きはない。
「久方ぶりだな」
え?
知り合い……?
「かなり昔に滅したと思っていたが?」
「逃げたんですよ……完全に消される前にね。しかし、歳をとりましたね……竹刀を振り回していた頃とかなり違いますが」
「もう、引退した身。歳もとる。なぜ出てきた?」
「祭りに誘われて……と言っておきましょうか」
「ふん、まぁいい」
「あぁ、この子供が次の……」
「孫には手出しはさせんぞ?翔平逃げなさい」
逃げろ?
爺ちゃんを置いて?
そんなこと出来るわけがない……
でも、知ってる妖みたいだし、どうなってるんだ?
とにかく、祖父では鈴だけでは足りないだろう。
幸いにも屋台の骨組みはできており、そこらじゅうに、工具やまだ組み立て中の屋台の骨組みなどが置いてあったので、逃げるようにそこまで走り、適当な大きさの棒を持って祖父の元へと駆け寄り渡す。
「逃げろと言ったのに」
「だって……」
「なかなかいい長さだな。それに鉄材でもある。良くやった。下がってなさい」
剣道の時のように構えをとった爺ちゃんに言われるまま、その場から離れて木の陰に隠れて除くと、「滅!」っと言う言葉と共に、面の男に向かって棒を振り下ろす。
その姿は80を過ぎようとしている人には全然見えず、男も軽やかにとは行かなかったが後ろに飛んで祖父の攻撃を避けた。
でも、『滅』?
面と胴は知っているが……
そうだ!と木々の間をそっとすり抜けて、男側に近いところまで移動し、鈴を大きく横に振る。
『り━━━━━ん』と高い音で長くなったと思ったら、男がこちらに気付き、片手を伸ばしてくるが、そこをうまく祖父が叩き込んでいる。
効いてるんだ!
ならばと、何度か鈴を揺らして音を鳴らし続け、その度に動きが鈍る男に祖父がこれで最後とばかりに棒を振り切る。
「クソッ──」
その言葉を最後にサァッと砂になったように形が崩れて、砂煙とともに消えていった。
爺ちゃんにはどう見えているのだろう?
俺にはぼやっとした影のように見えているのだが、祖父ははっきりと見えているといつも言う。
見たくはないが見えなければ今度は興味が出てしまう……
その事を言うと、神社ではハッキリと見えるからと言われて、所々で鈴を鳴らしながら神社に向かうと、鬼のお面をかぶった着物姿の男性がいる。
祭りはまだだ!バカヤロー!
「翔平。お出迎えのようだ」
「どういう事?」
「あの鬼の面の男見えてるな?」
「う、うん」
「その周りに沢山いるのはわかるか?」
言われて注意深く目を凝らすと、木の影や階段の隅に人形のものが沢山いることが分かる。
分かりたくもなかったが、場所が神社だからか、御守りのせいなのか、くっきりと見える姿に少し後ずさりしてしまう。
明らかに人間じゃあない!
でも、面の男の前に立ち、鈴を持った手を伸ばして祖父は一歩も動かない……
「爺ちゃん……」
「翔平、他のものを早く片付けてくれ……」
言われるままに鈴を振り一つずつ片付けていくが、この神社は大国さんのいる所。
出てきてくれないってことは居ないのか?
見えている分を何とか片付けるだけで息切れしてしまったが、祖父とお面の男はまだ睨み合っているだけで動きはない。
「久方ぶりだな」
え?
知り合い……?
「かなり昔に滅したと思っていたが?」
「逃げたんですよ……完全に消される前にね。しかし、歳をとりましたね……竹刀を振り回していた頃とかなり違いますが」
「もう、引退した身。歳もとる。なぜ出てきた?」
「祭りに誘われて……と言っておきましょうか」
「ふん、まぁいい」
「あぁ、この子供が次の……」
「孫には手出しはさせんぞ?翔平逃げなさい」
逃げろ?
爺ちゃんを置いて?
そんなこと出来るわけがない……
でも、知ってる妖みたいだし、どうなってるんだ?
とにかく、祖父では鈴だけでは足りないだろう。
幸いにも屋台の骨組みはできており、そこらじゅうに、工具やまだ組み立て中の屋台の骨組みなどが置いてあったので、逃げるようにそこまで走り、適当な大きさの棒を持って祖父の元へと駆け寄り渡す。
「逃げろと言ったのに」
「だって……」
「なかなかいい長さだな。それに鉄材でもある。良くやった。下がってなさい」
剣道の時のように構えをとった爺ちゃんに言われるまま、その場から離れて木の陰に隠れて除くと、「滅!」っと言う言葉と共に、面の男に向かって棒を振り下ろす。
その姿は80を過ぎようとしている人には全然見えず、男も軽やかにとは行かなかったが後ろに飛んで祖父の攻撃を避けた。
でも、『滅』?
面と胴は知っているが……
そうだ!と木々の間をそっとすり抜けて、男側に近いところまで移動し、鈴を大きく横に振る。
『り━━━━━ん』と高い音で長くなったと思ったら、男がこちらに気付き、片手を伸ばしてくるが、そこをうまく祖父が叩き込んでいる。
効いてるんだ!
ならばと、何度か鈴を揺らして音を鳴らし続け、その度に動きが鈍る男に祖父がこれで最後とばかりに棒を振り切る。
「クソッ──」
その言葉を最後にサァッと砂になったように形が崩れて、砂煙とともに消えていった。
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