八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

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平穏な日々

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翌日の放課後、本当に迦具土が来るのかなと半分期待、半分は普通の格好で来そう等と考えて自転車を押して校門に。

あれ?

いつもの女子達の『きゃー、可愛いー』って声が無く、少し遠巻きにだが大国さんの時よりかなりの人数が遠巻きに集まっている。

「ちょっとごめんね」と言って前に出ると、いつものように黒づくめの格好ではあるが、半袖のシャツにジーンズという格好なのに、何故か門に背を預けて立っている姿がムカつくほどに様になっている。

「迦具土」

よう!と手を挙げた瞬間女子の視線は俺に。

何か術でもかけたのか、「お兄さんなんだって?紹介してよ!」と詰め寄られる。

お前はどんな術をかけたんだ!

園児姿はどうした?

「ごめんね、迦具土行こう」

強引に門から出て、自転車を引いて学校から離れ、「なんで園児じゃないんだよ!」と言うと、「一度なってみたが、あれは俺には無理だ!」と即答されてしまった。

そうだろうな。

でもちょっと期待したのに……

「駄菓子屋には普通の格好で入れると祖母殿に聞いたぞ?」

「あー、まあそうなんだけど」

「全く、あの姿しかダメなのかと思ったわ!面白がってただろ!」

「いーじゃん!」

そう言って結局駄菓子屋に行き、袋いっぱいにお菓子を買った迦具土はご機嫌。

そう言えばこいつも婆ちゃんから小遣いもらってたよな……

「なんだ?せんべいなのに、カレーの味がする」

「食いながら歩くなよ。それはカレーせんべい。で、その棒のはきなこ棒。チョコは溶けるといけないから冷蔵庫な」

「わかった。このくじ引きで当たった玩具はどうしたらいいんだ?」

「あぁ、それガムだよ?袋から出したら口に入れて噛む……ってどうしたの?」

「玩具じゃねーのかよ!」

「おもちゃのクジ引いてないじゃん。引いたのはアニメキャラのガムのクジ!」

「ややこしい……でも、美味いな……」

「だから、食いながら歩くなって」

こうして見るとただの人なんだけどなぁ。

たまにはこうやって帰るのもいいなと思いながら、たまにはいいかと祖母に電話をかけ、迦具土と焼肉に行くことにした。

「お、おい。真ん中が燃えてるぞ!」

「だーかーらー、そのあみで焼くんだってば」

トングで恐る恐る肉を乗せる迦具土だが、やはり火自体は嫌いなようで、物凄く嫌な顔をしている。

「まだ怖いの?」

「まあ、コンロの火はそうでもなくなったが、神社の護摩焚きとかこう言ったものにはまだ慣れん」

「護摩って、そっちのが火でかいけど」

「うるせぇ。とにかく焼けばいいんだろう?」

これでもかと言うくらいに綺麗に敷き詰められたお肉を、こいつはどう裏返すつもりなんだろう?

腹一杯になるまで食べ、それでも二時間食べ放題の学生割りの店だったので、一人2500円。

迦具土はもう二度と行かん!と言いながらも、まんざらでもない様子で、レジでしっかりと飴をもらっている。

しかも二つ!
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